仲秋の名月を眺めながら アナウンサー押阪忍の『美しいことば』
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こんにちは、フリーアナウンサーの押阪忍です。
ご縁を頂きまして、『美しいことば』『残しておきたい日本語』をテーマに、連載をしております。宜しければ、シニアアナウンサーの『独り言』にお付き合いください。
秋も深まって参りましたね。
食欲の秋を意識して熟年シニア層は「天高く馬肥ゆる秋」と称したものですが、この表現は今はもう消えつつありますね…。「昭和も遠くなりにけり…」です。
ところで秋は、三秋に分けられます。初秋、仲秋、晩秋です。あなたはどの秋がお好みですか?ボクは暑からず寒からずの仲秋の秋です。仲秋というとすぐに『仲秋の名月』とつながってきます。
※ 編集部注:『中秋』は旧暦の8月15日。『仲秋』は旧暦の8月全体を指します。
名月を とってくれろと 泣く子かな 一茶
という句がありますが、月に寄せる俳句は万とあります。
ボクの好きな句に、
名月や 畳の上に 松の影 其角
があります。
畳の生活を忘れた若い世代が多くなったとは思いますが、素足での畳の感触、障子や襖を開け閉めした畳時代を体験した熟年層以上の人達には、懐かしさを覚える句でしょうね。
ところで、9月3日、秋篠宮様のご長女の眞子さまの婚約会見の折、眞子さまは、お相手の小室圭さんの印象を「太陽のような明るい笑顔の方」と話されました。一方、小室圭さんは、眞子さまのことを「月のように静かに見守ってくださる存在」と表現しました。
月は太陽の光で輝く、唯一無二の存在の太陽と月。
この秋は、仲秋の名月を眺めながら、相思相愛 お二人の幾久しいお幸せを静かに祈りたいと思っております。
名月や 池をめぐりて 夜もすがら 芭蕉
<2017年10月>
フリーアナウンサー 押阪 忍
1958年に現テレビ朝日へ第一期生として入社。1965年には民放テレビ初のフリーアナウンサーとなる。以降テレビやラジオで活躍し、皇太子殿下のご成婚祝賀式典なども行う。2017年現在、アナウンサー生活59年。
日本に数多くある美しい言葉。それを若者に伝え、しっかりとした『ことば』を使える若者を育てていきたいと思っています。