「このケーキどうなるの?」 廃棄間際のスイーツを…「これは知らなかった」 By - みきあゆみ 公開:2024-11-21 更新:2024-11-21 SDGsアプリインタビュー食品ロス Share Post LINE はてな コメント ロスになりそうな食品の購入を『レスキュー』と呼ぶ『TABETE』。 アプリを運営する株式会社コークッキングの共同創業者であり、取締役の伊作太一さんに、この言葉に込められた想いについて、話をうかがいました。 もともと、海外では食品を廃棄から救うことを『フードレスキュー』と呼ぶのだとか。また、よりキャッチーないい回しにしなければならない、ある理由があったようで…。 伊作太一さん 10年くらい前、まだ『食品ロス』っていう言葉自体がそんなに日本で知られていなかった頃は、『食品ロス』というとマイナスのイメージが大きくて。「腐っているんじゃないの?」「誰かの食べ残しでしょう」みたいなイメージがあったので、それを払拭する必要があったんですよね。 伊作太一さん あと「社会的にいいことをしましょう」みたいな話って、説教くさくなってしまうことが多くて。そうなると、生活者としては「もう聞き飽きた」ってなってしまうので、無理なく楽しく続けられる『心地のいい買い物』っていうものを実現できたら、という思いを込めて、『レスキュー』という言葉を使っています。 おいしい商品を食べられるだけでなく「いいことをした」という体験も付いてくるのが、『TABETE』の魅力。 伊作さんによると、『TABETE』を利用する人は、もともとサステナビリティに関心が高い人が多いのだとか。 「貢献したい」と思っていても実際にアクションできる機会はまだまだ少ないため、喜んでもらえることが多いといいます。 また『TABETE』には、ほかにもさまざまな魅力があるそうです。 伊作太一さん ユーザーの中には「お店を巡るのが好き」という人も多くて。お店探しに使っている人も結構いるみたいです。例えば、行ったことのない駅に降りた時に、まずアプリを立ち上げて、周辺でレスキューを出しているお店を見つけて、お試しのような感じでレスキューしてみるとか。それで「おいしかったから、今度は普通にお客さんとして買いに行こう」みたいな感じで使っている人もいます。 伊作太一さん あとは、強制しているわけではないんですけど、多くの場合「レスキューしてくれて、ありがとう」っていう気持ちも込めて、店頭での価格より数十パーセント安い『レスキュー価格』で出してくれているお店も多いので「お財布にも優しい」っていう形で使ってくださっているユーザーさんも多いと思います。 伊作さんによれば、最初は「ちょっと安く買える」という部分しか見ていなくても、次第に食品ロスについて考えるようになっていく人が多いといいます。 「その人にとって『食品ロス』というものが、頭のどこか片隅に置かれるテーマになったなら『TABETE』の価値かな」と、伊作さんは話していました。 画像提供:株式会社コークッキング また『TABETE』は、食品を出品する店側にも大きなメリットがあることも魅力。サービスを導入している店からは、このような言葉をもらうことがあるそうです。 伊作太一さん まず何よりも「店の売り上げが上がった」っていう声をよく聞きます。今まで捨てていたり、大幅な値引きをして叩き売ったりしたものを、届けられるので。 伊作太一さん 『TABETE』で値引きをするとしても「食品ロスの取り組みの一環としてやっていること」というメッセージとともに売ることができるので、値引きの懸念でもある『ブランドの毀損』をせずに売り切ることができるっていうのは、大きなメリットになっているようです。 今まで捨てていた商品が売れることが、一番大きなメリット。また、ゴミ処理料の節約にもつながっているため、コスト面で助けられている店は多いといいます。 また、意外なところでも、『TABETE』が救いになっている部分があるようで…。 伊作太一さん アルバイトの子たちの精神的負担の軽減にもつながっているという話を聞きますね。最終的に商品を回収してゴミ袋に詰めて捨てるのって、バイトの子たちなので、食品ロスが嫌でやめてしまうみたいなことも結構多いらしくて。そういった廃棄による心の負担みたいなところもなくなって、離職率が改善したっていう話もあります。 ほかにも、店とユーザーのつながりを作るというメリットもあるとか。「この間、レスキューして、おいしかったです」というコミュニケーションも増えているといいます。 画像提供:株式会社コークッキング ユーザーにとっても、店にとってもハッピーな『TABETE』のサービスを始め、『食』に関わるさまざまなことに取り組んでいる、株式会社コークッキング。 