「スマホのパケット、売ります」通信容量をシェアするサービスが登場
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そんな中、思いもよらぬものをシェアさせようとしている企業が香港に現れました。モバイルデータの購入や販売の開発を手がける『デントワイヤレス(DENT Wireless)』は、香港の移動体通信事業者『PLDT』と共同で、自分が余らせたパケット容量を、専用アプリでユーザー同士が自由に販売・購入・寄付などの『パケットシェアリング』できるiOS用、Android用のプロトタイプアプリを発表しました。
例をあげると、月額5ギガの容量で契約しているものの、今月は4ギガしか使わなかったら、1ギガ分を売りに出せるようになります。動画をたくさん見てパケットが足りなくなった人は、この売りに出している人からパケットを購入することができるというわけです。
また旅行や出張など海外に行く際に、渡航先で現地の人からモバイルデータを購入することができるようにもなるということです。
現在でも、パケットが足らなくなった時に、キャリアから購入することはできますが、『パケットシェアリング』はこれと何が違うのかというと、いまのままだと、使わない人にも容量を保証する必要があるため、5ギガの人が4ギガで済みそうだとしても、5ギガ分は取って置かなければならなくなるため、キャリア全体の容量としては、足りない人が増えれば増えるほど『増える』ことになります。でも必要ない人がパケットを売りに出してもらえれば、キャリア全体の容量は増えなくなります。
『デントワイヤレス(DENT Wireless)』のCEO、テロ・カタジャイネン氏は次のように語っています。
「我々はPLDT香港での実証実験で成功したことについて非常に興奮しています。これはスマートフォンユーザーが我々の『パケットシェアリング』アプリケーションを必要としていることを示しており、こうした基盤技術はどんな環境でもどんな国でも通用するでしょう。PLDT香港の有能なチームのおかげで、今回のプロトタイプアプリケーションでの実証実験のための準備期間は、最初から最後までわずか3週間しかかかりませんでした。」
ちなみにパケットデータのシェアにはブロックチェーン技術が使われ、取引にはデントワイヤレスが発行した『DENTトークン』を通貨として使用するということです。こうした最新技術によって、ゆくゆくは個人間でデータを直接販売できるようにグレードアップして行きたいということです。
現時点ではあくまでプロトタイプサービスということで、一部の地域と限られた機種のみのサービスですが、今後のターゲット市場としては、まず米国とメキシコを目指していて、アメリカはAT&Tおよびベライゾン(Verizon)のユーザー、メキシコはモビスター(Movistar)およびテルセル(Telcel)のユーザーに『パケットシェアリング』を提供していく予定。その後2018年度内にブラジルやインドにも進出する予定だそうで、日本にも近い将来提供開始されることは必至です。
こうした『パケットシェアリング』サービスが普及していくことで、有限の資源でもある『電波』にも世界規模でのシェアリングエコノミーの時代がやってきます。
[文・構成 土屋夏彦]
土屋夏彦
上智大学理工学部電気電子工学科卒業。 1980年ニッポン放送入社。「三宅裕司のヤングパラダイス」「タモリのオールナイトニッポン」などのディレクターを務める傍ら、「十回クイズ」「恐怖のやっちゃん」「究極の選択」などベストセラーも生み出す。2002年ソニーコミュニケーションネットワーク(現ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)に転職。コンテンツ担当ジェネラルプロデューサーとして衛星放送 「ソネットチャンネル749」(現アジアドラマチックTV★So-net)で韓国ドラマブームを仕掛け、オンライン育成キャラ「Livly Island」では日本初の女性向けオンラインで100万人突破、2010年以降はエグゼクティブプロデューサー・リサーチャーとして新規事業調査を中心に活動。2015年早期退職を機にフリーランス。記事を寄稿する傍ら、BayFMでITコメンテーターとしても出演中、ラジオに22年、ネットに10年以上、ソーシャルメディア作りに携わるメディアクリエイター。