花弁にしずく踊る、紫陽花と牡丹 アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
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こんにちは、フリーアナウンサーの元祖!?などと言われている押阪忍です。
ご縁を頂きまして、この欄で、お喋りをさせていただくことになりました。お目に留まれば、シニアアナウンサー(花ウンサー)の『独り言』にお付き合いいただければ幸いです。
梅雨の六月ですね。
梅の実が熟す頃の雨なので梅雨と書きますが、しとしとと降ったり止んだりの雨ではなく、最近では豪雨となり、各地で被害が出ることも多くなりました。
田植や穀物のためには必要な雨ですが、ほどほどの雨にして貰いたいものですねぇ…。
さて、この時季の花といえば、やはり代表的なものは『紫陽花』でしょうね。
長雨に降り込められ、沈みがちな気分を彩り、なごませてくれる”六月の顔”ともいうべき花です。雨に咲く花…と言っても過言ではないと思います。
江戸の後期、あのシーボルトが、愛する女性『お滝さん』の名前から、この紫陽花を”オタクサ”と呼び、西洋に紹介したことでも知られています。
太陽の下よりも、しっとりと雨を含んで瑞々しさを増す、情緒のある花だと思います。額紫陽花も同様の美しさです。
もうひとつ、この時季の花で、”花王”と呼ばれる花があります。
それは『牡丹』です。
中国では昔から、この花の豪華さを”花王、花神、富貴花”などと呼び貴びました。
たしかに、その開花時の花の姿は圧巻で”花王”という呼び名がぴったりときますね。
立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花
と称され美人の形容にも使われています。
動物の王者 獅子と、弱きを助ける侠客をからめて『唐獅子牡丹』という高倉 健さんの任侠映画もありましたねぇ。
ところで、このどっしりと重厚な牡丹の花をもじり、春のお彼岸のお供え餅は”ぼたん餅”(ボタ餅)と称し、秋のお彼岸は、萩の花の時季だから”おはぎ”と言う…と かつて古老から聴いたことがあります。
小耳に挟んで置かれ何かの折、小ネタとしてお使いになれば受けるかも、と思ったり…。
では又、次回に…。
<2017年6月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2016年現在、アナウンサー生活58年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。