テレワークの導入時は就業規則に注意 盛り込むべき内容6つ
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従業員の満足度向上や新型コロナウイルス感染症への対策として、テレワークの導入を検討している企業は多いでしょう。
テレワークを導入する際は、多くの企業で就業規則の変更が必要となります。テレワークに適した就業規則を設けると従業員も働きやすくなり、順調にテレワークを進めることが可能に。
当記事では、テレワークの導入時に就業規則の変更が必要なケースや、就業規則に記載すべき項目のほか、就業規則変更後の手順も解説します。
テレワークの導入時は就業規則の変更が必要?
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テレワークを導入するに当たって、労働時間や給与などの労働条件が変わらない場合は、就業規則を変える必要はありません。
しかし、テレワークはオフィスと労働環境が異なるため、通常勤務の就業規則をそのまま適用することが難しいケースもあります。
テレワークを実施する際に、労働時間や待遇、従業員が負担する費用などに変更がある場合、就業規則の変更が必要です。
なお、従業員数が10人未満の企業では就業規則の作成義務はありませんが、就業規則に近いルールや規定の作成が望ましいとされています。
ルールや規定を設けていない場合は、テレワーク導入をきっかけに勤務制度を整えましょう。
就業規則の変更が必要になるケース
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テレワークに当たって、以下のような変更が生じた場合には、就業規則も変更する必要があります。
【就業規則の変更が必要なケース】
・労働時間を変更する場合(始業時間、終業時間、休憩時間、休日、休暇)
・賃金の計算や、支払い方法に変更が生じる場合
・諸経費の負担方法や、各種手当の追加および変更が生じる場合
労働基準法の第89条では、従業員に情報通信機器や通信費の費用を負担させる場合は、就業規則への記載が必要であると定められています。
テレワーク勤務手当を新たに設置するなど、待遇に変更を加える場合も就業規則の変更が必要です。
従業員の業務内容に変更がない場合でも、トラブル防止やスムースな経営のため、テレワークに適した就業規則を定めておくことが推奨されています。
就業規則を変更して適用するまでには時間がかかるため、余裕を持って作成にとりかかりましょう。
テレワークの導入時に就業規則・別規定に盛り込む内容6つ
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テレワークを導入するに当たって、就業規則を変更する場合、『就業規則の中にテレワーク勤務規定を追加する方法』と『別規定として定める方法』の2つのパターンがあります。
どちらの方法でも構わないものの、分かりやすさや便宜から、テレワーク勤務規定を別規定として定めるケースが多い傾向です。
就業規則を変更する場合は、テレワーク勤務規定に盛り込むべき内容がいくつかあります。
テレワークの定義
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テレワークの就労形態は、自宅で働く『在宅勤務』、企業所有のオフィスで働く『サテライトオフィス勤務』、移動中などに仕事をする『モバイル勤務』の3つ。
導入するテレワークの種類を明確にし、複数の就労形態を導入する場合は就労形態ごとに規定を作成しましょう。
在宅勤務とする場合、実家で介護を行いながら仕事をする人や、自宅にワークスペースがなく外出先で仕事をする人がいる可能性もあります。
従業員の状況を考慮しつつ、勤務場所を正確に指定することがポイントです。
テレワークの対象者
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テレワークの対象者には、テレワークを行う可能性のあるすべての人を定めます。
勤続年数や家族の同意を条件とするほか、災害など緊急事態に備えて全従業員をテレワークの対象とすることも可能です。
また、テレワークの申請許可の有無や、申請手続きについても記載します。
申請手続きについては、『上司にメールで前日までに連絡する』など、誰にどのような方法で、いつまでに申請するのかを詳細に書きましょう。
服務規律
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テレワーク勤務時に守るべきルールを定めます。
別規定としてテレワーク勤務規則を設ける場合は、就業規則の本文に別規定へ委任する旨を記載しましょう。
服務規律には、テレワーク勤務時の情報管理方法、セキュリティへの注意喚起などを記載します。
家族や親族への情報漏洩にも配慮すべき場合は、『従業員の親族を第三者とみなす』と規定するとよいでしょう。
テレワーク時の情報セキュリティ対策については、総務省の『テレワークセキュリティガイドライン』を参考とすることが推奨されています。
費用負担