伊作さんは、食品ロスの問題にどのように向き合っているのでしょう。また、私たちにできることはあるのでしょうか。 『TABETE』ができた背景や、食品ロスとこれからの未来についても話をうかがいました。 食品ロスはなぜ問題?「もったいない」だけの話じゃない 食品ロスによる問題は「もったいない」という精神的な話だけに留まりません。ゴミの焼却にともなう環境への負荷も深刻です。 特に、水分を含む食品は、処理をするのに大きなエネルギーが必要。排出される二酸化炭素の問題や、焼却後の灰を埋める土地の問題などが絡んできます。 さらに、食品ロスによる経済損失も多大です。大量の食糧を生産したり、輸入したりしているにもかかわらず、捨ててしまうという状況は『無駄』が発生しているといえます。 伊作さんは、食品ロスを生まないためには、「消費行動そのものを変えていく必要がある」と話していました。 伊作太一さん 日本から食品ロスを、もうそもそも生まれないようにしていくみたいなところを目指すとしたら、消費行動自体を変えていかないといけないなっていうのはあって。『TABETE』としては、どういう消費の在り方…食べ物の買い方・売り方を実現したいのかって考えた時に、売る側も買う側も「心地のいい取引をした」と思えるようなところを実現していかないといけないなっていうのは、チーム全体で考えてきました。 伊作太一さん 企業や個人が、自身の利便性だとか経済合理性、経済成長性みたいなところを追い求める限りは、食品ロスは生まれ続けてしまいます。食品ロスの発生抑制をすることが、企業にとっても、個人にとっても、地球にとってもプラスであるっていうことを、広めていかないといけない。「削減したほうが儲かるじゃん」ってなるような『食のシステムの構築』っていうところを、最終的に目指したいとは思っています。 もともと、大学院で料理の研究をしていて、長年『食』というものに関わってきたという、伊作さん。 代表取締役の川越一磨さんと一緒に、2015年に会社を始め、『子供食堂』などの食に関するイベントを行っていたそうです。 その中で、日本スローフード協会とともに、企画外の野菜などを買い取って、スープを作り、販売するという食品ロスの啓発イベント『ディスコスープ』を開催。 イベントを続けていく中で、より多くの人に『食品ロス』を広めるために「本腰を入れて何かできないかな」と考えたのが、『TABETE』のスタートだったといいます。 長年、食に関わる中で、食品ロスはずっと心に抱えていた悩みの1つでもあったとか。 海外の事例を見ている中で、『フードシェアリング』の仕組みができ始めていることを知り『TABETE』の立ち上げに至ったといいます。 食と向き合い続けてきた伊作さんに、私たちにできることはあるかを聞くと、このように答えてくれました。 伊作太一さん 何よりも「買ったものはきちんと食べ切る」っていうのを、意識してほしいですね。食品ロスの半分は、家庭から出てきてしまっていて、その多くが「冷蔵庫の中で忘れていた」とか、「安くていっぱい買っちゃったけど、食べきれなかった」みたいなもので。 伊作太一さん セールとかがあると、ワクワクして、つい買いすぎてしまうこととかがあると思うんです。でも、自分がどういうことに対してお金を払って、どういうものを買っているのかっていうことを考えて、消費活動を楽しむようになるだけで、自分の家にある食のストックの質が変わってくると思います。 食品を買って食べることは、多くの人にとって『当たり前』の行動になっているでしょう。 だからこそ、消費行動の一つひとつを、時々おざなりにしてしまうことがあるのかもしれません。 伊作太一さん 自分が何かを買うってことは、お金を払った先のお店だったり、生産者だったり、工場だったり、メーカーだったりを応援することになる。「もっと続いてほしいから、もっとお金を払うね」っていう意志で商品を買っていることになるので「お金を払うとは、どういうことなのか」を改めて1回考えてみるっていうのが、いいスタートかもしれないです。 伊作さんがいう通り、一度立ち止まって考えてみると、家にある食品の見え方も変わってくるはずです。 「食べ切れずに捨ててしまったことがある」といった経験がある人は、今日からほんの少しだけでも、意識してみてはいかがでしょうか。 また、食品を買う選択肢の1つとして『TABETE』を、ぜひ取り入れてみてください。あなたのちょっとした選択が、店を、地球を、そして自分自身を幸せにするはずです! 【TABETE】 ウェブサイト:https://tabete.me/ iOS版アプリはこちら Android版アプリはこちら [文・構成/grape編集部] 1 2 ダルビッシュ有が日本に帰国 向かった先は…?2024年11月12日、メジャーリーグの『サンディエゴ・パドレス』に所属するダルビッシュ有選手が、自身のブログを更新。日本に一時帰国していたことを明かしました。 俳優・火野正平さんが逝去 腰痛の治療に励むも腰部骨折に火野正平さんが亡くなったことが分かりました。ご冥福をお祈りいたします。 Share Post LINE はてな コメント
