「言葉が乱れると国力が落ちる」 言葉はただの伝達手段でも、記号でもない
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
言葉の力を伝えていくということ
「言葉が乱れると国力が落ちる。すると、政治家の言葉が軽くなる」
ある本の中でこの言葉に出合った時、(ああ、なるほど!)とつかえていたものが流れていった感がありました。国力とは経済力でも軍事力でもない。文化です。経済も軍事力も、政治で解決できることです。でも、文化が廃れた時、政治ではそれを取り戻すことはできません。一人ひとりの感性や美意識、生き方によって、文化は創られていきます。時代が文化を創っていく。ですから言葉の乱れによって国力が落ちたのなら、一人ひとりの力によって取り戻すしかないのです。
そして言葉が乱れると…政治家の言葉が軽くなる。まさに、これはいま私たちの目の前にあることではないでしょうか。政治家の言葉は、天下国家を語る志の高いものであるはずです。二言はないはず、まして言い訳などあり得ない。それがいつの頃からか、失言と言い訳ばかりを聞くようになりました。
そして挙げ句の果てには暴言、罵詈雑言を、ワイドショーやニュースで何回も聞くことに。
「口が滑る」という言葉がありますが、まさにそこには「こんなことを言ったらどうなるのか」という配慮も想像力もなく、思ったことをつい口にする。思っていないことは言葉にはならないのですから、それらは「失言」ではなく「本音」なのです。これこそ、国力が低下した証拠ではないかと思います。
言葉は、伝達やコミュニケーションのみのツールではありません。古代の日本人は、言葉にはそれを叶える霊力が宿っていると考え、いわゆる漢語でないやまとことばはそうして使われるようになりました。たとえば、「稲」をなぜ「いね」というか。稲は日本人にとって大切な作物です。それは「いのちのね」であるということから「いね」と呼ばれるようになりました。ごはんをいただくということは、私たちの命の根をいただいているということ。そこに感謝の気持ちが生まれます。言葉にこめられた『エネルギー』を大切にしていかなければならない時期が来ていると痛切に感じます。
大学の人文学部で、年に4回ほど講義をします。作詞家ということで、「言葉」「作詞法」「日本語」「感性の磨き方」など、いくつかのワークを取り入れながら話します。先日の1年生の講義では「自分の言葉をもつ人になる」をテーマに、作詞法と感性の磨き方について話しました。後日、学生たちの授業についての感想文が送られてきました。印象に残った話の中で最も多かったのが、「言葉が乱れると国力が落ちる」という話だったそうです。学生たちは「語彙力をつける」「解釈力をつける」ということを学んできたかもしれませんが、「言葉の力」についてはまだ深めたことはなかったのかもしれません。この箇所に関心が集まったのは、意外なことでした。
言葉はギフトです。単なる伝達手段でも記号でもありません。お店でのやりとりひとつもでも、手渡すように丁寧に言葉を伝えていく。すると、その言葉の力が波及していく。その積み重ねが、やがて日本人の心の文化となっていくのだと思っています。
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」
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