『恣意的』を正しく使ってる? By - grape編集部 公開:2016-11-22 更新:2018-03-24 言葉 Share Post LINE はてな コメント 国語辞典編纂(さん)者の飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんが『【悲報】「恣意的」までが誤用とされはじめた』というツイートをしたところ、大きな反響が寄せられています。 【悲報】「恣意的」までが誤用とされはじめたwwwwww――と、タイトルをつけたいような現象です。「勝手気ままに」という意味の「恣意的」ということば。その一用法を誤用とする意見が広まってきました。でも、これは俗説です。俗説でことばが殺されることがないよう、どうか守ってください。 pic.twitter.com/ohrzuMWnC7— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年11月18日 飯間さんが懸念しているのが次のような部分。 ネット上では、「恣意的」は「偶然的、ランダム」という意味(A)で使うのが正しく、「意図的」に近い意味(B)は誤用だという意見が、あちこちに見られます。でも、それは早とちりです。 @IIMA_Hiroaki ーより引用 恣意的という言葉を「意図的という言葉に近い意味で使うのが誤用である」という意見があるが、それは違うと語ります。 そして、その理由をこう続けます。 (A)の意味の典型例は「言葉の意味と発音は恣意的(=偶然的)に結びついている」という文です。 (中略)この場合、「恣意的」は神または運命が「勝手気まま」にそう決めたと解釈できます。 (B)の意味で「恣意的に切り取る」「恣意的に解釈する」と言う場合、「偶然的」と置き換えられないのは確かです。一見、「意図的」に近いような感じもします。でも、この場合は、ある人が常識やルール、法律といったものに従わず、自分の気分に任せて物事を切り取ったり、解釈したりしているのです。 「勝手気まま」という点では、(A)とまったく同じです。 @IIMA_Hiroaki ーより引用 そして、こう結論付けています。 (中略)(A)(B)は基本的な意味は共通します。単に、前後の文脈的意味が異なっているのです。 このうちどちらかを誤用とする必要はありません。「恣意的」「勝手気まま」ということばが用いられる場合として2通りある、というだけの話です。 @IIMA_Hiroaki ーより引用 つまり、恣意的という言葉は、「偶発的、ランダム」という意味と、「意図的に近い意味」の2通りの意味で使われ、どちらも間違いではないということです。 なぜ誤用だとされ始めたのか なぜ、「恣意的という言葉を、意図的に近い意味で使うこと」が誤用とされ始めたのでしょうか? 飯間さんは自戒の念も込めて、こうツイートします。 「恣意的」をちゃんと辞書で調べれば、「恣意的な解釈」のようなのを誤用とする意見は生まれないのでは、との声も。ただ、編纂者の反省すべきことですが、辞書の説明は必ずしも誤解を防ぐ書き方になっていません。ネットで諸説飛び交う時代、辞書には、俗説を否定するという役割が加わっています。— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年11月18日 一方で、「もと誤用とされたことばでも、年月が経てば正用になっていくものだ」という意見に対しては、「美しい誤解である」という飯間さんらしい表現で断じます。 「もと誤用とされたことばでも、年月が経てば正用になっていくものだ」というのは美しい誤解です。ことばは気づかれないうちに変化することはあっても、一度「誤用」という共通理解が生まれると、復活するのは大変です。誤用認定が特に激烈になった近年、ことばを愛護することは困難を極めています。— 飯間浩明 (@IIMA_Hiroaki) 2016年8月17日 確かに、一度「誤用だ」というレッテルを貼られてしまうと、その後「この使い方は正しい」ということが分かっても、そのイメージを払拭することは簡単ではありません。 場合によっては、そのまま「誤用である」という見方が定着してしまうこともあるでしょう。 「俗説でことばが殺されることがないよう、どうか守ってください」と語る飯間さん。言葉の意味やその使い方を、見つめ直す必要があるのかもしれませんね。 ティッシュを包丁で半分に切って… 使い方に「目からウロコ」「ナイスアイディア」『革命すぎるティッシュの裏技5選』と題して、動画を公開しました。 ミャクミャクのカプセルトイ 出てきたものに「逆、逆ー!」「アリなんだ」『大阪・関西万博』のキャラクター、ミャクミャクのカプセルトイを回したら?出てきたものに驚いて…。 出典 @IIMA_Hiroaki Share Post LINE はてな コメント
国語辞典編纂(さん)者の飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんが『【悲報】「恣意的」までが誤用とされはじめた』というツイートをしたところ、大きな反響が寄せられています。
飯間さんが懸念しているのが次のような部分。
恣意的という言葉を「意図的という言葉に近い意味で使うのが誤用である」という意見があるが、それは違うと語ります。
そして、その理由をこう続けます。
そして、こう結論付けています。
つまり、恣意的という言葉は、「偶発的、ランダム」という意味と、「意図的に近い意味」の2通りの意味で使われ、どちらも間違いではないということです。
なぜ誤用だとされ始めたのか
なぜ、「恣意的という言葉を、意図的に近い意味で使うこと」が誤用とされ始めたのでしょうか?
飯間さんは自戒の念も込めて、こうツイートします。
一方で、「もと誤用とされたことばでも、年月が経てば正用になっていくものだ」という意見に対しては、「美しい誤解である」という飯間さんらしい表現で断じます。
確かに、一度「誤用だ」というレッテルを貼られてしまうと、その後「この使い方は正しい」ということが分かっても、そのイメージを払拭することは簡単ではありません。
場合によっては、そのまま「誤用である」という見方が定着してしまうこともあるでしょう。
「俗説でことばが殺されることがないよう、どうか守ってください」と語る飯間さん。言葉の意味やその使い方を、見つめ直す必要があるのかもしれませんね。