『外食恐怖症』が話題 当事者が語る苦しみに… 「他人事ではない」「広まるべき」
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外食の目的は、お腹を満たすためだけに限りません。
職場の仲間とコミュニケーションを図るためだったり、自炊の手間を省くためであったりと、さまざまでしょう。
外食に全く抵抗を感じない人がいる一方で、一緒に食事をする相手や周りの目が気になって落ち着かない人も、一定数いるものです。
2024年5月22日、『外食恐怖症』という単語がXでトレンド入りし、注目を集めました。
『外食恐怖症』当事者たちの苦しみ
事の発端は、朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)などで活躍する気象予報士の小林正寿(こばやし・まさとし)さんが、『外食恐怖症』に苦しんだ過去を明かしたこと。
同日、公表した内容が各ニュースサイトを通じて拡散されたことをきっかけに、SNSで反響が集まりました。
『外食恐怖症』は、『会食恐怖症』とも呼ばれる社交不安障害の一種で、誰かと一緒に食事をすることに対して、強い不安感や緊張感を抱く症状なのだといいます。
そもそも、どのようなことが原因で発症するのでしょうか。X上では、当事者たちが実体験を振り返り、悲痛な声を上げています。
・小学校高学年の時、給食を残したら、クラスのみんなの前で、残っていた食べ物を無理やり口に押し込まれて深く傷付いた。それ以来、人前でごはんを食べるのが怖くなった。
・保育園から小学校低学年の頃、給食の時間に、嫌いな物を食べ終わるまで机に座らされていた。そんな中、ほかのみんなはお昼寝をしたり外で遊んだりしていた。
当事者の声を拾うと、『外食恐怖症』が発症する原因として多いのは、学校給食であることが分かりました。
生徒に対し、教師が給食の完食を強要する『完食指導』が問題となった事例を、見聞きしたことはありませんか。
ひどい場合は、生徒の口の中に、教師が食べ物を無理やり押し込んでいたようです。
こうした行きすぎた指導がトラウマとなり、人前でごはんを食べることを怖いものと認識するようになってしまうのです。
確かに給食を残さず食べるのはよいことですが、教師の押し付けともいえる指導により生徒に深い傷を負わせてしまっては、元も子もありません。
※写真はイメージ
さらに深堀ると、日本の風習そのものに対して憤りを示す声も見られました。
・忘年会や新年会の強制参加や、「先輩の食事を断ってはいけない」という風習が原因かも。学校給食だけが原因ではないと思う。
・各々にペースや性格の違いとかがあるのに、それらを押し潰して『集団』として均質化するの、本当に許せない。こういうのが、『外食恐怖症』などの精神障害を引き起こすんだろうな。
日本社会に古くから根付く『参加の強要』に苦しめられた挙げ句、『外食恐怖症』を発症してしまうケースもありそうです。
※写真はイメージ
『外食恐怖症』が正しく認識される社会の実現
『完食指導』や『参加の強要』のいずれにも共通するのは、行きすぎた強制。
こうした強制こそが、深刻な精神的ショックとなり得るのです。
そもそも『外食恐怖症』を社交不安障害であると認識している人は少数。実際、X上では「知らなかった」「社交不安障害だったとは…」などの声が多数見受けられました。
そのため、『外食恐怖症』はさまざまな原因で発症し得る、精神障害の1つである事実が社会全体に認知される必要がありそうです。
まずは各々が、当事者の苦しみについての理解を深めた上で、徐々に根本的な解決策に踏み込んでいくのがよいのかもしれません。
[文・構成/grape編集部]