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今、アメリカで起きていること理解できていますか? 映画から見る『黒人差別』

By - grape編集部  公開:  更新:

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アメリカのミネソタ州ミネアポリスで、2020年5月25日に起きた白人警官による黒人男性ジョージ・フロイドさんの死亡事故。これに端を発したデモは、今や全米に広がっています。

これは、アメリカの歴史に深く暗い差別の闇があるゆえのもの。

現代社会に根付く『黒人差別』をテーマにした映画から、その歴史を振り返ります。

現実に胸がえぐられる『人種差別』闇の歴史

『黒人差別』を描いた作品① マンディンゴ

最初に紹介するのは、1975年公開の映画『マンディンゴ』です。

アメリカはその成長の過程で大量のアフリカ系黒人奴隷を酷使してきました。その残酷な現実を突きつけたのが本作です。

主人公は、アメリカ南部ルイジアナで大農園を営む、卑劣な白人農園主とその息子。

息子の婚約者が黒人奴隷と恋に落ち、息子自身も黒人奴隷の娘に惹かれてしまう様子を、シビアな描写で描いた作品です。

劇中では、「我が農場では14歳を超えて処女の黒人女なんぞおらん!」などの黒人少女たちへの不当な性暴力発言や、黒人の子どもの人身売買、さらには「黒人に魂なんぞある訳ない!」など、胸をえぐられる描写が次々と出てきます。

しかし、これは、当時当たり前のように横行していた現実なのです。

タイトルの『マンディンゴ』とは、西アフリカに住む『マンディカ族』のことで、人権などはまったく無視され、商品として高値で取引されていました。

『黒人差別』を描いた作品② ミシシッピー・バーニング

次は、1988年公開の映画『ミシシッピー・バーニング』です。

『マンディンゴ』で描かれた時代は、南北戦争でリンカーン大統領率いる北部が、奴隷制度が色濃く残る南部に勝利したことで、歴史上は終焉を迎えています。しかし、現実は違いました。

1960年代のアメリカ南部ミシシッピ州で実際に起きた、3人の黒人公民権運動家の失踪事件が元になっている本作。

2人のFBI捜査官が、黒人差別を行う秘密結社『KKK(クー・クラックス・クラン)』の闇に近付いていく、というストーリーです。

『KKK』は、南北戦争終結後に南部の奴隷商人だった男が作った白人至上主義の秘密結社。

白い頭巾をかぶり、無実の黒人を街頭に吊るしたり、生きたまま火あぶりにしたりするなど非道の限りを尽くしました。

劇中では、『KKK』による黒人たちへのむごたらしい暴行や殺人行為、彼らと結託した地元警察の陰湿な妨害行為の実態が鮮烈に描かれています。

トランプ大統領の移民排斥傾向に賛同の声を挙げるなど、現在も多くの活動家がいる『KKK』。なお、本作は歌手の氷室京介さんも好きな映画の1つと公言しているようです。

『黒人差別』を描いた作品③ マルコムX

次は、黒人差別をテーマに映画を作り続けるスパイク・リー監督による、1992年公開の作品『マルコムX』です。

参政権すらなかった黒人たちの地位向上を目指した、公民権運動の代表的指導者であるマルコムXの半生を、名優デンゼル・ワシントンが演じています。

物語は、幼少期に『KKK』の嫌がらせを受けていた父親を亡くし、自身も10代の頃から服役を経験していたマルコムの人生をなぞるように進みます。

その後、彼は服役中に『ネイション・オブ・イスラム(NOI)』という教団に出会い、開眼。獄中の図書館で猛勉強をし、出所後は『NOI』に所属することになります。

しかし『NOI』の闇を知ったマルコムは教団とたもとを分かち、瞬く間に公民権運動の代表的指導者になりますが、彼を苦々しく思ったNOIに銃撃を受け、亡くなってしまいます。

この作品は日本のヒップホッパー、Zeebraさんにも大きく影響を与えているようで、Twitterでもたびたび話題に挙げています。

『黒人差別』を描いた作品④ デトロイト

次は、公民権運動以後、1967年に起きたデトロイト暴動事件を描いた、キャスリン・ビグロー監督による、2017年公開の映画『デトロイト』です。

黒人たちの不満が爆発し、ミシガン州デトロイト市で起きた約5日間の暴動を群像劇で描いた本作。

物語は3日目にモーテルに宿泊中の黒人男性たちが、おもちゃの銃を撃ったことをきっかけに、怒涛の展開になだれ込みます。

無実にも関わらず尋問・暴行、果ては殺人にまで発展した白人警官の横暴を描いたシーンは強烈のひと言…。白人警官役のウィル・ポールターの怪演は必見です。

なお、物語で重要な役である黒人警備員役を演じたジョン・ボイエガは、フロイドさんの死亡事故に端を発したデモにも参加しており「キャリアに影響が出ようがかまわない」と熱いスピーチを行い、正義感あふれる姿で大衆を勇気付けています。

『黒人差別』を描いた作品⑤ フルートベール駅で

最後は、2013年の映画『フルートベール駅で』です。

2009年にアメリカ・サンフランシスコで実際に起きた凄惨な事件を、当事者となったオスカー・グラントの日常を追いかける視点で描いた本作。カンヌ映画祭でも賞を受賞した作品です。

2009年の元日のフルートベール駅。22歳の黒人青年オスカー・グラントは、車内で白人グループに絡まれてしまいます。

そして、揉めごとを聞きつけた白人の鉄道警察官2人は、彼に不当な扱いを繰り返し…というのがあらすじ。

マーベル映画『ブラックパンサー』で悪役のキルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンが本作の主演を務め、話題を呼びました。

ライアン・クーグラー監督は本作のインタビューで「映画で描いた状況が目の前で展開されれば、白人警察官の取る態度は映画と同様になるケースが多いと思います」とコメント。今尚続く不当な白人警官の暴力事件の危険性を訴えています。

また、本作は、あの世界的歌姫ビリー・アイリッシュがインタビューで、3年連続で好きな映画として挙げていることでも有名です。

こうした映画を振り返ることで、5月から起きている暴動にどのような意味、怒りが込められているのか見えてきそうですね。

自分の目で映画を見て、そして現実で起きている問題をとらえ直してみてください。


[文・構成/grape編集部]

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