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「とにかく捨てないで!」 歴史資料を守る研究者たちから被災地へお願い

By - grape編集部  公開:  更新:

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歴史学会関係者などによって結成された『歴史資料ネットワーク』は、災害時の歴史資料の保全などを行っています。

2019年10月12~13日にかけて日本を襲った大型の台風19号では、多くの家が浸水し、家具なども水に濡れてしまいました。

『歴史資料ネットワーク』は、被災者に向けて歴史を守るためにも、古い記録を捨てないように呼びかけています。

■水や泥で汚れた古い記録を捨てないでください

災害復旧の過程で、被災した建物から古文書などが出てくることがあります。これらは一見するとゴミのようですが、地域の貴重な歴史を記録したかけがえのない財産ですので、安易に処分しないでください。また、水害で被害を受け、泥水で汚れた紙の資料は、カビが生えるなど劣化していることがありますが、適切な処置を行うことで、修復することが可能な場合があります。

■そもそも歴史資料って何?

「うちにはそんな古いもの・貴重なものなんてない」とすぐに処分しないでください。国や県や市町村による指定文化財だけが歴史資料ではありません。下記のようなものも、地域や家族・個人の歩みを示す貴重な資料です。

•古文書(くずした文字で和紙に書いたものなど)
•古い本(和紙に書かれて冊子にしてあるものなど)
•明治・大正・昭和の古い本・ノート・記録(手紙や日記など)・新聞・絵
•写真やフィルム、ビデオテープやホームムービーなど
•古いふすまや屏風(古文書が下貼りに使われている場合がよくあります)
•自治会などの団体の記録や資料
•農具、機織りや養蚕の道具、古い着物など、物づくりや生活のための道具など

倒壊した家屋の下敷きとなったり、水や泥で汚れてゴミのように見えても、歴史資料である場合があります。
これらのものは捨てたり焼いたりせず大切に保管下さい。早急な処置によって、修復が可能な場合があります。

2019年台風19号被災地のみなさま、ボランティアのみなさまへ(歴史資料保全のお願い) ーより引用

一見ゴミのようなものも、実は『歴史資料』の場合があります。

歴史資料ネットワークは、歴史資料を「地域と、そこに生きた人々の歴史を復元するための唯一かつ貴重資料」と語った上で、「保全活動にご協力をたまわれますと幸いです」と呼びかけました。

『歴史資料』を見つけた場合どうすればいいのか

もし、歴史資料のようなものを見つけた場合、ボランティアの人は、「処分する前に所蔵者に確認してほしい」とのこと。

また、歴史資料ネットワークは「史料所蔵者も安易に廃棄・売却などせず、教育委員会や各地の史料ネットに相談してほしい」とお願いしています。

ただし、見つけたからといってすぐに乾燥させるのは厳禁です!

やってはいけないこと

冊子を無理にこじあけないでください。
天日やアイロン・ドライヤーなどで急激に乾燥させないでください。電子レンジでの乾燥も歴史資料を傷めます。
とにかく捨てないでください!

資料の修復方法 | 歴史資料ネットワーク ーより引用

「とにかく捨てないで」とお願いする歴史資料ネットワーク。迷った場合は連絡をしてほしいとのことです。

濡れた資料の応急処置の方法は、こちらの動画やウェブで紹介しています。

誤って歴史資料を捨ててしまうと、後世へこれまでの歴史が十分に伝わらない可能性もあります。

復旧活動は大変と思いますが、『歴史を残す』ということを忘れないようにしたいですね。


[文・構成/grape編集部]

出典
歴史資料ネットワーク(史料ネット)

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