ウエットクリーニングとは　水と専用の洗剤で洗う手法！　向いている製品や注意点を解説

「水溶性汚れを落としたいけれど、洗濯処理が不可でどう洗濯すべきか分からない」「ウエットクリーニングが持つ効果や利用可能な衣類が知りたい」などのお悩みを持つ人は一定数いるでしょう。

水溶性の汚れは水を使って洗い流すのが欠かせませんが、洗濯禁止の際に困惑してしまいます。汗ジミを放置しておくと、衣類が変色したり臭いが発生したりすることも。

また、カビが生えると、衣類の劣化が早まってしまいます。厄介な水溶性汚れをきれいにする方法として、有効なクリーニング手法を理解しておくことが重要です。

本記事では、ウエットクリーニングが持つ効果や適した製品を解説します。ウエットクリーニングとほかの手法との違いや注意すべき点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

ウエットクリーニングとは？水と専用の洗剤で洗う手法

クリーニング店で提供される洗濯サービスの１つに、ウエットクリーニングがあります。水で洗って水溶性の汚れを溶かすことで除去するのが、ウエットクリーニングと呼ばれる手法です。

専用の洗剤を使用した水洗いで、付着した汚れやシミを除去します。ウエットクリーニングであれば家庭での洗濯が禁止の製品も利用対象です。

特別な技術を持ったプロの洗濯業者が専用洗剤を活用して除去するため、水洗いでも優しく洗い上がります。ウエットクリーニングが対象とする水溶性汚れの例は、以下のとおりです。

自宅での洗濯処理が禁止された衣類でも、ウエットクリーニングであれば水で洗えるところが最大のメリットです。

油溶性汚れに強いドライクリーニングでは除去しきれない水溶性汚れは、水洗いするウエットクリーニングが対応できます。

水溶性のシミを取り除きたい製品をウエットクリーニングすれば、効果を実感できるでしょう。

ウエットクリーニングとほかの手法との違い

ウエットクリーニングを除いたクリーニング店の洗濯サービスには、ランドリーとドライクリーニングが存在します。

衣服の素材や汚れの種類により対応する手法が異なるため、サービス利用時に注意です。ウエットクリーニングと比較した手法ごとの違いから、洗濯方法を適切に使い分けましょう。

ランドリーとの違い

ランドリーは洗剤を使った水洗いを洗濯機で行うクリーニング手法の一種です。ウエットクリーニングと共通して衣類を水洗いしますが、対応している製品が異なります。

家庭での洗濯禁止など水への耐性が低い衣類でも、ウエットクリーニングの対象に含まれます。一方ランドリーの場合、洗濯禁止の衣類には非対応なため、洗濯処理が可能な製品のみ利用できます。

洗濯禁止の表示付き衣類には、対応していません。ランドリーは水洗いとも呼ばれ、家庭で行われる洗濯と同様の方法で実施されます。

洗濯処理が不可の場合もウエットクリーニング可能であれば利用できるところが、ランドリーとの大きな差です。

同じ水洗いでも衣類が持つ水への耐性によって対応の可否が変わるため、製品の洗濯表示を事前に確認しましょう。

ドライクリーニングとの違い

ドライクリーニングは水洗いではなく、有機溶剤で衣類を洗うクリーニング手法です。ウエットクリーニングのように洗濯処理が不可の衣類でもドライクリーニングを利用できます。

ドライクリーニングは水を一切使用せず、有機溶剤で衣類を洗う手法です。水溶性汚れが対象のウエットクリーニングと異なり、ドライクリーニングは油溶性汚れの除去に有効な点に違いがあります。

また、ウエットクリーニングと比較してドライクリーニングにかかる料金が安いところが違いです。除去したい汚れの性質に応じて、クリーニング手法を選びましょう。

ウエットクリーニングが向いている製品４選

ウエットクリーニングで洗濯処理すべきおすすめの製品には、特徴があります。

素材や付着している汚れの種類によって、利用できるクリーニングが違うため、対象製品の把握が不可欠です。適切な洗濯手法を選べるようになるため、特徴を知っておく必要があります。

