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冷凍マグロ、冷蔵庫で解凍してる? 専門店の回答に「早く知りたかった!」

By - デジタル・コンテンツ・パブリッシング  公開:  更新:

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マグロの写真

※写真はイメージ

誕生日などの記念日には、冷凍マグロを買って食べるという人もいるでしょう。

しかし、ドリップが出てしまうなど、解凍方法に苦労している人は少なくないようです。

そこで、天然マグロの販売などを行う『築地ホクエイ』に取材し、おすすめの解凍方法をうかがいました。

『築地ホクエイ』はマグロ専門の仲卸店として40年の歴史があり、銀座の高級寿司店にも納品するような高品質なマグロを扱っています。

3つのマグロの切り身の前に座る齊藤賢取締役の写真

築地ホクエイの齊藤賢取締役。38年間もマグロに関わるプロです。

プロおすすめのマグロの解凍方法とは

『築地ホクエイ』の齊藤賢取締役に聞いたところ、冷凍マグロの解凍方法には2つあるとのこと。

【1.塩水解凍】(量販店向け)

1.容器に塩水を作る。塩水の濃さは、水1ℓに対して塩大さじ山盛り2杯(約35グラム)。約3%の塩水、つまり海水と同じぐらいの濃度にする。

2.必要なぶんのマグロの柵の表面を軽く洗い流し、表面の汚れを流水で取り除く。

3.1で作った塩水に柵を2分浸す。洗浄した柵を塩水に浸し、2分経ったら取り出す。

4.水分を拭き取り、室温で10~15分程度、自然解凍する。塩水から取り出した柵は、ペーパータオルなどで表面の水分をよく拭き取る。室温は20~25度が目安。

5.柵が半解凍状態の時にスライス。柵の芯がやや硬い半解凍状態で包丁を入れると、きれいに角が立った刺し身に仕上がる。

6.ラップをかけて冷蔵庫で保管。冷蔵庫で完全に解凍し、スライスしたらできるだけ早く食べる。

【2.氷水解凍】(業務店向け)

1.マグロの冷凍の柵の表面を洗い流す。

2.ペーパータオルで水分をよく拭き取る。

3.ビニール袋に入れて、空気をよく抜いてからしっかり封をする。

4.少し大きめのボールに氷水を作り、袋に入れた柵を沈める。浮いてきたら小鉢などを使って沈め、約2~3時間で解凍は完了。

5.スライスすれば刺身の完成。後で食べる場合はラップをして冷蔵庫で保存して早急に食べる。

家庭でのおすすめは『1』の塩水解凍とのこと。

齊藤さんによると、「やっちゃいけないのは冷蔵庫での解凍」だそうです。冷蔵庫での解凍すると、柵からドリップがたくさん出てしまうのだとか。

3つのマグロの切り身が並んだ写真

上記は『築地ホクエイ』に見せてもらった冷凍マグロの解凍による差。

左から『塩水解凍のマグロ』『氷水解凍のマグロ』『ひと晩冷蔵庫で解凍したマグロ』です。

まず、塩水解凍のマグロはドリップが見られませんね。

マグロの切り身の写真

塩水解凍のマグロ

続いて、氷水解凍のマグロを見ると、ややドリップが出ています。

マグロの切り身の写真

氷水解凍のマグロ

最後に、冷蔵庫で解凍したマグロを見ると、かなりドリップが出てしまっています。

マグロの切り身の写真

冷蔵庫で解凍したマグロ

齊藤さんの話によれば、塩水解凍を行うと塩分によって表面のタンパク質が結合して、ドリップも出にくくなるとのこと。

解凍時間も30分くらいで済むので、家庭では塩水解凍がおすすめだそうです。

マグロは解凍よりも保管方法が重要!

齊藤さんによれば、「プロ目線でいえば、解凍方法よりも保管方法のほうが大事」とのこと。

そのため、冷凍マグロを冷蔵庫の冷凍室に入れっぱなしというのは論外で、購入したら早めに食べることがポイントです。

冷凍マグロの保管はマイナス50度以下で行うのが普通ですが、家庭用の冷蔵庫の場合にはマイナス20度程度なので、3日ぐらいしか持ちません。

マグロの水分はマイナス50度ぐらいにならないと凍らず、水分が身の中で動いて劣化していきます。

これが普通の冷凍物とは違う点。細菌はマイナス18度以下で死滅すると思うのですが、色が絶対にもちません。

マグロ漁船はマイナス60度の冷凍設備を持っており、マグロを入れる日本の倉庫は全部マイナス50度。弊社の冷凍庫もマイナス50度、サンプルを入れるストッカーも同じです。

マグロの保管技術には最先端のテクノロジーが!

マグロの身が褐色になっているのを見たことがあるかもしれません。

これは、メト化と呼ばれる現象で、マグロの色素タンパクのミオグロビンが酸化して、メトミオグロビンに変わることで起こります。

メト化は、以下のように進行するそうです。

1.0度以上では温度が高いほど早く進行する。

2.マイナス5~20度の間では、0度よりメト化のスピードが速く、マグロの表面は発色して、芯が褐色に変化する。

3.マイナス50度以下で、すべての物質の変化が止まるが、マイナス40度以上であれば、温度が高ければ高いほどメト化が進行する。

つまり、マグロのメト化を進行させずに保存するには、急速な冷凍、いかに速くマイナス50度以下までもっていくのかが重要。

そのために、日本のマグロ漁船、保管場所には最新のテクノロジーが使われているのです。

家庭用冷蔵庫の冷凍室のマイナス20度程度というのは、上記の『2』に該当するので、上手に解凍しないと見た目もいい状態で食べられないのです。

最後に、齊藤さんから「マグロのおいしさを味わうためにも、解凍、保管に十分留意してください」とアドバイスがありました。

本記事で紹介した解凍方法で、おいしいマグロを食べてくださいね!


[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]

取材協力
築地ホクエイ

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