鎌倉の住宅地で見かけた看板 書かれたひらがな4文字を見て…「買ってみたくなった」
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『エシカルを日常に』というテーマに込められた意味とは?
黒崎さんは、これまで数多くの人たちと面談をしてきた中で、特に印象深かったエピソードを明かしてくれました。
ある日2人のもとに訪れたのは、とあるインドのファッションブランドの代表を務める女性。インド・ジャイプールの伝統的な技法であるブロックプリントの熱弁に、黒崎さんは心を打たれたといいます。
インドでも日本のように、流行の最先端をいち早く取り入れた、低価格で程よい品質のファストファッションが主流になり、若い人たちはあまりブロックプリントを着なくなっているそうなんです。それに伴い、腕が立つ作り手さんたちが辞めて別の仕事に就いてしまうことが結構あるそうで…。
その女性は「そういうことをなくしたいんです」みたいな話を、どれだけ自分がブロックプリントが好きかという熱量とともに語ってくださったんです。
レジカウンターに立つ黒崎さん
インドは縫製の質がピンキリであることから「大丈夫?色落ちするのでは?」と一度は心配していたものの、その女性がしっかりと品質を管理していたため、杞憂に終わったとか。
「これならいける」と確信して取り扱いを開始したところ、その後爆発的に売れるようになったそうです。
また、『えしかる屋』が掲げているテーマ『エシカルを日常へ』という言葉も印象的でしょう。テーマに込められた思いについて、こう明かしてくれました。
『エシカル』が世に知られ始めた当初は「意識高い系の人向けのものでしょ」みたいなイメージが、どうしてもあったと思うんです。でも実際は、『エシカル』は特別なものではなくて。
もともと日本人は、自然と共生するなどの伝統的な文化があるじゃないですか。「日本人が昔から送ってきた日常生活が、実は『エシカル』なんだよ」ということに、もう一度立ち返れるようにといった思いも込めています。
クリスマスシーズンを意識したコーナー
また稲葉さんは、ファッション用品のみならず洗剤や石鹸などの日用品も取りそろえている『えしかる屋』に訪れることで、各々の興味関心の中で『好き・興味がない』の区別を付けるきっかけになり得るといいます。
人や社会、環境などに配慮した消費行動を指す『エシカル消費』の考え方について、こう語ってくれました。
自然素材の服が大好きな人がいる一方、そういうものに全然興味がなくて、面白くてかわいらしい雑貨類が好きな人もいて。自分の『好き』を突き詰めていくのが、『エシカル消費』の考え方で一番大事なところだと思っています。
歯ブラシやハンドクリームなど、日用品の品ぞろえも豊富
最後に、『えしかる屋』の今後の展望について聞いてみました。
ここまで店を続けることでしっかり形になってきているので、今度は逆に『えしかる屋』を上手く使ってくれる人を増やしたいと思っています。写真展やワークショップなど、「何かをやりたい」という相談を受けることも多くて。僕たちが気付いていなかった『えしかる屋』の可能性を、たくさん広げていけるようにしていきたいです。
私自身、50代になってから『えしかる屋』を始めているんですよね。
若い人に『えしかる屋』の存在を知ってほしいという想いもありつつ、私と同じくらいの世代の人たちが訪れることで、「まだまだこれからできることはいっぱいあるよ」というふうに思ってもらえるような店に育てていきたいです。
日常を彩る選択の1つに、エシカルを
これまで『エシカル消費』に対して「敷居の高いもの」や「自分とは関係ないもの」と思っていた人は多いでしょう。
しかし実際には、商店街の青果店や鮮魚店に並んでいる商品を購入する感覚と、なんら変わらないのです。
鎌倉エリアを訪れたら、一度『えしかる屋』に足を運んでみてください。「エシカル商品って、意外と手に取りやすいんだな」と、新たな気付きを得られるかもしれませんよ。
鎌倉市にある住宅地の景観に溶け込んだ、店舗の外観
【えしかる屋】
住所:〒248―0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下3丁目9-5-1 1階
営業日:水・木・金・土・日曜日
営業時間:11~17時
ウェブサイト:えしかる屋
Instagram:ethical.ya
[文・構成/grape編集部]