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大阪桐蔭・優勝! キャプテン中村誠さんの『中学時代の作文』が胸に響く

By - grape編集部  公開:  更新:

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ついに幕を閉じた、第96回全国高校野球選手権大会決勝戦。

夏の全国高校野球大会第14日目、「三重」と「大阪桐蔭」が決勝で死力を尽くして戦い、大阪桐蔭が逆転で三重を破り、春夏連覇した2012年以来、2年ぶり4度目の全国制覇を果たした。

逆転2点打で優勝に大きく貢献した、大阪桐蔭の主将「中村 誠」さん。
昨年秋の新チームスタートで臨んだ、秋の大阪府大会でコールド負けの屈辱から、見事に自らの行動で部員を引っぱり、スター選手不在といわれる今年のチームをまとめあげた。

そして手にした優勝。目に涙を浮かべて「やっとチームが束になることができた」と語った。

そんな中村さんが、中学3年生の時に書き「内閣総理大臣賞」を受賞した、作文が感動的だと話題になっています。

全文はページ下部にあります。


友から学んだこと【要約】

中村 誠 (福岡県・糸島市立志摩中学校3年)



  • 僕には体に障害を持った友達がいます。
  • 右半身麻痺、通常の食事もとれない、失語症。

  • 小学校5年生のとき、まだ健康だった友だちと野球を通して出会った。
  • 僕よりもとても野球がうまかった。負けたくないと心から思い、一生懸命練習に打ち込んだ。
  • ライバルとして中学でも戦おうと約束した。
  • 中学での試合に友だちの姿はなかった。

  • 突然の病気が原因で、友だちは重い障害を背負い、大きなショックを受けた。

  • はじめは、友だちを「かわいそう」だと思っていました。
  • 懸命にリハビリに取り組む姿に、「かわいそう」なんて上から見下すような考えは失礼だと思うようになった。

  • 自分なら「かわいそう」と思われたくない。

<ここから原文>

全ての障害者に対して共通する気持ちです。障害者になりたくてなった人は誰もいません。そして誰もが障害者にならないという確率はゼロではないのです。



友達のように突然、病気になるかもしれないし、事故にあってけがをしたり、またどんな災害に出くわしてしまうかもしれません。もし僕がそうなったとしたら、想像するだけでもつらいことですが、そんなとき僕は人から同情されたくないと思います。「かわいそう」と思われたくないのです。人間はどのような障害を背負っていようとも、命ある限りは生きていかなければならないことはみんなに平等に与えられていることです。ただ生きていくための条件が良いか、少し悪いかという差だけのことだと思います。だから僕は障害者を見て「かわいそう」と思うことが許せなくなりました。



僕はお見舞いに行くと友達の車いすを押して出かけることがありますが、よく他人の視線を感じることがあります。自分と違う人を見ると違和感を持つ人が多いのだと思います。でも自分と人は違っていて当たり前なのだし、その他人を認めることは最も大切なことだと思います。世の中のすべての人が自分と違う他人を受け入れることこそ、差別のない社会の実現につながっていくように思います。



友達のためにも、僕は野球を一生懸命頑張りプロ野球選手になり活躍します。

中村さんの真摯な姿勢は、こんな彼の体験から育まれていたのですね。そしてその思いを胸に、また一歩その夢に近づいた中村さんは、かたちは違っても、いまでもライバルと戦い続けている。本当に優勝おめでとうございます!

友から学んだこと【全文】

中村 誠
(福岡県・糸島市立志摩中学校3年)



僕には、絶対叶えなければならない夢があります。


僕には体に障害を持った友達がいます。体の右半分はマヒしていて、右手はブラブラしていますが、右足は少し動くので介助すると歩くことができます。えん下障害もあるので食べ物は細かくきざんだ物にとろみをつけて介助でゆっくり食べれます。水分は多く飲めないでお腹に開けた胃ろうからチューブを通して注入します。それから失語症もあり全く声が出ません。文字盤も使えないので自分の意志を伝えることはできないのです。とても不便な生活を送っています。


その友達と知り合ったのは僕が小学五年生の頃、四年前です。僕が野球の試合に出るようになり、対戦相手だった子と友達になった。その子は同級生と思えないくらいに野球が上手だった。ポジションも一緒だった。試合にも負けた。僕はとても悔しかった。「絶対に負けたくない」この気持ちを胸に僕は一生懸命練習した。小学生の最後の大会の決勝戦でそのライバルのいるチームと戦った。延長戦で僕のチームが優勝することが出来た。でも僕は勝ったとは思えなかった。だから中学生になっても別のチームで戦っていくことを約束した。しかしその友達といるチームとの試合があっても友達はいなかった。


友達は障害者になっていました。障害者になって三年になります。三年前のある日を境に突然障害者になってしまったのです。原因は病気です。本当に急な出来事でした。当時僕は大きなショックで友達を受け入れることができませんでした。


そんな友達を見て、初め「かわいそう」だと思っていました。でも一生懸命にリハビリに取り組んでいる友達の姿を見ていると、僕は「かわいそう」と思うのは良くない事だと思うようになりました。なぜかというと、人に対して「かわいそう」と思うことは、その人を見下しているように思ったからです。友達は障害を持ちながら一生懸命に生きているのに、上からの目線はごうまんで大変失礼なことだと思いました。このことは友達に対することだけではなく、全ての障害者に対して共通する気持ちです。障害者になりたくてなった人は誰もいません。そして誰もが障害者にならないという確率はゼロではないのです。


友達のように突然、病気になるかもしれないし、事故にあってけがをしたり、またどんな災害に出くわしてしまうかもしれません。もし僕がそうなったとしたら、想像するだけでもつらいことですが、そんなとき僕は人から同情されたくないと思います。「かわいそう」と思われたくないのです。人間はどのような障害を背負っていようとも、命ある限りは生きていかなければならないことはみんなに平等に与えられていることです。ただ生きていくための条件が良いか、少し悪いかという差だけのことだと思います。だから僕は障害者を見て「かわいそう」と思うことが許せなくなりました。


僕はお見舞いに行くと友達の車いすを押して出かけることがありますが、よく他人の視線を感じることがあります。自分と違う人を見ると違和感を持つ人が多いのだと思います。でも自分と人は違っていて当たり前なのだし、その他人を認めることは最も大切なことだと思います。世の中のすべての人が自分と違う他人を受け入れることこそ、差別のない社会の実現につながっていくように思います。


友達のためにも、僕は野球を一生懸命頑張りプロ野球選手になり活躍します。

平成23年度入賞作品 中学生部門 最優秀賞 ーより引用

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出典
平成23年度入賞作品 中学生部門 最優秀賞

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