想像力を豊かにすることは人生そのものを豊かにする By - 吉元 由美 公開:2019-10-14 更新:2019-10-14 エッセイ吉元由美 Share Post LINE はてな コメント 吉元由美の『ひと・もの・こと』 作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。 たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。 世界を感じ、自分を感じる想像力を 世界はこんなにすばらしい。あなたはとてもすばらしい。音楽大学で作詩基礎研究という授業を担当して半年、歌詞を書くことについて教えている根底には、いつもこの二つのメッセージがあります。 自分はすばらしい存在なのだ、可能性の宝庫なのだと思えたら、長い人生の中で遭遇するさまざまな困難を乗り越えられる。もちろん、どんどんチャレンジをしてほしいし、持って生まれた才能を磨いて生かしてほしい。娘と同世代の学生たちに、時に親心で熱く語ってしまいます。 そこには私自身の体験があります。広告代理店に就職した22歳の秋、ちょうど今頃、作詞家になろうと決め、猛勉強をはじめました。会社から帰り、食事を済ませたら勉強。毎晩、1時、2時過ぎまで勉強しました。作詞そのものの勉強に加え、想像力を鍛えること、そしてより多くの言葉、表現、哲学をインプットし、アウトプットすることに努めました。 音楽を聴く、映画を観る、旅をする、街を歩く…。日常の体験の中に、『教材』はあふれています。ふっと立ち止まって感じ入ること。体験と体験の合間で考えを深めること。作詞のためではなく、想像力を豊かにすることは人生そのものを豊かにする。自分のすぐ周りのことだけでなく、観る世界を大きく大きく広げる。内向き傾向にある若い人たちが視点を広げたら、世の中は一転すると思います。 9月10日の読売新聞の特別面に、日本語検定委員会理事長の梶田叡一先生と、松任谷由実さんの対談が掲載されました。由実さんは「慮る」ことの重要性についてお話しされました。日本語の表現力をつけるために、例えば移ろいゆくものの中にある『美』に名前をつける。細かく観察し、感じること。自分だけの感覚と外の両方を常に感じること。こうしたら、この人はどう思うだろうかと「慮る」ことが大事であると、お話しされました。慮るとは優しさであり、優しさは知性である、と。 その対談の場に私も同席させていただいたのですが、お二人の話に深く共感すると共に、これをどのようにして学生たちに伝え、彼らが自分の中にある豊かさを育んでいけるようにするにはどうしたらいいのか、考えさせられました。 何を書いたらいいかわからない。イメージが広がらない。いつも同じことばかり書いている。それは、圧倒的にインプットが足りないからでしょう。これは、学生に限ったことではありません。大人である私たちも、狭い考え、狭い世界の中でぐるぐると回っていることもあるのです。 そんなときは、目を外に転じる。見たこともないものを見に行く、聴きに行く。これまで読んだことのない作家の本を読んでみる。風に吹かれる。大地に触れる。そして、自分を感じてみる。そうして悲しいことも淋しささえも、人生に織り込んでいく。すると、生きることの尊さが身にしみてくる。 若い人たちも、十分に大人と言える年代になった私たちも、両手を広げるようにして世界を感じ、抱きしめるように自分を感じることが、豊かな日常を育むのだと思います。 ※記事中の写真はすべてイメージ エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~ エレガントな終活~50歳から、もっと幸せになる~吉元 由美1,420円(11/08 11:04時点)Amazon楽天市場YahooAmazonの情報を掲載しています 作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー [文・構成/吉元由美] 吉元由美 作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。 ⇒ 吉元由美オフィシャルサイト ⇒ 吉元由美Facebookページ ⇒ 単行本「大人の結婚」 GACKT「キミは誰かから嫌われてない」 続く言葉に「腑に落ちた」「心が軽くなった」の声GACKTさんが、心のバランスを崩しそうな人へ送った言葉は?ネット上で反響が上がっています。 『クリスマス・イブ』は竹内まりやのために書いた曲だった しかし、ボツになり…『クリスマス・イブ』は、山下達郎さんが竹内まりやさんのアルバムのために書いた曲だった!? Share Post LINE はてな コメント
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
世界を感じ、自分を感じる想像力を
世界はこんなにすばらしい。あなたはとてもすばらしい。音楽大学で作詩基礎研究という授業を担当して半年、歌詞を書くことについて教えている根底には、いつもこの二つのメッセージがあります。
自分はすばらしい存在なのだ、可能性の宝庫なのだと思えたら、長い人生の中で遭遇するさまざまな困難を乗り越えられる。もちろん、どんどんチャレンジをしてほしいし、持って生まれた才能を磨いて生かしてほしい。娘と同世代の学生たちに、時に親心で熱く語ってしまいます。
そこには私自身の体験があります。広告代理店に就職した22歳の秋、ちょうど今頃、作詞家になろうと決め、猛勉強をはじめました。会社から帰り、食事を済ませたら勉強。毎晩、1時、2時過ぎまで勉強しました。作詞そのものの勉強に加え、想像力を鍛えること、そしてより多くの言葉、表現、哲学をインプットし、アウトプットすることに努めました。
音楽を聴く、映画を観る、旅をする、街を歩く…。日常の体験の中に、『教材』はあふれています。ふっと立ち止まって感じ入ること。体験と体験の合間で考えを深めること。作詞のためではなく、想像力を豊かにすることは人生そのものを豊かにする。自分のすぐ周りのことだけでなく、観る世界を大きく大きく広げる。内向き傾向にある若い人たちが視点を広げたら、世の中は一転すると思います。
9月10日の読売新聞の特別面に、日本語検定委員会理事長の梶田叡一先生と、松任谷由実さんの対談が掲載されました。由実さんは「慮る」ことの重要性についてお話しされました。日本語の表現力をつけるために、例えば移ろいゆくものの中にある『美』に名前をつける。細かく観察し、感じること。自分だけの感覚と外の両方を常に感じること。こうしたら、この人はどう思うだろうかと「慮る」ことが大事であると、お話しされました。慮るとは優しさであり、優しさは知性である、と。
その対談の場に私も同席させていただいたのですが、お二人の話に深く共感すると共に、これをどのようにして学生たちに伝え、彼らが自分の中にある豊かさを育んでいけるようにするにはどうしたらいいのか、考えさせられました。
何を書いたらいいかわからない。イメージが広がらない。いつも同じことばかり書いている。それは、圧倒的にインプットが足りないからでしょう。これは、学生に限ったことではありません。大人である私たちも、狭い考え、狭い世界の中でぐるぐると回っていることもあるのです。
そんなときは、目を外に転じる。見たこともないものを見に行く、聴きに行く。これまで読んだことのない作家の本を読んでみる。風に吹かれる。大地に触れる。そして、自分を感じてみる。そうして悲しいことも淋しささえも、人生に織り込んでいく。すると、生きることの尊さが身にしみてくる。
若い人たちも、十分に大人と言える年代になった私たちも、両手を広げるようにして世界を感じ、抱きしめるように自分を感じることが、豊かな日常を育むのだと思います。
※記事中の写真はすべてイメージ
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作詞家・吉元由美の連載『ひと・もの・こと』バックナンバー
[文・構成/吉元由美]
吉元由美
作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
⇒ 吉元由美オフィシャルサイト
⇒ 吉元由美Facebookページ
⇒ 単行本「大人の結婚」