消費税ってなんであるの?いつから? 税理士が素朴な疑問をマルっと解決!
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- 出典
- 財務省
自身が設立した個人事務所で税理士として働く喜多弘美さん。
『税金をもっと身近に!』をモットーに、今回は日々の暮らしに直結する『あの税金』について、身近な例を交えながら分かりやすく解説してくれます!
大人でもよく分からない『税金』のこと
スーパーなどで買い物をする時、旅先で温泉に入る時、車の購入時など、暮らしのさまざまな場面で、必ずといっていいほど関わってくる税金。
身近な存在でありながら、こんなふうに感じている人は多いのではないでしょうか。
税金のことって、なんだか難しい…。なぜ必要なのか、理由もよく分からない。
日常のさまざまな場面でかかる税金ですが、2022年現在、なんと約50種類もあるということをご存知でしょうか。
気になるのは…暮らしに直結するあの税金!
実はたくさんの種類がある税金。設定された理由はさまざまですが、意外と大人でも「そんなにあるなんて知らなかった!」という人もいるかもしれません。
数ある税金の中でも、特に身近に感じ、気になるという声が多いのが『消費税』
今回はそんな消費税について、簡単に分かりやすく解説します。
レジ前で財布を開く瞬間や、ネット注文で会計画面に表示される『消費税』の文字に、なんとなくモヤモヤしている人は、ぜひ最後までお付き合いくださいね!
※写真はイメージ
消費税ってなんで始まったの?
消費税は生まれたばかりの赤ちゃんにも関係している税金です。
「えっ!」と思われるかもしれませんが、赤ちゃんのために買うオムツやミルクにも消費税がかかりますよね。
そう考えると、いかに消費税が日々の暮らしと切っても切れないものだということが分かるでしょう。
そんな消費税が始まったのは1989年。高齢化社会での福祉の財源確保を目的として導入されました。
2022年現在から遡ると33年前なので、「自分が子供の頃はまだなかったのか…」と思う人もいるでしょう。
ゴルフ用具は課税!じゃあ、テニス用具は…?
消費税の前身となる税金に『物品税』があります。
物品税は、貴金属や宝石類など贅沢品に対して課された税金でした。
しかし、ゴルフ用具には課税されるのに、テニス用具には課税されないなど、政府が税金を制定する際、「どの物品に税金がかかり、かからないのか」という判断がとても大変だったのではないかと筆者は推測します。
※写真はイメージ
さらに、国民の所得水準が上がったことで、誰でも貴金属や宝石類などを購入しやすい経済状況へと変化。
もはや『贅沢品とそれ以外の商品を区別する必要がない』という時代になったといえます。
物品もサービスも一律に課税!
そこで、贅沢品だけでなく、一律に課税できるように、また、物品だけでなくサービスにも課税するように、消費税がスタート。
「対象にサービスも含めることで、広く公平に税金を集めることができ、税収が安定する」というのも導入理由の1つです。
しかし、「サービスにも課税」といわれても「具体的にどんなものにかかっているの?」と悩んでしまいませんか。
そこで、恋人との楽しいデートプランを例に、一体、どれだけのモノやサービスに課税されているのかを考えてみましょう!
デートでかかる消費税って、どんなの?
恋人とディナー&カラオケデートをした場合
・電車やバスで待ち合わせ場所へ 交通費に課税
・イタリアンレストランでディナー 酒類含む飲食費に課税
・カラオケ 個室・設備の利用料に課税
・電車やバスで帰宅 交通費に課税
こんなふうに書くと「デートの行く先々で課税されているのか…」と驚く人も多いでしょう。
好きな人が自分のためにラブソングを歌ってくれて、ウットリしている間にも、消費税はしっかり発生しているのです…!
※写真はイメージ
さらに、人によっては、前日に美容院で髪をキレイにしてもらったり、ネイルサロンで爪を磨いてもらったりすることもあるでしょう。当然、これらのサービスも課税対象になります。
こうしてみると、消費税がどれほど日々の生活に密着しているかということが分かりますよね。
ただし、好きな人と過ごす時間はお金に換えられないものですから、その間は税金のことは忘れて、思いっきり楽しみましょう。
『消費税の導入理由』まとめると…?
消費税が始まるまで、日本の税収は所得税が大部分を占めていました。
2022年現在でも「高所得者の税金が高い」といわれていますが、消費税が始まる前の1987年の所得税の最高税率は60%で、住民税と合わせると76%に!
高所得者の負担を減らし、税金の負担の偏りを解消することも消費税が始まった理由の1つです。
消費税が始まった理由をまとめると、次のようになります。
・高齢化社会という社会問題を解決するため。
・税収を安定させるため。
・税金の負担を公平にするため。
「なぜ必要なのか?」を知ることが大切!
税率3%から始まり、2022年現在では10%。今後もさらに上がるといわれている消費税。
「税金をどう集めるのが公平か」という問題については、年収が上がった人や下がった人、家族が増えた人や子供が自立した人など、それぞれの立場によって意見が異なるため、線引きが難しいでしょう。
さまざまな意見がある中、「高所得の人が税金を多く納めたらいいじゃないか」という考えもあります。
ただ、そうすると高所得者はこのように考えるかもしれません。
・もっと税金が低い国へ行こう。
・一生懸命頑張って働いたのに、税金をたくさん負担しないといけないのか…。
仕事などに対して、努力する気持ちを失ってしまうこともあるでしょう。
その点、消費税は全員が同じように負担するので平等ともいえますが、これもまた、低所得層は少ない給与の中から消費税を支払う必要があり、結果として負担が大きくなることも考えられるので…本当に難しい問題だといえます。
このように、税金の種類が1つだと、誰かの負担が大きくなってしまいます。
だからこそ、税金は約50種類あり、いろいろな集め方をすることで、誰か1人にだけ負担がかからないようにしているのです。
そう考えると、「税金もみんなで支え合って成り立っているのだな」と感じ、税金に対する見方が変わるかもしれませんね。
[文・構成/grape編集部]