なぜ 「ヤフオクで美術品落札」が違法ではない!? 政治資金規正法のからくり
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最終的には舛添東京都知事の辞職願提出という決着を見た、政治と金の問題。
新党改革に所属していた際に受け取った政党助成金400万円を離党時に返還しなかった、いわゆる「ネコババ疑惑」に始まり、不適切な政治資金の支出が指摘されました。
しかし、間違ってはいけないのが、舛添さんが辞職願提出まで追い詰められたのは「さまざまな金にまつわる問題で有権者の信頼を失ったから」であって、話題になった「政治資金の支出が違法と判断されたから」ではないということ。
実際、美術館通いや日用品の購入、家族旅行に書道のための中国服の購入など、とても政治活動とは思えない支出も、法律の専門家によって「政治資金規正法上、不適切だが違法ではない」と判断されています。
目的は「収支の公開」と「資金授受の規正」
印象論としてはクロというイメージしかない舛添さんの支出ですが、なぜ政治資金規正法ではシロと判断されてしまうのでしょうか?
政治資金規正法が成立したのは戦後間もない1948(昭和23)年。GHQの指導によって制定されたというこの法律の目的は「政治資金の収支の公開」「政治資金の授受の規正」の2点に集約されます。
1.政治資金の収支の公開
簡単に言うと政党や政治団体は、政治資金を「どこから調達したか」「どう使ったか」を記載した報告書を提出し、誰もが確認できる状態にしなければならないということ。
2.政治資金の授受の規正
こちらは「政治活動のための寄附には量や質に制限がある」というもの。特定企業との癒着や利益供与を防ぐためのルールと考えると分かりやすいかもしれません。
「公開」は義務だが「使途」は無制限
目的を見れば分かるように、政治資金規正法とは政党や政治団体、政治家などに対して「収支の公開」を義務付けてはいますが、「使途」についてはほとんど何も制限していません。
政治資金の「株式運用の禁止」「不動産取引の制限」はありますが、それ以外はどのように政治資金を使っても、ルールがない以上「違法」とは言えないのです。だからこそ、舛添さんが政治資金を使い、ヤフオクで美術品を落札しても「不適切な使途だが、違法とは言えない」となるワケです。
これでは「政治資金規正法はザル法だ」などと揶揄されてしまうのも無理ありません。
改正を望む声もあるが…
政治資金規正法は、これまで何度となく改正が検討されてきた法律でもあります。
今回の舛添さんの政治資金の公私混同問題でも、Twitterでは舛添さん自身のみならず「政治資金規正法そのものにも問題がある」といった論調も多く見られました。
しかし、一方で、政治資金規正法が「政治資金の収支の公開」を義務付けているのだから、その報告書を有権者が自身の目で確認・判断し、選挙で「適切」な政治資金の運用をする政治家を選ぶべきという意見もありました。
政治資金のすべてが税金というワケではありませんが、一部は税金から賄われているのも事実。国民が舛添都知事の政治資金の支出に、不快感を示すのもある意味では当然のことなのかもしれません。
しかし、今回の問題を舛添都知事の辞職願提出で終わらせてしまうのではなく、政治家の不適切な支出などによって政治が停滞することのないよう、法律そのものについての議論や理解を深めるキッカケにするべきなのかもしれません。