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書籍と『ビスコ』に詰まった想いを聞いたら 後日談の「私のせいで…」に涙

By - 佐渡夏美  公開:  更新:

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家族のエッセイ漫画を描いている、ひろ(hiro.00316)さん。2019年2月に公開した『ビスコのおばあちゃんのはなし』は人々の心を打ち、ネット上でまたたく間に拡散されました。

内容は、当時小学1年生だったひろさんの娘・なっちゃんが、認知症のおばあちゃんと公園で出会うエピソードです。

『ビスコのおばあちゃん』のあらすじ

公園のベンチに座ってうつむくおばあちゃんを発見したなっちゃん。心配して声をかけると、喜んだおばあちゃんにビスコをランドセルへ入れられてしまいます。

後日、なっちゃんは公園で『ビスコのおばあちゃん』と再会。すると、付き添いで来ていた『おばあちゃんの娘さん』から、「おばあちゃんはボケてるから無視してもいい」といわれました。

挨拶し続けることを選択すると、後日『ビスコのおばあちゃん』が亡くなったことを知らせに来た『おばあちゃんの娘さん』から、あるプレゼントをもらいます。

2019年5月15日には『ビスコのおばあちゃんのはなし』のほか7作品を収録した単行本『家族って、いいな。』(大和出版)が発売され、ひろさんのエッセイ漫画はさらに多くの人に読まれています。

ひろさんと娘さんに、『ビスコのおばあちゃんのはなし』のエピソードや書籍化されたことについての想いなどをうかがいました。

すると、2人の心の温かさに触れることに…。

ひろさんにインタビュー

――『ビスコのおばあちゃんのはなし』の反響は?

正直、私の描いたものがこんなに話題になるとは思っていなくて。

実際にFacebookやTwitterで話題になっていて、驚きました。

そのおかげで、Instagramを見に来てくださるかたがたくさんいて、嬉しかったです。

――家族の話を描き始めたキッカケは?

猫が好きで、最初は猫の話を描きながら母の語録集的なものを描いていて。

それがフォロワーさんたちの間で評判になり、「家族の話を描いてほしい」との要望もあって描き始めました。

――子どもたちと正面から向き合い、意見を尊重できたのはなぜ?

私の子育ての軸はすべて、自分の育ってきた環境の中にあって。

自分が育てられてきたように我が子を育てたい。母のような母親になりたい。それだけでした。

母は小さなころから私の意見を尊重してくれて、親の考えを一方的に押し付けるようなことは、一切ありませんでした。

子どもも自分の意志を持つ、1人の人間。

いずれは自分の意志で、自分の道を決めて歩んで行かなければいけない時が来る。

産んだからといって、親の私有物ではないということを、忘れてはいけないと思っています。

――『ビスコのおばあちゃんのはなし』の後日談は?

本には描いていませんが。

あの後、娘がたまたま近所で『ビスコのおばあちゃんの娘さん』に会った時、「私のせいで、おばあちゃんの手からビスコを渡してあげられんでごめんね」といわれたそうです。

――書籍が出版されたことについての想いは?

数社の出版社から書籍化の話をいただいた時、信じられなくて、家族みんなで「ダマされているんじゃないか」と不安な気持ちになっていました。

今回このように書籍化していただき、私の中では人生で5本の指に入るくらい、大きな宝物になりました。一生の思い出です。

一族全員、大喜びです。

――ご家族への想いは?

家族への思いは、もうこれしかありません。

私の母でいてくれて「ありがとう」。

私の兄でいてくれて「ありがとう」。

私をパートナーに選んでくれて「ありがとう」。

私の子どもに生まれてきてくれて「ありがとう」。

私の家族でいてくれて「ありがとう」です。

家族一人ひとりが、心の底から大切で、大好きです。

『ビスコのおばあちゃん』に登場する娘さんにインタビュー

――お母さんの書いた漫画が話題になったことについての感想は?

「母は作家でも漫画家でもないのに、なぜ作品がこんなに話題になっているのか」と不思議に感じていました。

でも、インスタの母の投稿に寄せられたコメントを読むと、みなさんが共感したり、感動したり、涙したりしていて。

自分の母親が、こんなにたくさんの人の心を動かしているのかと思うと、母のことを誇らしく思えました。

――お母さんとの関係について、娘さん自身はどう感じてる?

自分は昔から、母に心配や迷惑ばかりかけてきました。

それでも母は、どんな時も私の味方でいてくれました。

昔から「自分の決めたように生きればいい」と、自由にさせてくれていたおかげで、いまの自分がいるんだと思います。

感謝してもしきれないくらい、感謝しています。

自分にとって、母以上の母はいません。

――自分のエピソードが話題になることについては?

「自分のことが話題になっていて恥ずかしい」とか、そういう思いはなくて。

逆になんだか読むのが楽しみで、自分に対するコメントなどが書かれていたりして、嬉しいです。

母は私の話を描く時に、「この話を描こうと思うけど、どう思う?」と聞いてくれますが、私は「好き勝手に描いてくれていいのに」と思っています。

ただ、写真を載せるのだけはNGにしてもらっています。

――『ビスコのおばあちゃん』の記憶は成長したいまもある?

『ビスコのおばあちゃん』のことで覚えていることは、おばあちゃんの笑った顔と、ランドセルを勝手に開けられたことと、「ビスコ好き?」って聞かれたことと、手をつないだ時のすごくシワシワだった手と、「おばあちゃんがいるかな」と思ってわざと公園を通って帰ったことと、「おばあちゃんが亡くなった」と聞いて泣いたことです。

話した内容はたくさんあるはずなのに、細かいセリフなどの記憶が曖昧です。

あと、友達に『ビスコのおばあちゃん』の話をした時に、友達から「知らん人と話をしたらダメとよ」っていわれた記憶があります。

でも、自分は『ビスコのおばあちゃん』のことが好きだったので、普通に友達と話すようにおばあちゃんと話していました。

――『ビスコのおばあちゃん』へ伝えたい想いは?

「身内でも孫でもない私を可愛がってくれて、想ってくれて、優しい気持ちがつまったビスコをくれて、ありがとう」と伝えたいです。

人生の最後に出会った人が私で、喜んでくれていたのなら、嬉しいです。

ひろさんと娘さんの、『ビスコのおばあちゃん』への想い。そして家族への想いに、胸を打たれます。

誰とでも真摯に向き合い、出会えた縁や家族になれた縁を大切にしていることが伝わってきますね。

心温まるエピソードの数々をもっと読みたくなった人は、ひろさんの書籍『家族って、いいな。』をぜひお手に取ってご覧ください。


[文・構成/grape編集部]

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