ロスになりそうな食品の購入を『レスキュー』と呼ぶ『TABETE』。
アプリを運営する株式会社コークッキングの共同創業者であり、取締役の伊作太一さんに、この言葉に込められた想いについて、話をうかがいました。
もともと、海外では食品を廃棄から救うことを『フードレスキュー』と呼ぶのだとか。また、よりキャッチーないい回しにしなければならない、ある理由があったようで…。
10年くらい前、まだ『食品ロス』っていう言葉自体がそんなに日本で知られていなかった頃は、『食品ロス』というとマイナスのイメージが大きくて。「腐っているんじゃないの?」「誰かの食べ残しでしょう」みたいなイメージがあったので、それを払拭する必要があったんですよね。
あと「社会的にいいことをしましょう」みたいな話って、説教くさくなってしまうことが多くて。そうなると、生活者としては「もう聞き飽きた」ってなってしまうので、無理なく楽しく続けられる『心地のいい買い物』っていうものを実現できたら、という思いを込めて、『レスキュー』という言葉を使っています。
おいしい商品を食べられるだけでなく「いいことをした」という体験も付いてくるのが、『TABETE』の魅力。
伊作さんによると、『TABETE』を利用する人は、もともとサステナビリティに関心が高い人が多いのだとか。
「貢献したい」と思っていても実際にアクションできる機会はまだまだ少ないため、喜んでもらえることが多いといいます。
また『TABETE』には、ほかにもさまざまな魅力があるそうです。
ユーザーの中には「お店を巡るのが好き」という人も多くて。お店探しに使っている人も結構いるみたいです。例えば、行ったことのない駅に降りた時に、まずアプリを立ち上げて、周辺でレスキューを出しているお店を見つけて、お試しのような感じでレスキューしてみるとか。それで「おいしかったから、今度は普通にお客さんとして買いに行こう」みたいな感じで使っている人もいます。
あとは、強制しているわけではないんですけど、多くの場合「レスキューしてくれて、ありがとう」っていう気持ちも込めて、店頭での価格より数十パーセント安い『レスキュー価格』で出してくれているお店も多いので「お財布にも優しい」っていう形で使ってくださっているユーザーさんも多いと思います。
伊作さんによれば、最初は「ちょっと安く買える」という部分しか見ていなくても、次第に食品ロスについて考えるようになっていく人が多いといいます。
「その人にとって『食品ロス』というものが、頭のどこか片隅に置かれるテーマになったなら『TABETE』の価値かな」と、伊作さんは話していました。
画像提供:株式会社コークッキング
また『TABETE』は、食品を出品する店側にも大きなメリットがあることも魅力。サービスを導入している店からは、このような言葉をもらうことがあるそうです。
まず何よりも「店の売り上げが上がった」っていう声をよく聞きます。今まで捨てていたり、大幅な値引きをして叩き売ったりしたものを、届けられるので。
『TABETE』で値引きをするとしても「食品ロスの取り組みの一環としてやっていること」というメッセージとともに売ることができるので、値引きの懸念でもある『ブランドの毀損』をせずに売り切ることができるっていうのは、大きなメリットになっているようです。
今まで捨てていた商品が売れることが、一番大きなメリット。また、ゴミ処理料の節約にもつながっているため、コスト面で助けられている店は多いといいます。
また、意外なところでも、『TABETE』が救いになっている部分があるようで…。
アルバイトの子たちの精神的負担の軽減にもつながっているという話を聞きますね。最終的に商品を回収してゴミ袋に詰めて捨てるのって、バイトの子たちなので、食品ロスが嫌でやめてしまうみたいなことも結構多いらしくて。そういった廃棄による心の負担みたいなところもなくなって、離職率が改善したっていう話もあります。
ほかにも、店とユーザーのつながりを作るというメリットもあるとか。「この間、レスキューして、おいしかったです」というコミュニケーションも増えているといいます。
画像提供:株式会社コークッキング
