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タブー視されてきた『生理』について、サンリオピューロランドで語り合う理由は?

By - 芳雪  公開:  更新:

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©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

子供連れや、友人同士で遊びに来ている客でにぎわう、2021年7月4日の日曜日。

東京都多摩市にあるテーマパーク『サンリオピューロランド』では、『Let‘s talk! in TOKYO』と称された一風変わったイベントが開催されました。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

『Let‘s talk! in TOKYO』とは、女性のタブーとされやすい課題を考え、女性の生活の質の向上を目指すトークイベント。

この日は、出演者がさまざまな立場から月経(通称:生理)について議論し、語りあいました。

サンリオエンターテインメント社長で、サンリオピューロランドの館長である小巻亜矢さんは、テーマパークで生理についての議論を行うことについて「硬いことを柔らかくし、ハードルを低くすることで興味を持ってもらえると思った」といいます。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

サンリオピューロランドで生理について語る

スピーチコンテストでは、小学生、中学生、高校・大学生の3部門での結果発表を実施。

しかし、小学生からの応募はなかったことから、小巻館長は「これを踏まえて、すでにいろいろなタブーが見えてくると思います。小学生に教育が行き届いていない今の段階では早かったのかもしれない」とコメントしました。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

『生理にまつわる新しい選択肢について』

『生理にまつわる新しい選択肢について』をテーマに、fermata株式会社CCO・中村寛子さんと、アーティストのスプツニ子!さん、インフルエンサーのひかりんちょさんがトークを展開しました。

中村さんは、女性と技術を掛け合わせた造語『フェムテック』の第一人者。フェムテックとは、女性特有の健康課題を開発するために作られた製品のことを指します。

――若いと新しいものに不安になることもある?

ひかりんちょさん

月経カップとかは気になってるけど、まだちょっと怖いみたいな感じはあるかなと。

fermataの月経カップ ©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

中村寛子さん

そう思います。私たちも、「初めて見ました」などのお声をいただきます新しい選択肢っていうことも知っているんだけど、だからこそ怖いんでしょうね。10代の人たちも興味を持ってくれるのですが、高価格帯というのが今のフェムテックの課題でもあるかなと思います。

スプツニ子!さん

若いから怖がるのは偏見じゃないかなって思ってて。 ひかりんちょさん世代って、一番ソーシャルメディアネイティブだから抵抗がなくて、むしろ30代女性とかの方が既成概念で抵抗がありそう。

中村寛子さん

まさにその通りで、フェムテック専門ストアの店頭に娘さんがお母さんやお父さんを連れてくるのですが、両親のほうが恥じらう人が多いです。fermataとしては40~60代にアプローチしながらやっていきたいと思います。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

――「自分から調べにいかないといけない」のは何が足りていないから?

中村寛子さん

女性の健康課題ってタブー視されてきていたので、女性が抱えている課題がまったく洗い出されていないんですよね。 今見ている需要は氷山の一角で、課題が見える化しているタイミング。

「女性が心や身体の悩みなどに気付いてない」というのが課題で、そこを解放していくのが今必要なステップだと思います。

――生理を隠すのは仕方がないという現状が変わってきていることをどう思う?

スプツニ子!さん

女性の生理は痛いのが当たり前で、自分がつらいことに気付いていないというのは、さまざまな場面であると思う。

女に生まれたから仕方がないというのを疑っていく、ツッコミを入れていく流れが始まってると思います。 意識して当たり前をアンロックしてほしいなって思いますね。

中村寛子さん

目の前にある選択肢しかないと思うのではなく、広げて見ると、自分が悩んでいたことに気付いてもらえると思います。 いろいろな商品があるので、その中で自分のライフスタイルに合うのはどれなのかを考えてほしいです。

ひかりんちょさん

生理って、しんどくて我慢しなければならないものだと思っていましたが、そんなことはないのかもしれないと気持ちが軽くなりました。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

さまざまな立場から生理について考える

第2部で、PRストラテジストの本田哲也さん、メイクアップアーティストで僧侶の西村宏堂さん、MOTHERS編集部編集長の小脇美里さん、MOTHERS編集部特別顧問の世永亜実さんが話したテーマは『さまざまな立場から生理について考える』。

父親、母親、LGBTQ(性的少数者)という4人それぞれの立場から生理について語りました。

――本田さんは父親ですが生理についてどう思う?

本田哲也さん

7歳の娘がいて、娘自体が『生理を迎える』のはもう少し先だと思いますが、どういう風にやっていくべきかなと…。

――西村さんはLGBTQだが、生理についてわざわざ考えなければいけない現実をどう思う?

西村宏堂さん

私の身体は男性のものなんです。だんだん成長すると、更衣室が分けられて、生理の教育も受けていなかったので、「タンポンってなんだろう」とか、知っちゃいけないって感じたし、逆にそういう風に分けられていたからこそ聞いちゃいけないと思ったんです。

だから私は女性と似ていると思っても、立ち入っちゃいけないのかなって。そう思っているからこそ自分もセクシャリティについていえなかったし、隠したいと思うんだけど、教育をしてみんなが配慮ができるようなお互いの尊重の仕方ができればいいんじゃないかなと思います。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

――本田さんは、男女分かれての性教育だった?

