発泡スチロールから楽器を作り出す、ミュージシャン なぜ『ゴミ』に注目したのか?
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「ゴミを捨てる前に、まず叩いてみる」
これまで、何百種類もの楽器を作ってきたという山口さんですが、30年近くも活動を続けるのは、決して簡単なことではないはずです。
現在まで活動を続けられてきた理由は、なんでしょうか。
僕の場合、「ゴミがもったいない」というよりも「いい音しそうだな」っていう気持ちで、楽器を作り続けてきました。
「地球に優しい」「エコだよね」という気持ちは、もちろん大事ですが、あまり意識しすぎると、つらくなってくると思うんですよね。
たしかに「地球のためになる」とはいえ、意識しすぎてしまうと、音楽を楽しむ意欲も失せてしまいそうですね。
はい。音楽を楽しみながら、地球にもプラスになればいいよねというスタンスが、自分のためにも、地球のためになると感じています。
大切なのは、ゴミに対する見方を養うことです。
ゴミを見て、ほかの用途に使えるかを考える。自分のアイディアで何かを作るだけで、ただゴミを捨てるよりも楽しく、環境問題に参加できるといえるでしょう。
音楽を楽しみつつ、地球にもプラスになればいいと話す、山口さん
それに、ゴミの見方が変われば、商品の買い方も変わってきます。 買い物をする時、一生懸命悩んでから購入すると、自然と愛着がわいてきますよね。
愛着がわくと、簡単には捨てなくなるし、壊れたら直したくなるもの。
ゴミを減らすためには、そんな考え方が必要ではないでしょうか。
日本には「着られなくなった衣服は、雑巾にする」というように、「もったいない」の精神で作り直す文化があります。
ですが「もったいない」というよりも、まずは「こうしたら楽しい」という考え方のほうが、積極的に環境のために行動するきっかけになるのかもしれません。
最後にはなりますが、山口さんの考える、ゴミの減らし方についてうかがいたいです。
できることとして、『捨てる前に叩いてみる』というのはおすすめしたいです。
「どんな音になるのか」とワクワクする耳を育てる。そういう人が増えれば、無駄なゴミはちょっとずつ減る気がしますね。
アトリエに設置された数々のオリジナル楽器
人間が生活していく上で、ゴミは必ず出てしまうものです。どれだけ減らそうと意識したとしても、社会全体で急に量を減らすのは難しいでしょう。
ですが、捨てていたゴミが実は面白い楽器になり、美しい音色を奏でる可能性があると知ると、ワクワクしてきませんか。
「ゴミを捨てる前に、何かに使えないか考える」という楽しみが増えれば、私たちがゴミだと考えるものの価値も変わってくるかもしれません。
[文・構成/grape編集部]