大学の『ふわふわな広告』学生たちはどう感じてる?
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吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さん。先生の日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…様々な『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
ふわふわ広告の不思議
入試前、オープンキャンパスの時期になると、大学の車内広告が並びます。何とはなしに眺めているうちに、ものすごい違和感を覚えるようになりました。広告は、ぱっと見てその商品の特徴と伝えたいメッセージを表現し、訴求力を高め、購買につなげることを目的とします。どのように訴えるとインパクトを与え、商品を買ってもらえるか。そこにはマーケティング力と表現力が必要になるわけです。
マーケティングに基づき、もっとも訴求力があるであろうコピーとデザインによってでき上がったのが…ある大学の車内広告でした。
「○○に通う。大人になった気分」
文言は正確ではありませんが、このような感じです。○○には、都内の地名が入ります。この言葉のふわふわさ。ムードが先行しているコピー。とてもファッション的です。なぜこのような文言になるのか、不思議です。
このふわふわ感はこの大学に限らず、多くの大学の車内広告にも見られます。このようなふわふわイメージのコピーを提案する広告代理店にも驚くのですが、違和感を覚えざるを得ないのは、このコピーに大学がOKを出している…ということです。
それを逆に見てみると、ふわふわイメージでなければ学生を呼べない、ということでもあるわけです。これがいまの日本の若者のムードで、それに大人の社会が対応している。これが時代、ということになるのでしょうか。
大学の広告なのですから、建学の精神や、どのような分野に力を入れているかなどを、時代に合うかたちでの広告表現はできないものか。とはいえ、理想は理想でしかなく、少子化時代を迎えて大学側も多くの学生に来てもらうことが大きな課題の1つです。また、車内広告のコピーに魅かれて受験する学生がどれだけいるのかが分からないので、安易に結論めいたことはいえません。
近畿大学の広告はなかなか衝撃的です。「授業で発言しない学生は欠席です。本当に」「マグロ大学っていうてるヤツ、誰や?」など、ガツンとしたインパクトがありました。衝撃的ですが、骨があります。ホームページも今風のサイトと「クラシックサイト」そして「グローバルサイト」(英語)があり、洗練された内容です。いま風のインパクトと「実」をつなげていく。ここが大学などの教育機関の広告のポイントなのかもしれません。
これからの時代を担う若い人たちがどこを見て進んで行くのか。大人にはない、柔軟かつ鋭い感性を持った10代、20代がどんどん出ています。これから日本がどうなっていくか。その担い手は、まさに次世代の若者たち。それは同時に、大人たちがどのような背中を見せて、モデルとなっているのかが問われているのです。
客員教授として年に何回か教壇に立つ機会があるので次回の講義の時にこのような広告について、学生の意見を聞いてみます。私の「違和感」を彼らがどう感じるか、そんな意見も聞いてみたい。ふわふわ広告、いい教材になりました。
作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」