水溶性の汚れが付着した製品

水溶性の汚れが付いてしまった製品は、ウエットクリーニングが最善です。ウエットクリーニングを行うことで、水溶性の汚れを落とせる一方でドライクリーニングでは除去できません。

水を使用した洗濯で水溶性汚れを落とせますが、洗濯処理が不可ではランドリーなどの水洗いができず不便な場合もあり得ます。水溶性で汚れた洗濯禁止製品を洗いたい場合などは、水洗い処理が適切です。

ドライクリーニング対象外の製品

ドライクリーニング不可の表示が付いた製品を洗濯したい際にも、ウエットクリーニングが最善です。洗濯とドライクリーニングのどちらも禁止された製品もあり、洗濯方法に困ってしまう場合も。

ほかの手法が禁止でも、ウエットクリーニングの表示に問題がなければ対応できます。洗濯表示にドライクリーニング不可と記載されている製品の素材の一例は、以下のとおりです。

ウエットクリーニングは、家庭で洗濯できない衣類に付いた汚れを除去する際におすすめです。

水洗いとドライクリーニングに非対応の際は、ウエットクリーニングを利用してみてはいかがでしょうか。

家庭で洗濯できない製品

ウエットクリーニングを使うことで、洗濯禁止の製品も水洗い可能です。ウエットクリーニングであれば、洗濯処理が不可の表示付き製品に水溶性汚れが付着してしまってもきれいに除去できます。

油溶性向きのドライクリーニングでは除去しきれない汗ジミなどの汚れは、水で洗い流せるウエットクリーニングが最適です。

洗濯処理が不可の製品も、プロの業者による水洗いのサービスを受けられます。

クリーニング業者はプロが扱う特殊技術を用いるため、自宅で洗濯処理ができない製品でも洗えるのが嬉しいポイント。ウエットクリーニングには、家庭で洗えないものを出してみましょう。

洗濯時のダメージを抑えたい製品

ダメージを抑えて洗濯したい大切な製品にも、ウエットクリーニングを活用しましょう。

洗濯工程で細かい手が加えられるウエットクリーニングでは、製品が傷まないように機械の力を抑えて洗い上げます。

家庭での洗濯とは異なり、プロのクリーニング店専用の機材や洗剤を使用するのが特徴です。

高度なテクニックと特殊な技法で丁寧に仕上げられ、自宅で水洗いするよりもダメージを抑えられます。

高価なスーツなど洗い方に困る大切な製品は、ダメージを受けづらいクリーニングでの水洗いが最善です。

ウエットクリーニングで洗濯する３つのメリット

ウエットクリーニングならば、そのほかのクリーニング手法では得られない複数の利点があります。挙げられるメリットにより、適切な洗濯方法を選べるようになりましょう。

水溶性汚れや汗ジミによる黄ばみを落とせる

ウエットクリーニングでは、汗ジミなどによる衣類の黄ばみ汚れが発生するのを防ぐことができます。水が不使用で有機溶剤を使うドライクリーニングは、水溶性汚れを落とせません。

ドライクリーニングで仕上げると、汗ジミなどの水溶性汚れが残ったままで、時間経過とともに黄ばみが発生しやすくなります。

黄ばみの発生だけでなく、カビの発生や衣類の劣化スピードを早める原因になりかねないのです。

衣類に付着した水溶性の汚れやシミは水で溶け出す性質があり、水洗いが欠かせません。ウエットクリーニングであれば、水溶性汚れで汚染した製品も問題なく洗濯できます。

汗ジミが原因の黄ばみを防止したい場合は、ウエットクリーニングを利用した専用洗剤での水洗いがおすすめです。

型崩れやシワの発生を防げる

ウエットクリーニングすることで、衣類の型崩れやシワの発生を抑えられるメリットがあります。通常の水洗いでは、機械の力や水による洗浄力によって、衣類が縮むなどして元の型を保てないことも。

衣類の収縮や型崩れの防止効果がある専用洗剤をウエットクリーニングで使用するため、原型を維持しやすいです。

また、クリーニング店専用の仕上げの機械やアイロンによってシワを伸ばすので、衣類のよれも気にならないでしょう。簡易的な水洗いとは違い、仕上がりはウエットクリーニングが優れています。