本田哲也さん

まさに、典型的な昭和で育ってきた世代なので本当にそうでした。 今思うと必要以上に男女で分けられていたし、性教育の授業を受けても女子に内容を聞いちゃいけないんですよね。

生理用品って隠す文化があって、知らず知らずのうちに知っちゃいけない、見ちゃいけないものというものが刷り込まれていたと思うんですよね。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

世永亜実さん

でも、だいぶ教育が変わったなと思います。息子が小学3年生の時に、保護者と子供で必ず保健体育の授業を受けるプログラムがありました。 先生が「お母さんは無意味にきみたちを怒る時はない?」って聞いて。身体の仕組みを説明してくれたんです。

今、息子は中学2年生なんですけど、私が生理の時は毛布をかけてくれます。そのコミュニケーションって授業がなければ生まれなかったと思うんですよね。教育の現場も変わっているし、いい時代に向かっている気がします。 

本田哲也さん

物事は最初は感心興味だと思うんですね。 今までのタブー視とかは、そこから遮断してしまうこともあったと思うし、変な意味ではなくて知りたいというのもあると思うんです。

まずは「自分の身体ってどうなっているんだろう」という関心は大事だし、自己肯定感につながる。 自分を大切にするのを植え付けられるのは大事だと思います。

――西村さんは、LGBTQで悩んだこともあると思うが…。

西村宏堂さん

みんなの声を聞くことによって、本当に話してもいいんだって思う。 一昨日、生理のパットをつけて寝てみたんです。ナプキンに水を垂らして最初は触るのも怖かった。 「これを開いていいのかしら」とドキドキがあったけど、話す・体験することによってだんだん慣れていく、それがタブーを和らげていく過程なのかなと。 ドキドキするのはいいことだと思います。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

世永亜実さん

話さないことで余計ふたが大きくなりますよね。 でも一歩前に出て、素敵だと思ったら希望に変わる。 オープンにする、というのが日本に広がるだけで変わるのかなと思います。

西村宏堂さん

サンリオピューロランドで発信していることで説得力もあるし、安心して話を聞いて嫌なトピックにならないだろうなって。 ブランドを使って大切なことを発信していくのはありがたいと思います。

小脇美里さん

キティちゃんがアイコンにいるのはいいことだなと思う。 難しいことを難しく話しがちなんですよね。英語で横文字にされちゃうと、私は入っちゃいけないんじゃないかって。 難しい言葉を優しくするのは大事なんだなって思います。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

――どのように生理についての考え方がシフトすれば当たり前になる?

本田哲也さん

世界を見渡しても生理に対する偏見、タブーは大きな問題です。世界的に見ると、もっとも力を入れてPRしているのは生理の偏見をなくすことなんですよね。 世界的にクリエイティビティとか使って、なんとか変革していこうという動きが起こってる。

男性はこういう話になると引いちゃうっていわれるんですよ。そこまで詳しくない立場でトークすることに意味があるし、気付きがあるのでそれが増えれば変わってくると思う。

世永亜実さん

知るって大事だなって。知識がないからこそ浅い知識でどんどん広めてしまうことが多いと思いました。

もっと私たちより若い世代が学んで知っているので、もしかしたらタブーとして教わった世代の私たちが伝えるよりも、今まさにそういうことを当たり前としている若い世代を応援していくというのが変わることなのかなって感じました。

多摩市に寄付されるナプキンボックス

また、サンリオピューロランドの3階、インフォメーションカウンター横には生理用ナプキンの寄付BOXが設置されています。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

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BOXに集まった生理用ナプキンは、多摩市に寄付され活用されるとのこと。

メーカー、サイズは不問で、対象は購入から1年以内の新品のナプキンのみです。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

自分に合った生理用品を選ぼう

会場の外では、さまざまな生理用品が展示されていました。

100%のオーガニックコットンを使用した生理用ナプキン『sisiFILLE』は、布ナプキンのようなふっくらとした厚みがあり肌に優しいといいます。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

生理用ナプキン『NaturaMoon』は、天然コットン100%でムレにくく、モレにくいナチュラル生理用品。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

サンリオピューロランドへ遊びに来た女性たちが、『fermata』の商品の説明を聞きいる場面も見られました。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

小巻さんは、「キャラクターの持つやわらかい雰囲気に囲まれて『生理』についてのイベントを行うことで、小さなお子さん、男性にも『隠すことじゃない』というメッセージになればと願って実施した」といいます。

あえて、サンリオピューロランドという会場で行うことで、より幅広い世代や男性にも伝わったことでしょう。

また、小巻さんが自分自身の20~30代を振り返ると、健康についての意識が低かったそうです。

乳がんや、子宮の全摘出などをして健康のありがたみや、定期的検診の大切さを分かったのだとか。

今を生きるすべての女性に、「生き方の選択肢が多様な時代になってきたからこそ、いくつからでも何度でも輝けるよう、土台である身体のケアを通して自分を大切にしてほしい」と伝えます。

©2021 SANRIO CO.,LTD. 著作(株)サンリオ

生理は他人と比べられず、また相談しにくいからこそ、痛みを隠して我慢をしたり、「このぐらい大丈夫だろう」と軽く見てしまったりすることがあります。

その考え方が今までは『当たり前』とされてきました。

しかし、これからは新しい生理との付き合い方として、今までの当たり前を見直すことが意識の変化の第一歩となるでしょう。


[文・構成/grape編集部]

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