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季節の花は、赤から紫色へ アナウンサー押阪忍の『美しいことば』

By - 押阪 忍  公開:  更新:

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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。

ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独り言』にお付き合いください。

今年の夏は、暑い、熱い?日が多かったですねぇ…。猛暑、酷暑の連続で、各地で体温より高い37度、38度を毎日のように記録しました。

その熱さ?の中でも夏の花は、元気に健気に咲いていましたね。

炎暑の夏は、やはり赤の花が多いように思えます。

真っ赤なハイビスカス、サルビア、ゼラニューム、ケイトウ、グラジオラス、ノウゼンカズラ、ホウセンカ、ニチニチ草、キョウチクトウなどなど。

灼熱の太陽をものともせず、むしろ楽しむかのように咲き続ける夏の花たち…。

拙宅でも、天空に伸びて咲くもの、逆に樹下にぶら下がるものの2種のノウゼンカズラがありますが、よくぞまあ、35度以上の炎暑でも平気なものだと、感心したものです。

ところで、涼風の秋を迎えますと、咲く花の色も変わってくるように思えるのですが…。秋の七草の筆頭、ハギやキキョウ、リンドウなど、紫系のものが多いですね。

万葉の歌人、山上憶良は「萩が花、尾花、葛花、撫子なでしこの花、女郎花おみなえし、また藤袴ふじばかま朝顔あさがおの花」と詠み、これが『秋の七草』の由来といわれているのですが『はぎ』は七草の代表です。

万葉の昔は、萩はかなりの数で山野を彩っていたのでしょうね。萩は草ではなく木ですから、憶良の目線には紫色の花をつけた萩が、先ず印象づけられたのでしょう。七草の葛花も赤紫、藤袴は うす紫です。朝顔は、当時まだ日本には渡来してなく、それは桔梗だといわれています。桔梗も青紫…。

そんな訳で私から見ますと秋の花は、紫系が多いように思えるのですが…。

それにしても『秋』の字を一人占めにしている『萩』、その萩の紫色の花が近年余り見かけられなくなったのに、花好きアナウンサーとしては、大変さびしい思いにかられております。

<2017年10月>

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フリーアナウンサー 押阪 忍

1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2017年現在、アナウンサー生活59年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。

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