「もう義足を隠さない」パラトライアスロン選手・秦由加子の挑戦
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パラトライアスロンで活躍する秦由加子選手。
13歳のときに骨肉腫のため右足を切断、以来、35歳の今日まで義足での生活を続けています。
もともとスポーツが大好きで3歳から10歳までは水泳も習っていたという秦選手ですが、右足切断以降は義足を人に見られるのが嫌で水泳はもちろんあらゆるスポーツから遠ざかっていたそうです。
しかし26歳のとき、一念発起してスポーツクラブに通い始めました。
理由は「自分を変えたかったから」。当時は就職して仕事にも慣れ、時間にもお金にも少し余裕が出てきたころ。小さいころに夢中になった水泳にもう一度チャレンジして、自分の殻を破りたいという気持ちがあったそうです。
※画像はイメージです
しかし、いざクラブに通い始めてみると、「周囲の人に義足を見られている気がして、長くプールにいることができなかった」という秦選手。このころは、まだ義足にコンプレックスを抱いていたのです。
そこで次に秦選手が向かったのは、障がい者のスイミングクラブ。ここでは周囲の目を気にせずにのびのびと泳ぐことができ、13年ぶりに水泳の楽しさに開眼。以来、懸命にトレーニングを積み、水泳再開から4年後には国際大会強化選手に選ばれるまでに成長しました。
しかし記録は伸び悩み、夢だったパラリンピック出場は難しい状態に…。
「いつの間にかタイムを伸ばすことだけが目的になってしまい、全く水泳を楽しんでいない自分に疑問を持つようになった」という秦選手。次第に、水泳から心が離れていきました。
そんなとき目に入ってきたのが、パラトライアスロンの選手たちの姿。自分と同じく障がいを抱えながらも、生き生きと競技する姿に惹かれていったのです。そして思い切って水泳からパラトライアスロンに転向。初めて競技用の義足をつけて走った日のことを、秦選手は今でも忘れられないそうです。
※画像はイメージです
「18年ぶりに走ったその日、ふわっと体が浮いた感覚を今もはっきり覚えています。自分には走ることができる、どこにだって行くことができる…!それがとても嬉しかったのです」。
秦選手は周囲のパラトライアスロン選手の姿にも、大きく影響を受けました。特に印象深かったのは、海外の選手が義足を隠さずに雑誌に出ていたこと。
「それを見て、私も義足についての考え方が変わりました。隠さなくてもいいんだなって…」。
そして次第に義足を隠すカバーを着用しなくなった秦選手。休日には義足が見えるショートパンツをはくこともあるそうです。
「義足を見た人が、『あ、そういうのもアリなんだ』ってスッと受け止めてくれたらいいなと思うんです」。
パラトライアスロンを見る人にも、ぜひありのままの姿を見て楽しんでほしいと話します。
「パラトライアスロンを見て『障がいがあるのにすごい』と思う方は、まだ私たち障がい者に『ないもの』に注目しているんだと思います。でもトライアスロンはその人に『あるもの』を最大限に活かして行なうスポーツ。だから私たちに『ないもの』ではなく『あるもの』に注目して競技を楽しんでほしい」。
2016年はASTCアジアトライアスロン選手権で優勝、ITU世界パラトライアスロン選手権で5位入賞など華々しい活躍が続く秦選手。「義足」というコンプレックスを見事、武器に変えた彼女に、ますます注目が集まりそうです!