壁越しに一緒に演奏していた2人のピアニスト 結末に涙が止まらない

By - grape編集部  公開:  更新:

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出典:giorgio_lp_

イギリスで暮らすピアニストのジョルジオ・ル・ポルトさんが体験したストーリーが感動を呼んでいます。

2021年1月、ジョルジオさんが住んでいるアパートの隣の部屋に新しい住人が越してきました。

そしてその部屋から、ピアノの演奏が聞こえてきたのです。

隣人の弾くピアノは素晴らしく、気付いたらジョルジオさんは壁越しに聞こえてくる演奏を楽しんでいました。

名前も顔も知らない隣人とピアノのデュエット

2月のある日、ジョルジオさんは「あなたのピアノをすごく楽しんでいます。よろしければ『My Heart Will Go On』を弾いていただけませんか」と書いたメモを隣人の家のドアに置くことにします。

すると、隣人の部屋から『My Heart Will Go On』の演奏が聞こえてきたのです。

翌日、ジョルジオさんは「弾いてくれてありがとう。素晴らしかったです」とお礼のメモを残します。

すると今度は隣人から返事が届き、「とても楽しかったです」と書かれていました。

こうして名前も顔も知らないまま、2人の交流がスタート。彼らは壁越しにピアノでデュエットをすることにしたのです。

毎週末の午後2時、時にはジョルジオさんから、時には隣人から演奏を始め、どちらかが手を止めるとどちらかが続きを弾きます。

この時期のイギリスは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の影響で、三度目のロックダウン中でした。

自由に人と会えない生活で、ジョルジオさんは隣人とピアノを奏でる時間が安らぎだったといいます。

ついに隣人と初対面

ジョルジオさんが隣人とピアノでの交流を始めてから2週間後、ついに2人は初対面を果たします。

そしてジョルジオさんは、想像もできなかった隣人の素顔を知ったのです。

名前はエミールさん。ポーランド出身の78歳の男性で、家が売れるまでの一時的な住まいとしてジョルジオさんの隣の部屋に越してきました。

エミールさんは2020年12月に妻をコロナウイルスで亡くしたのだそう。家も売り、彼の手元に残っているのは妻が大好きだったピアノだけでした。

そんな彼はジョルジオさんに「私のモチベーションをアップさせてくれて、孤独を感じさせないようにしてくれてありがとう」と感謝を伝えました。

そして、「私がここを引っ越すまでピアノでデュエットをしましょう」と約束したのです。

エミールさんのストーリーにインスパイアされたジョルジオさんは、オリジナルの曲を作り始めます。

『Dear Emil』と題した曲には、孤独との闘いや優しさ、すべてにおいて当たり前だと思わないこと、などの思いが込められていました。

しかし、別れは思いのほか早く訪れます。2人の初対面から約1週間後、エミールさんは引っ越しが決まり、アパートを出て行ったのです。

その後もジョルジオさんは『Dear Emil』の完成に向けて、曲を書き続けます。

それから2週間後、彼のもとに悲しい知らせが入ります。エミールさんが亡くなったのです。

夜、ベッドに入った後、そのまま静かに永遠の眠りについたといいます。

ジョルジオさんは亡きエミールさんへ感謝を込めて動画を投稿。しかし2日後、彼は笑顔でTikTokを更新します。

なんとジョルジオさんが初めて作ったオリジナル曲『Dear Emil』が、音楽ストリーミングサービス『Spotify』などで配信されることになったのです。

彼は「エミールはきっと誇りに思ってくれていると思う」と喜びをつづりました。

ジョルジオさんが約2か月間にわたってTikTokにシェアしたエミールさんについての動画には、「涙が止まらない」「きみたちは出会う運命だったんだろうね」「映画化してほしい」などの声が寄せられています。

短い期間でありながら、ピアノを通じて心温まる友情を育んだジョルジオさんとエミールさん。

エミールさんはきっと今頃、最愛の妻に、ジョルジオさんと過ごした楽しい時間のことを話していることでしょう。


[文・構成/grape編集部]

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