ユーザーにとっても、店にとってもハッピーな『TABETE』のサービスを始め、『食』に関わるさまざまなことに取り組んでいる、株式会社コークッキング。
伊作さんは、食品ロスの問題にどのように向き合っているのでしょう。また、私たちにできることはあるのでしょうか。
『TABETE』ができた背景や、食品ロスとこれからの未来についても話をうかがいました。
食品ロスはなぜ問題?「もったいない」だけの話じゃない
食品ロスによる問題は「もったいない」という精神的な話だけに留まりません。ゴミの焼却にともなう環境への負荷も深刻です。
特に、水分を含む食品は、処理をするのに大きなエネルギーが必要。排出される二酸化炭素の問題や、焼却後の灰を埋める土地の問題などが絡んできます。
さらに、食品ロスによる経済損失も多大です。大量の食糧を生産したり、輸入したりしているにもかかわらず、捨ててしまうという状況は『無駄』が発生しているといえます。
伊作さんは、食品ロスを生まないためには、「消費行動そのものを変えていく必要がある」と話していました。
日本から食品ロスを、もうそもそも生まれないようにしていくみたいなところを目指すとしたら、消費行動自体を変えていかないといけないなっていうのはあって。『TABETE』としては、どういう消費の在り方…食べ物の買い方・売り方を実現したいのかって考えた時に、売る側も買う側も「心地のいい取引をした」と思えるようなところを実現していかないといけないなっていうのは、チーム全体で考えてきました。
企業や個人が、自身の利便性だとか経済合理性、経済成長性みたいなところを追い求める限りは、食品ロスは生まれ続けてしまいます。食品ロスの発生抑制をすることが、企業にとっても、個人にとっても、地球にとってもプラスであるっていうことを、広めていかないといけない。「削減したほうが儲かるじゃん」ってなるような『食のシステムの構築』っていうところを、最終的に目指したいとは思っています。
もともと、大学院で料理の研究をしていて、長年『食』というものに関わってきたという、伊作さん。
代表取締役の川越一磨さんと一緒に、2015年に会社を始め、『子供食堂』などの食に関するイベントを行っていたそうです。
その中で、日本スローフード協会とともに、企画外の野菜などを買い取って、スープを作り、販売するという食品ロスの啓発イベント『ディスコスープ』を開催。
イベントを続けていく中で、より多くの人に『食品ロス』を広めるために「本腰を入れて何かできないかな」と考えたのが、『TABETE』のスタートだったといいます。
長年、食に関わる中で、食品ロスはずっと心に抱えていた悩みの1つでもあったとか。
海外の事例を見ている中で、『フードシェアリング』の仕組みができ始めていることを知り『TABETE』の立ち上げに至ったといいます。
食と向き合い続けてきた伊作さんに、私たちにできることはあるかを聞くと、このように答えてくれました。
何よりも「買ったものはきちんと食べ切る」っていうのを、意識してほしいですね。食品ロスの半分は、家庭から出てきてしまっていて、その多くが「冷蔵庫の中で忘れていた」とか、「安くていっぱい買っちゃったけど、食べきれなかった」みたいなもので。
セールとかがあると、ワクワクして、つい買いすぎてしまうこととかがあると思うんです。でも、自分がどういうことに対してお金を払って、どういうものを買っているのかっていうことを考えて、消費活動を楽しむようになるだけで、自分の家にある食のストックの質が変わってくると思います。
食品を買って食べることは、多くの人にとって『当たり前』の行動になっているでしょう。
だからこそ、消費行動の一つひとつを、時々おざなりにしてしまうことがあるのかもしれません。
自分が何かを買うってことは、お金を払った先のお店だったり、生産者だったり、工場だったり、メーカーだったりを応援することになる。「もっと続いてほしいから、もっとお金を払うね」っていう意志で商品を買っていることになるので「お金を払うとは、どういうことなのか」を改めて1回考えてみるっていうのが、いいスタートかもしれないです。
伊作さんがいう通り、一度立ち止まって考えてみると、家にある食品の見え方も変わってくるはずです。
「食べ切れずに捨ててしまったことがある」といった経験がある人は、今日からほんの少しだけでも、意識してみてはいかがでしょうか。
また、食品を買う選択肢の1つとして『TABETE』を、ぜひ取り入れてみてください。あなたのちょっとした選択が、店を、地球を、そして自分自身を幸せにするはずです!
【TABETE】
ウェブサイト:https://tabete.me/
iOS版アプリはこちら
Android版アプリはこちら
[文・構成/grape編集部]