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シーチキンの油、捨てた方がいい? はごろもフーズの回答に驚きの連続

By - デジタル・コンテンツ・パブリッシング  公開:  更新:

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シーチキンの写真

料理に使うツナ缶の代表格といえば、『シーチキン』という人は多いでしょう。

本記事では、はごろもフーズ株式会社(以下、はごろもフーズ)に『シーチキン』の秘密にとことん迫りました。

『シーチキン』とは何か?

『シーチキン』は1958年11月に発売され、2023年で発売65年になります。

はごろもフーズは1931年創業で、『まぐろ油漬缶詰(ツナ缶)』を製造してアメリカに輸出していました。

ツナ缶自体はアメリカ生まれで、諸説ありますが、1903年にカリフォルニアで誕生したとされます。

日本では、1929年に静岡県の水産試験場で製造予備試験、いわゆる試作を行い、その技術を周知。

当時、静岡県静岡市の清水港で豊富に水揚げされる、ビンナガマグロは、冷蔵・冷凍技術が発達していなかったため、廃棄されることも多かったといいます。

はごろもフーズは、それを使って『まぐろ油漬缶詰(ツナ缶)』の製造をスタート(※)。

ツナ缶はアメリカではポピュラーでしたが、日本では輸出がメインで、ほとんど食べられていなかったのです。

※2024年現在もツナ缶の約97%は、静岡県の会社が製造・販売。

日本にツナ缶文化を広げた『シーチキン』

戦後、日本人の食の欧米化が進み、はごろもフーズは、1958年11月に日本での販売を始めるに当たり、『まぐろ油漬缶詰(ツナ缶)』に、イメージしやすい名前を付けて広めたいと考えました。

そこで、原材料の蒸したビンナガマグロが、味も食感も鶏肉によく似ていたことから、海(Sea)の鶏肉(Chicken)で『シーチキン』と名付けて商標を登録。

現在では、どんなツナ缶も『シーチキン』と呼ぶことがありますが、これはツナ缶を食べる風習がなかった日本に初めて伝えたという名残からでしょう。

はごろもフーズのシーチキンの写真

発売初期の『シーチキン』

現在の『シーチキン』の材料は?

原材料について、はごろもフーズに聞いてみたところ、このような回答がありました。

『シーチキン』の原材料の魚は現在4種類あります。

発売当初は『ビンナガマグロ』、その後『カツオ』、1981年に『キハダマグロ』が加わり、2023年8月21日に新しく『ブリ』が仲間入りしました。

近年は缶詰の価格が値上がり傾向にあり、高級食のようになってきました。

『シーチキン』も昔と比較すると値段は上昇。寿司と同じで、魚の価格が上昇しているためでしょうか。

この点についても、はごろもフーズに聞いてみました。

原材料のマグロやカツオは、近年、海洋資源保護の観点などから漁獲量が不安定な上、世界的な需要の拡大により需給バランスが悪化。供給よりも需要が大きく、価格が年々上昇しています。

さらに原材料の多くを海外から輸入しており、円安により価格が上昇したため、2022年から数回、製品価格を改定、つまり値上げしました。

『シーチキン』の油は料理に使える?

話は変わって、気になる人も多いであろう『シーチキン』の油を料理に使ってもいいのかも聞いてみたところ…。

『シーチキン』に使っている油は、綿実油と大豆油です。どちらもサラダ油の原材料になっている一般的な油なので、調理用の油としてお使いいただけます。

『シーチキン』の油には、魚肉の旨みが沁み出し、だしを取ったような風味があり、さらに野菜エキスなども入っているので、調味料としてお使いいただくことをおすすめしています。

『シーチキン』と一緒に味噌汁や炒め物に使ったり、油でドレッシングを作ってサラダなどにかけたりするのもおすすめです。

はごろもフーズのウェブサイトでは『シーチキン』を使ったレシピが公開中なので、覗いてみてください。

『シーチキン』は約60種類もある!

はごろもフーズによると、『シーチキン』は、原材料の魚種や魚肉の形状、調味液の種類、容器などにより、現在は約60種類(パック品は除く)あるのだとか。

まず、製品名で原材料の魚の種類が分かるようになっています。つまり、1つの製品に2つ以上の魚種は使っていないわけです。

はごろもフーズのシーチキンのラインナップの写真

バリエーション豊かな『シーチキン』

例えば、『シーチキン』はビンナガマグロ、『シーチキンL』はキハダマグロ、『シーチキンマイルド』はカツオが原材料です。

マイルドという名称は、「カツオは魚の風味が強いので、マイルドな味付けにしたことに由来しています」とのこと。Lはライトミート(Light meat)のLが由来だそうです。

そして、新たにラインアップに加わったのがブリが原材料の『シーチキンEvery(エブリ)』。

はごろもフーズのシーチキンの写真

『シーチキンEvery(エブリ)』

また、魚肉の形状も一部製品名で分かるようになっています。

塊のままのものはソリッド、大きくほぐしたものはチャンク、細かくほぐしたものはフレークです。

ソリッドタイプのツナの写真

身が塊のままの『ソリッド』タイプ

チャンクタイプのツナの写真

身を大きくほぐした『チャンク』タイプ

フレークタイプのツナの写真

身を細かくほぐした『フレーク』タイプ

つまり、『シーチキンLフレーク』という製品名なら、キハダマグロが原材料で形状はフレークタイプの製品だと分かりますね。

はごろもフーズによると、製品名に魚の名前を使っていないのは、このような理由があるからだそうです。

魚種の先入観を持たずに、『シーチキン』としての味わいを楽しんでいただきたいからです。

どれもひと口食べると、『シーチキンの味』を感じると思います。それぞれの魚種の特長を生かしながらも、『シーチキンの味』をお楽しみいただけるように、油や調味液を調整しています。

日本にツナ缶を食べる文化を広げた『シーチキン』は、これからも日本人に愛され続けるでしょう。

※「シーチキン」「シーチキンSmile」「オイル不使用シーチキン」「一本釣」「シーチキン純」は、はごろもフーズ株式会社の登録商標です。


[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]

取材協力
はごろもフーズ株式会社

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