終戦直後、日本は空前の出版ブームだった!自由な表現と活字に飢えた人々が書店に並ぶ
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1冊の本を求めて書店の前に行列ができたといえば、数年前の『ハリー・ポッター』ブームを思い出しますが、戦後間もない1946年頃にはそんな光景があちこちで見られたのです。
戦争中の日本では厳しい言論弾圧が行われ、『改造』『中央公論』などの総合雑誌も社会主義的な評論を掲載したとして廃刊に追いやられていました。
しかし、終戦とともにその弾圧から解放された出版社が活動を再開。1946年には先の二誌をはじめ廃刊していた雑誌が次々と復刊。さらに岩波書店の『世界』、鎌倉文庫の『人間』など、新たな雑誌も数多く創刊され、雑誌ブームが到来しました。当時のニュース映像が、ブームに沸く出版業界の様子を伝えています。
戦争中、活字に飢えていた人々は、先を争うようにしてこれらの雑誌を買い求めました。岩波書店の小売部の前にも、『世界』の発売日には長蛇の列ができたそうです。
出版社の様子もいくつか紹介されていますが、中でもユニークなのが鎌倉文庫です。もともとは鎌倉在住の文士たちが蔵書を持ち寄って開いた貸本屋でしたが、1945年9月に作家の久米正雄を社長にして出版社として発足。重役陣には川端康成、大佛次郎、高見順ら著名な作家が名を連ねています。編集部の雰囲気は、今と比べるとのんびりしているように見えますね。
空前の出版ブームはその後数年続きますが、中身は玉石混交。「カストリ雑誌」と呼ばれる粗悪な娯楽雑誌も生まれては消えていきました。これらの雑誌はたいてい3号前後で休廃刊することから、「3合でつぶれる」といわれた粗悪なカストリ焼酎にかけたネーミングです。
とはいえ右肩下がりの出版不況にあえぐ昨今の出版社からみれば、「つくれば売れる」という当時の状況は、なんとも羨ましく思えるのではないでしょうか。