極右集会にいた男性のTシャツに、差別と戦ったジョニー・キャッシュ 子どもたちが猛抗議
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2017年8月12日に、アメリカ南部のバージニア州シャーロッツビルで、KKK(人種差別団体クー・クラック・クラン)ら白人至上主義者たちと、その反対派が衝突。
極右集会に参加していた男性が、人々を自動車でひき、反対派の女性が死亡した事件がありました。
激しさを増す衝突に、国内外から関心が集まる中、ある子どもたちの投稿が注目を集めています。
父の名前がネオナチのTシャツに
声明を投稿したのは、ジョニー・キャッシュさんという、アメリカの有名なシンガー・ソングライターの子どもたち。
ジョニー・キャッシュさんは、カントリー・ミュージックやロックなど複数の殿堂入りを果たし、没後は彼の名を冠した博物館が建てられた人物です。
人々から愛され続けるジョニー・キャッシュさんですが、子どもたちは予想外の場所で父の名前を目にします。
シャーロッツビルで暴力的な行進をしていた『ある男性』のTシャツに、大きく名前が入っていたのです。
灰色のTシャツに、ギターと共に白い文字で『JOHNNY CASH』と書かれたTシャツ。一見すると、ただのデザインに思えるかもしれません。
しかし、「ジョニー・キャッシュは極右であった」または「ジョニー・キャッシュは極右を支持してくれる」といったような、『メッセージ』だと受け取る人が現れてしまう恐れがありました。
看過できない、衝撃的な映像を見たジョニー・キャッシュさんの子どもたち。娘であるロザンヌさんは、自分のほかにキャシーさん、タラさん、シンディさん、ジョンさんを加えた5人の連名で、Facebookに声明を公開しました。
ジョニー・キャッシュさんの、子どもたちからのメッセージ
「ジョニー・キャッシュは、心臓の鼓動が愛と社会正義のリズムを刻む男でした」と、ロザンヌさんたちはいいます。
ジョニー・キャッシュさんは、ユダヤ人国家基金、ブナイ・ブリス(ユダヤ人文化教育推進協会)、国連などから人道的賞を受賞。また、ネイティブアメリカンの権利を擁護し、ベトナム戦争に抗議し、貧しい人々の声に耳を傾け、公民権を奪うものと苦闘し、囚人の権利を保護していました。
彼は、差別者の対極にいるような人物だったのです。
声明には、こう書かれています。
子どもたちは、白人至上主義者の姿勢を批判し、人々の多様性を尊重するよう呼びかけています。
そして、ジョニー・キャッシュさんが、『ある男性』が属しているような白人至上主義のシンボルでないことも訴えています。
「私たちは愛を選ぶ」
ジョニー・キャッシュさんの子どもたちは、父の意志を引き継ぎ、人々を傷つける勢力に反対の声を上げました。
すると、ロザンヌさんたちの声明は瞬く間に広がり、多くの反響を得ました。
ジョニー・キャッシュさんは、2003年に71歳で亡くなりました。
彼がいまのアメリカを見ていたら、子どもたちと同じように感じたかもしれません。
[文・構成/grape編集部]