「母親になる人生、ならない人生」どう違うの?『コウノドリ』7話
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- 出典
- コウノドリ
grape [グレイプ] entertainment
出産の現場をリアルに描き、放送されるたびに大きな反響を巻き起こしているTBS金曜ドラマ『コウノドリ』。
耳が聞こえない夫婦、産後うつに陥る母親、自身のがん治療と出産の選択を迫られる妊婦…さまざまな人間ドラマが繰り広げられました。
6話からは『ペルソナ総合医療センター』のメンバーにフォーカスが当てられます。下屋(松岡茉優)は妊婦の死を目の当たりにしたことをきっかけに、産婦人科医としてさらに成長するため、救命へ異動。
7話では、助産師の小松(吉田羊)が女性として重大な選択を迫られます。
バタバタしてて、検査に行けなかった
腹部の痛みを訴えた小松。サクラ(綾野剛)と四宮(星野源)に対し、普段通りの明るさでこう明かします。
最後に検査を受けたのは1年前で、その時の筋腫の大きさは6、7センチ。「1年前…」といぶかる四宮に、小松はトーンを変えずに続けます。
「詳しく検査したほうがいい」と顔を見合わせるサクラと四宮。
ところが小松は「そだね、タイミング見て」とのんびりした様子。サクラはその場で即、小松を『お姫様抱っこ』して検査に連れて行きます。
その結果、のんびりはしていられない現実が明らかになるのです。
がんになるリスクを抱え続けるか、それとも…
検査の結果、小松は子宮筋腫ではなく、子宮腺筋症と卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)であることが分かります。
四宮は「こんな状態になるまで放っておいたなんて…」とため息。貧血もあったはずで、日常生活にも支障があったと推測します。
卵巣チョコレート嚢胞は、将来的に卵巣がんに進行する可能性もあり、四宮の判断は「子宮の全摘出を勧めるのが、本人のため」。
ホルモン治療などで症状を抑え、「手術をしない」という選択もあります。ですが、がんになるリスクはなくなりません。
診断をサクラから告げられた小松は「どうしたらいいんだろ…」と天を仰いだ後、サクラが目を丸くする反応を見せます。
気丈に笑ってみせる小松でしたが、それは「サクラに心配かけたくない」という思いでのこと。
メディカルソーシャルワーカーの向井(江口のりこ)と街中で出会った際には、こんなことを尋ねます。
答えをいいよどんでしまう向井。その質問には、迷いから逃れられない小松の心情が表れていました。
最終的に、小松が選んだのは手術を受け、子宮と卵巣を全摘出すること。
手術は無事終わり、変わらぬ明るさを見せる小松。しかし、向井を自宅に招いた時、本当の気持ちを口にします。
涙ぐみながら語る小松。ですが、手術を受けたことをきっかけに小松は「1人ではない」ことに気付いたのです。
それは、自分のことのように案じてくれた、『ペルソナ』のメンバーたち。
すべての女性にとって、他人事ではない現実
今回の『コウノドリ』で描かれた『子宮全摘出』はもしかすると、女性の心にとっては、『命を取る』のと限りなく近いことなのかもしれません。
「お母さんになる人生とならない人生、どう違う?」
小松が向井に向けた質問の答えは、1つではないでしょう。小松が見付けたのは、仲間がいる人生でした。また、これからもいくつも見出していくはずです。
視聴者は自分のことのように迷い、涙を流し、その思いをネット上に投稿しています。
・私もチョコレート嚢腫でした。だれにも相談できなくて、不安で、自分と小松さんが重なりました…。
・子宮全摘出が女性にとってどれほどつらい選択か。小松さんは本当に強い。
・「行かなきゃ」と思っても検査になかなか行かないのは、よくあること。このドラマが、女性が早めに受診するきっかけになるといい。
「忙しくてなんとなく検査を受けなかった」…それは、多くの女性に心当たりがあることではないでしょうか。
それは「ドラマの中で起こっていること」ではなく、「自分にも起こりうること」なのです。
ドラマの登場人物に共感し、自分も同じように悩み、そして、答えを探そうと前向きにさせてくれる…それが、『コウノドリ』が多くのファンに支持される理由の1つかもしれません。
[文・構成/grape編集部]