「妊娠したら罰を受けるんだ」 女子高生は、なんで退学しないといけないの?
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アメリカでは、公立であれば、妊娠した高校生は自主退学になりません。
『連邦教育法第9編(Title IX)』という連邦法が、「連邦の補助金や助成を受ける教育機関での性差別を禁じている」からです。
アメリカは、それぞれの州が独立した国家のように、独自の州法を持っています。
州ごとに独自の州法を持ちながら、なぜ1個の『アメリカ合衆国』という国でいられるのか…それは、50の州が権力の一部を連邦政府に渡しているからです。
日本の都道府県も、独自の条例を制定しています。例えば、京都府の歴史を感じさせる景観を守る『京都景観条例』。京都府は地方自治をしていますが、だからといって日本から独立はしていませんよね。
日本政府が権力の一部を持ち、都道府県をまとめています。
さて、教育も州ごとに独自の州法を定めているであろうアメリカですが、連邦政府が『教育省』から高等教育機関に補助金を配ることで、『連邦教育法第9編』の対象としています。
補助金を受けたアメリカの高校は、『連邦教育法第9編』の「連邦の補助金や助成を受ける教育機関での性差別禁止」を守らなければなりません。
生徒は学校と話し合って、体育に出たいか・出たくないか、休学にするか・しないかなど、個人で自由に選択できます。
「妊娠した生徒を退学にすることは、性差別なの?」
疑問に思う人もいると思います。
「妊娠というのは女性にしかできないことなので、それで勉強の機会が失われてしまうのは性差別につながる」というのがアメリカの考えのようです。
「高校生なのに妊娠しただなんて、不謹慎だ」と考え、社会から排除しようという風潮の残っている日本よりも、人を大切にしているように感じられますね。
日本で育児しながら通える学校
アメリカの例をご紹介しましたが、男女格差を測る『ジェンダー・ギャップ指数』で、日本は、2016年の段階で世界144か国中111位。いますぐに、アメリカのような意識改革は望めません。
日本で自主退学をした先は、出産・育児・中卒での労働しかないのでしょうか。
いいえ。「日本で高校生が妊娠・出産したら、学校をあきらめなくてはならない」ということはありません。
通信制高校なら、託児所付きの学校が複数あります。
例えば、『東京都立一橋高等学校』。
満1歳から6歳(就学前)の子どもを預けることができます。毎年10名前後の申し込みがあるそうです。昼食は、保育室で子どもと一緒に食べられて安心ですね。
また、『京都府立朱雀高等学校』は、3歳前後~小学校低学年までを対象として子どもを預かっています。
「高卒になれる道もあることは分かったよ。でも、もといた高校を退学して、違う高校に行かなきゃいけないのが理不尽じゃん!」
そういう声もあるかと思います。
偏差値の高い高校に通っていたのに、妊娠を機に偏差値の低い高校へ行かなければならなくなったら…大きな葛藤があるでしょう。
仲のよかった友達と離れ離れになり、環境が変わるのも大変なストレス。
残念ながら、日本の多くの全日制高校が、生徒の妊娠を想定せずに運営されているため、十分な体制が整っていません。
けれども、「学校側が自主退学、また休学も強要せず、生徒と話し合ってさまざまな調整を行うようにしよう」という方向に変化し始めています。
通っている高校によっては、話し合いをすれば、自主退学をせずに済む可能性もあります。
「学校側の負担が増す一方だ!」
なんて訴えもありそうですね。
もし、高校のみで対処が困難であれば、「どの学校からの生徒も受け入れ、在籍中の学校を順調に卒業できるよう必要な単位を補ったり、託児所を提供したり、病院と学校との連携まで請け負う、新たな機関」を設立することも考えられるのではないでしょうか。
「高校生の妊娠だけを扱うのは現実的ではない。専門の人をそろえて全国に配置したのに利用人数が少ないという、多大な労力が空費される事態になりかねない」
というのであれば、「妊娠だけでなく、諸事情で学校を順調に卒業できない生徒のセーフティネットとして機能する組織」ができれば、みんな安心できるのでは、と思います。
学校のみの負担とせず、それでいて、妊娠した生徒を1人も支援の手から取りこぼすことのない社会を目指すことができるでしょう。
『妊娠』という、当事者2人だけでなく、それぞれの家族、学校や地域社会が関わる出来事。
妊娠した生徒が自分で生き方を選択できる、息のしやすい社会になることが望まれています。
[文・構成/grape編集部]