色落ちが起きにくい

ウエットクリーニングでは、同じ水洗いでも色落ちが起きにくくなります。

水洗いに洗濯機を使用して起こる色落ちは、機械による洗濯で起こる衣類の摩擦が原因です。衣類の繊維が剥がれ、色が入っていないか所が表面に出てくることで、ムラが発生します。

ウエットクリーニングは高度な技法を学んだプロが洗うため、洗濯機による摩擦の心配がありません。衣類を変色させることなく、きれいに洗い上がります。

ウエットクリーニング利用時の４つの注意点

ウエットクリーニング時には、いくつか注意すべきポイントがあります。実際にクリーニング店のサービスを利用する前に、注意点を理解しておきましょう。

ウエットクリーニング不可の製品がある

ウエットクリーニング禁止などが、洗濯対象の製品に含まれていないか確認すべきです。以下の４種類のマークが、ウエットクリーニングの可否を示しています。

『W』の丸型マークにバツ印が付いた洗濯表示が付いている製品は、ウエットクリーニングができません。

丸枠の『W』がウエットクリーニング可、下線１本で弱い操作、下線２本で非常に弱い操作でのみ可能を表しています。

ウエットクリーニングで洗う衣類の洗濯表示を事前に確認して、対象に含まれるかを判断しましょう。

油溶性汚れは落としづらい

ウエットクリーニングには、ドライクリーニングほどの油溶性汚れの除去効果はありません。ウエットクリーニングの洗濯では、油溶性汚れに有効な洗剤を使用していないためです。

ドライクリーニングに使用される有機溶剤が、皮脂汚れを溶かす性質を持っています。ウエットの場合は有機溶剤を使わないため、油溶性汚れをしっかりと落とせません。

製品に付着した汚れの性質を見分けて、適切なクリーニング手法を選択しましょう。

クリーニング店によって仕上がりに差が出やすい

ウエットクリーニングの実施店舗ごとに、衣類の仕上がりに差が出やすい点に要注意しましょう。なぜなら、加工処理を施す機械や作業する人の技量の影響を受けるためです。

技術やサービスの基準を満たしたクリーニング店である証明として『Sマーク』と『LDマーク』があります。

LDマークは、全国クリーニング生活衛生同業組合連合会に加盟していることの証明です。

Sマークは、厚生労働大臣認可の『クリーニング業の標準営業約款』に準じて運営されていることを示します。サービスや技術の高さが証明されたクリーニング店を選ぶのがおすすめです。

ドライクリーニングよりも料金が高い

ウエットクリーニングはドライクリーニングなどの手法を依頼するよりも料金が高いことに注意です。

業者が手作業で洗うことから、専門的な技法と知識が欠かせないため、ほかの手法よりも高めの料金設定に。

ウエットクリーニングの料金は、クリーニング店によって差があります。ウエットクリーニングの料金は、ドライクリーニングと比べて千円以上高くなることも。

また、ウエットクリーニングに非対応な店舗も存在します。プロの技術を必要とし、高度なクリーニング加工を施すため、ウエットクリーニングをメニューに設けられないことがあるためです。

ウエットクリーニング対応可能な店舗を探し、料金を比較してから依頼しましょう。

ウエットクリーニングは水溶性の汚れを落としたい時におすすめ

ウエットクリーニングは、汗ジミなどの水溶性汚れを落とせます。洗濯手法のうち、ウエットクリーニングは洗濯禁止の製品にも対応済みで、水溶性汚れを洗浄可能です。

衣類の変色や型崩れを抑えて洗濯できることが、メリットとして挙げられます。油溶性汚れが専門のドライクリーニングが向かない製品や洗濯処理が不可な場合に、ウエットクリーニングがおすすめ。

注意点は、プロによる手洗いのため、クリーニング店によって仕上がりの差があることです。また、ウエットクリーニング不可の表示が付いた衣類は洗えません。

繊維の傷みを最小限に抑えながら水溶性汚れを洗い落としたい場合に適しているのが、ウエットクリーニングです。

向いている製品やメリットを押さえ、洗濯の１つにウエットクリーニングを活用してみてください。

---

[文・構成／grape編集部]