料理の写真だけで『材料』や『レシピ』がわかる人工知能が完成!
公開: 更新:
ダイコンは「すりおろしません」 裏技に「コレすごい」「なめらかだ」大量のダイコンおろしを作ると、腕や指が痛くなってしまいがち。そのため作るのが面倒だと感じる人も多いでしょう。『おろし金でおろす』方法以外で、ふんわりなめらかなダイコンおろしを大量に作れる方法を紹介します。
ラップが料理に溶けたら、食べても大丈夫? 旭化成の回答に「そうだったのか」料理にラップをかけてレンジ加熱した際に、ラップが溶けてしまったことはないでしょうか。この場合、料理に影響はないのか気になりますよね。『サランラップ®』を販売する、旭化成ホームプロダクツ株式会社(以下、旭化成ホー...
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、料理の写真を与えられると、材料やレシピを推測する人工知能システム『pic2recipe(ピックツーレシピー)』を開発したと発表しました。
『pic2recipe』は、料理の専門サイトなどから、100万種類以上のレシピ情報と画像をニューラルネットワークに学習させ、料理画像や食材、レシピとの間の関係性を分析させた結果、料理の写真を見せると、写真に描かれている料理に使われた小麦粉や卵、バターなどの材料を特定することができ、さらにはその料理を作るためのレシピ情報をデータベースから呼び出して提案することができる夢の人工知能システムです。
例えば、ハムエッグの写真を読み込ませると、卵、ロースハム、サラダ油といった材料が導き出され、そこから「フライパンにサラダ油をなじませたら、まずはハムをカリッとなるまで強火で炒めたあと、生卵を割って弱火で1分焼き、小さじいっぱいの水をかけて蓋をして1分むらせればできあがり」といった料理のレシピまで分かってしまうというわけです。
現在ウェブサイトで、みなさんが食べてみたい料理の写真を読み込ませると、何%の確率でこの料理ではないかと分析してくれて、料理が確定できれば、そのレシピも見られますのでぜひ試してみてください。
Pic2Recipe
MITのYusuf Aytar(ユセフ・アイター)氏によれば、『pic2recipe』ができたことで、これまでSNSなどに投稿された料理の写真を見て、ただ単に「おいしそうだな」と指を加えて眺めていただけだったのが、その作り方や材料を分析してくれるようになった。これは素晴らしいことだ、SNSの役目が変わるかもしれない」と話しています。
つまり他人がレストランで食べておいしいと撮影した写真がSNSで公開されるやいなや、それを見た友人や知り合いが、すぐに家庭で再現してしまうことも可能となったわけです。
また『pic2recipe』の分析で、健康的な食生活ができているか、できていないかなどの分析にも役立てられるのではないかとも話しています。
これは、明白な栄養情報がなくても、画像認識だけで食べ物に含まれる栄養素を把握することに役立てられる可能性があるということなんです。
これは逆に使えば、どのような栄養素が入っているか分かっていてもいなくても、写真を撮り、原料を入れて、実行するだけで、必要な栄養素の入った類似のレシピを見つけ出してくれて、健康に必要な栄養素を、入手しやすい食材だけで摂取することができることにも応用できるというわけです。
現在は、クッキーやマフィンのようなデザートで、特に効果的だったそうです。なぜなら、データベースを構成するために多くのデータを読み込ませたからだといいます。
しかし、寿司ロールやスムージーのような、より曖昧な食品の成分を検出することは、いまのところ困難のようです。つまり写真だけでは中身が見えないということもあるのかもしれません。
また、似た料理のレシピがあると、しばしば混乱をきたすこともあったそうです。
例えば、ラザニアを作る方法は数多くあるので、人工知能の学習チームは、異なる料理にも関わらず似ているレシピを選んでも『ペナルティ化』しないように調整する必要があったそうです。
これを解決する方法の1つは、レシピ自体を比較する前に、それぞれの成分が一般的に似ているかどうかを見ることだったそうです。
将来的には、食品をより詳細に理解できるように人工知能システムのさらなる改善を検討中。
食品がどのように準備されているか、例えば、煮込んだ状態なのか切ったままなのか、キノコやタマネギのような食材の、さまざまなバリエーションを学習させて、見分けることができるようにしていきたいということです。
『pic2recipe』の話題を聞いてつくづく人工知能の活用方法はアイデア次第だと思いました。みなさんもぜひこの夏、こうした人工知能の新たな活用方法を考えてみてはいかがでしょうか。
[文・構成 土屋夏彦/grape編集部]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。