祖母を置いて逃げた…震災の傷あとに苦しむ女の子へ、心療内科医の言葉
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読売新聞の「人生案内」欄には、人生についての相談と、専門家からの回答が連載として掲載されています。
東日本大震災から5年経ち、ひとつの投書が注目を浴びています。掲載されたのは、震災の年の6月ごろのようです。
タイトルは「祖母を置き逃げた自分呪う」。大学生の女の子の相談に対し、心療内科医が回答しています。
掲載されていたのはこのような内容です。
女の子からの相談
(津波から)私は祖母と二人で走って逃げていた。祖母は途中で走れなくなり、おぶってあげると言っても頑なに拒み、先に行けと言う。
私は一人で走って逃げた。
3日後、祖母は遺体で発見された。気品があって憧れていた祖母は、魚市場の魚のように体育館に転がされて、人間の尊厳などない姿だった。
祖母を見殺しにした自分を、一生呪って生きなくてはならないのだろうか。毎日が苦しい。
心療内科医からの回答
祖母を見殺しにしたとは、私は思えない。
おばあさまは、背中におぶさったら二人とも助からないと考え、自分の意思であなたを先に行かせた。その判断力のおかげであなたは生き抜いた。
人はどんな姿になっても尊厳を失ったりしない。おばあさまは誇りをもって人生をまっとうされた。その素晴らしさはあなたの中に受け継がれている。
おばあさまが生きていたらかけたい言葉、してあげたいことを、今周りにいる人にしてあげてほしい。それが憧れだったおばあさまの心を生かす道。
この相談を見た人々からは、先生の回答が素晴らしい、との声があがりました。見て早々、涙してしまった…とも。
回答を見て、女の子の心が安らかになったことを願わずにはおれません。
「人生案内」は、辛い時に見返すと力になると、心に響いたものを切り抜いてとっておくという人も多いそうです。書籍にもなっていますので、迷ったときに「こんな見方もあるのか」と気づきを得る道しるべとして、手に取ってみてはいかがでしょうか。
きょうも誰かが悩んでる – 「人生案内」100年分