自然と対話してみると、『それまで気づかなかった自分』と出会える
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
時には自然と対話してみる
音楽大学で『作詞』の授業を担当して6年目になります。
作詞の決まりごとはそう多くはなく、授業で伝えているのは「いかに感受性のアンテナを広げ、想像力、創造力を高めていくか」を、毎回さまざまなワークを通して伝えています。
これは『感性の筋トレ』で、行えば行うほど言葉、表現は鍛えられていくのです。
例えば、「悲しい」という言葉を使わずに「悲しい」を表現する。『静けさ』を「静か」という言葉を使わずに表現する。『静けさ』というのは『音』があって感じるものでもあります。
「遠くでサイレンの音がしている」騒がしい場所では遠くのサイレンの音は聞こえません。ですから『音』を描くことで、静けさを表現することも可能なのです。
このように状況、感情、言葉を深掘りしていくと、ある種の『本質』につながっていくのです。
言葉を生業にする人たちに限らず、「深掘り」することは大切なことだと思います。私たちはつい表層の感情に囚われがちです。
例えば怒りを感じたとする。何を怒っているのか。その怒りの向こうに何があるのか。その怒りの源泉は何なのか。そこにリーチできると、手放すことができるのです。
例えば、その怒りの向こうに『わかってもらえない悲しみ』があるかもしれない。『いつもうまくいかない自分への悔しさ』があるかもしれない。
その源泉へ辿り着くために、(どうしてそう思うのだろう?)(本当はどうしたいのだろう?)などと自分に問い続けると、腑に落ちる答えに着地するのです。
先日、『木との対話』というワークをしました。ある木の写真を見せ、その木との対話を考えてもらいました。おそらく学生たちはその対話を通して何かを感じ取ったのではないかと推察します。
木 「君は何をしようとしているんだ?」
自分「今を必死に生きようとしているんだ」
木 「なぜそれをしたいのだ?」
自分「それは、自分は必死に努力すればいつか幸せになれると信じているからだ」
木「努力をすれば必ず幸せになれるわけじゃない。それくらい知っているだろう?」
自分「もちろん知っている。だが、自分が努力をしなければ辛いことも知っている。努力の先に待つものは成功だけじゃない、失敗もあるだろう。だが、仮に失敗したとしても自分は努力したんだという思いでいつの日かの自分の心が楽になることを私は知っている。」
木「人間は少しおかしい。報われぬ努力をするより風や鳥の声に耳を傾け、体を休めるべきだろう。」
自分「確かにおかしい。だから人間ってのは面白いんだ。」
3分ほどの間に書かれた『対話』です。木との対話という設定ですが、これは『自分との対話』と言ってもいいでしょう。
「書く」「表現する」とは、自分と一緒にいることでもあるのですね。散歩の途中で、旅先で、自然と対話してみてください。それは自分との対話です。思ってもみなかった内なる言葉との出会いがあるでしょう。
それは、『それまで気づかなかった自分』と出会うことであり、成長するきっかけにもなるのです。
いのちを紡ぐ言葉たち かけがえのないこの世界で
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※記事中の写真はすべてイメージ
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」