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通常勤務では従業員が諸経費を負担することはないものの、テレワークでは通信費などを従業員が負担するケースもあります。
諸経費は、『誰が』『どのように』『いくらまで』負担するのかを明確にしましょう。
事務用品費や消耗品費は、従業員が購入後に企業へ請求するほか、通販業者を利用し、支払いは企業が行う方法もあります。
個人使用と業務使用の区別が付きにくい水道光熱費などは、従業員が全額を負担するか、もしくは企業が上限額を定めて支給することが多い傾向です。
勤務時間の管理
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テレワークに適用する労働時間制を定め、休憩時間や賃金の計算方法について明確にします。
就業規則に変更を加え、『フレックスタイム制』や『事業場外みなし労働制』などをテレワークで採用することも可能です。
時間外労働や休日労働、深夜労働の申請方法も定めましょう。
テレワーク勤務時は、メールや電話、勤怠管理ツールで始業および終業報告を行うことが一般的です。
業務報告書の作成を義務付けて、従業員の勤務時間や進捗状況を把握するケースもあります。
通勤手当
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業務内容によっては出社が必要な従業員もいるため、テレワーク時の通勤手当の支給方法を見直す必要があります。
通勤手当の設定には、定期代を支給せずに実費精算する方法や、出社日数に応じて定期代と実費精算を切り替える方法なども。
ただし、一定の出社日数を基準に定期代を支給する場合は、出社日数が想定と異なり過不足が発生するケースもあります。
社員の出勤状況を考慮し、通勤手当の補填方法についても明確にしましょう。
就業規則の変更後にやるべきこと
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就業規則を変更した時は、その後にさまざまな対応をする必要があります。
テレワーク勤務規定を就業規則に追加する場合はもちろん、別規定として作成する場合にも手続きが必要です。
就業規則は書面上で変更しただけでは適用されないため、忘れずに手続きを行いましょう。
ここでは、就業規則の変更後にやるべきことを解説します。
労働基準監督署に変更届を提出する
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就業規則を変更した場合は、必要な書類とともに、窓口、郵便、電子申請のいずれかの方法で管轄の労働基準監督署へ届け出ます。
提出に必要となる書類は、下記の通りです。
【提出書類】
・就業規則(変更)届(2部)
・意見書(2部)
・変更した就業規則(2部)
意見書とは、労働者代表による就業規則への意見と署名が記載されたものです。
提出した書類のうち、1部は受理印を押された後に控えとして返却されるため、社内で保管しましょう。
従業員に周知する
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変更した就業規則は従業員へ周知することが義務付けられており、周知した時点から効力が発生します。周知の方法は次の通りです。
【変更した就業規則の社内周知方法】
・常に社内の見やすい場所へ掲示する
・書面を従業員へ配布する
・磁気テープや磁気ディスクに記録し、従業員が社内で内容を確認できる環境を整備する
多くの場合は、従業員へ一斉送信メールを配信する、社内共有フォルダに保存しパソコンから閲覧可能な状態にするなどの方法がとられています。
研修を実施する
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必要に応じて研修を実施すると、円滑にテレワーク勤務へと移行できるでしょう。以下は、テレワーク勤務に伴い開催を検討したい研修の一例です。
【テレワークに関する研修の一例】
・テレワークに伴い導入するシステムやツールの研修
・情報セキュリティ対策の研修
・管理職へ向けたテレワーク中のマネジメント手法の研修
・テレワーク中の健康管理についての研修
従業員がテレワークに対して不安や不満を感じないように、テレワーク導入によるメリットや、移行後の評価制度なども伝えておくとよいでしょう。
まとめ
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テレワークの導入に伴い、労働時間や待遇の変更、従業員にこれまでとは異なる費用負担が発生する場合は、就業規則の変更が必要です。
テレワーク勤務規定には、テレワークの就労形態や対象者、服務規律を記載します。また、費用の負担方法や、勤務形態も明確にしましょう。
就業規則の変更後には、管轄の労働基準監督署へ変更届、意見書、就業規則を提出します。変更した就業規則は、従業員に必ず周知しましょう。
また、必要に応じてテレワーク勤務を支援する研修を実施すると、テレワークの導入成功につながります。
[文・構成/grape編集部]