まるでローマ時代の神殿みたい!日本最北端の地・稚内にある建造物の役割とは?
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日本最北端の地・北海道稚内市。かつて樺太行きの連絡船が発着する港として栄えた稚内港に、とても美しい建造物があります。
全長427m、高さ16m。70本もの円柱が整然と立ち並ぶ様子は、ローマ時代の神殿を思わせます。
実は、この建造物は、防波堤ドーム。稚内港は年間を通じて風が強く、波が高いため、この防波堤ができる前は岸壁にいる人が波に飲み込まれ、流される事故が後を絶たなかったそうです。
そこで1931年から5年の月日をかけて建設されたのが、この防波堤ドームです。1938年には防波堤の前に鉄道駅が開業。乗客たちは、このドームのおかげで強風や高波を心配することなく、列車から樺太行きの連絡船に乗り換えることができるようになったのです。
このドームを設計したのは、北海道庁の技師として稚内築港事務所に赴任していた、当時若干26歳の土谷実さん。実用的なだけでなく、見た目の美しさも重視した見事な設計です。
夕日が差し込む美しいドームの様子は、ぜひ映像でお楽しみください。
終戦後、樺太行きの連絡船は廃止されたため、ドームも本来の役割を終えましたが、ドームは今も稚内の人たちにとってとても大切な存在。
イベントの会場として使われるほか、映画やCMのロケ地として使われることも多く、稚内のシンボル的な存在として、国内外に知られるようになりました。2001年には「北海道遺産」にも認定され、多くの観光客が訪れる人気観光スポットに。
冬のオフシーズンには、雪が避けられるため、ドームの下でキャッチボールやジョギングを楽しむ人の姿が見られるそうです。80年以上も稚内の人に愛され続ける防波堤ドーム。
設計者の土谷さんは1997年に93歳でこの世を去りましたが、今のドームの賑わいを見て、天国で喜んでいるに違いありません。
[文/grape編集部]