意外と知らない婚姻費用 相場や支払い拒否時の対応を弁護士が解説
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読者の皆さんのなかには、離婚を前提に別居を考えているという方もいることでしょう。そうなると収入の低いほうは、生活が苦しくなってしまいます。
そんなとき、収入の低い側は相手から婚姻費用を受け取ることができます。この婚姻費用とは「婚姻から生ずる費用、家族の生活費」のこと。
別居となった場合は当然受け取りたいものですが、相場や相手が支払いを拒否した場合の手続きなど、わからないことばかりです。そこで秋葉原よすが法律事務所の近藤美香弁護士に解説していただきました。
■婚姻費用の相場は?
近藤弁護士:「民法上、『夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する』と定められています(760条)。
しかしこの規定だけでは、婚姻費用がいくらになるのかは不明確です。まず、もしご本人同士で話合い、双方納得して金額が決まればその金額となります。しかし、実際は双方の意見が異なることが多いため、実務上は「婚姻費用算定表」をベースにして婚姻費用の額が決められることがほとんどです。
具体的には、①双方の年収、②子どもの有無、人数や年齢等をもとに算定表を参考にして金額が決められます。また、子どもが私立学校に通っている場合等、特別な事情がある場合は、その分も考慮されることがあります。双方の年収だけで決まっているわけではない、ということには注意が必要です」
■相手が支払いをしない場合は?
近藤弁護士:「相手方に対して調停・審判を申し立てます。相手方が仮に調停に応じなくても、婚姻費用の額を裁判所に決めてもらうことができます。
調停や審判で決まれば、相手方が支払わない場合、相手方の給与等を差し押さえることが可能となりますので、決まった金額が支払われることがほとんどです。
ただ、調停・審判においては、調停を申し立てた日に遡って支払が命じられることが多いので、別居に至り、相手方が生活費を支払わなくなった場合は、すぐに調停を申し立てるほうが得策です」
別居する前に弁護士と相談し、婚姻費用についてある程度対策を考えておくほうが、いいかもしれません。
*取材協力弁護士: 近藤美香(秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。)
*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)
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