「つまずく」と「つまづく」はどちらが正しい? 語源・意味や正しい使い分けを解説
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「道を歩いていたら石につまずいて転んだ」
「事業拡大を図ったが、途中でつまずいてしまった」
このような内容を伝えようとした時に、『つまずく』と『つまづく』のどちらを使うべきか悩んだ経験のある人もいるのではないでしょうか。
日常会話で間違える分には気にならないかもしれませんが、ビジネス文書や広く公開する文章を書く際は、適切な言葉を選ぶ必要があります。
結論から述べると、一般的に正しいとされるのは『つまずく』。『つまづく』も誤った表現ではありませんが、こちらは歴史的仮名遣いの印象が強いとされます。
今回は、『つまずく』と『つまづく』の具体的な違いや使い分けについて紹介します。
『つまずく』の意味・語源や類義語などについても説明しているので、言葉への理解を正しく深めたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
『つまずく』と『つまづく』の違い
『つまずく』と『つまづく』は同じ意味ですが、現代仮名遣いか歴史的仮名遣いかが両者の違いです。
一般的に使われるのは『つまずく』ですが、両者は似ているので、混同することも珍しくありません。なお、どちらも漢字にすると『躓く』です。
ここでは、『つまずく』と『つまづく』の具体的な違いについて詳しく解説します。
『つまずく』は現代仮名遣い
『つまずく』は、一般的に使われる表現です。文化庁が公開している現代仮名遣いの表記の慣習による特例にも、『つまずく』と記載されています。
江戸~第二次世界大戦の時期までは『つまづく』が使われていました。第二次世界大戦後に実施された国語改革で現代仮名遣いが普及した段階で、『つまづく』が『つまずく』に変化したのです。
つまずくは、「障害物などにつま先をぶつけて転けそうになる」という意味で使われます。
『つまづく』は歴史的仮名遣い
古文などで使われている歴史的仮名遣いでは、つまずくを『つまづく』と書きます。現代は『つまずく』がメジャーなので、あまり使われることはありません。
ただ、文化庁が公開している現代仮名遣いの表記の慣習による特例では、つまずくの『ず』を『づ』に置き換えることが容認されているのも事実。
余談ですが、『ぬかずく』『ひざまずく』などの言葉も同様に、『ず』を『づ』と表現しても構わないことになっています。ちなみに『ぬかづく』は、額を地面につけて丁寧に拝むことです。
なお、『つまずく』と『つまづく』のニュアンスは同一。ただ、ほとんどの場合は現代仮名遣いである『つまずく』を使うので、『つまづく』という表現に対して違和感を抱く人が少なくないのが現状です。
どちらも漢字では『躓く』と書く
『つまずく』も『つまづく』も、漢字では『躓く』と書きます。
ただし、『躓く』は常用漢字には当てはまらないので、文章として書く時は『つまずく』と書くのが一般的。躓くの『躓』は、音読みだと『チ』『シツ』『シチ』です。
ちなみに、音読みの『躓』を使った熟語に、『蹉躓(さち)』という言葉があります。これも、『つまずくこと』や『失敗する』ことを意味します。
つまずく(つまづく)の語源
つまずく(つまづく)の語源は『爪突く』です。諸説ありますが、これは『爪を突く』というともいい、 爪が段差や障害物にぶつかって身体が前によろける意味です。
爪は基本的に『つめ』ですが『爪楊枝』などほかの漢字と合わせる場合は『つま』と読むことも。
『突く』については、送り仮名の『つく』を入れた『つまづく』のほうが適切なことから、歴史的仮名遣いが『つまづく』だったのだと想定されます。
つまずく(つまづく)の2つの意味
つまずく(つまづく)には、以下の2つの意味があります。
前者は日常会話などで使われる表現であり、後者は前者の意味から派生した比喩(ひゆ)表現です。詳しい意味と例文を解説するので、状況に応じて使ってみてください。
足に物が当たって前によろける
日常生活でよく使われる『つまずく』はこちらの意味であるケースがほとんど。
足に何かがひっかかったり当たったりして、歩行中に突然バランスを失う状況を指します。
想定されるシチュエーションとして、道路や歩道で石や段差に足が当たって、転倒したり、軽くよろけたりする場面などが挙げられるでしょう。
【例文】
取り組んでいることがうまくいかず挫折する
この意味の『つまずく』は、ビジネスの場などで使われることが多い比喩表現です。
当てはまるシチュエーションとして、新しいプロジェクトを始めて途中で予想外の困難に直面して挫折する場合などが挙げられます。
【例文】
『つまずく』と『つまづく』の使い分け
『つまずく』『つまづく』『躓く』の正しい使い分けを、以下のシチュエーション別に紹介します。
しっかり理解して、国語力アップを目指してみてください。
広く公開する文章では『つまずく』
ブログやウェブサイト、一般的な広告やチラシなど、広く人々の目に触れる文章では『つまずく』を使うのが一般的。
『つまづく』も間違いではないものの、表記ミスだと誤解されるリスクがあるので注意が必要です。
ビジネスでやり取りする文章では『つまずく』
ビジネスでやり取りする際も、広く公開する文章と同様に『つまずく』を使うべきだといえます。
歴史的仮名遣いの『つまづく』や常用漢字には該当しない『躓く』は、表記ミスを疑われたり、相手が読めなかったりする場合があるので避けたほうが安心です。
堅い文章では『躓く』
社内での報告書や論文など、堅い文章が好まれる場合は『躓く』を使っても違和感なく理解してもらえるでしょう。もちろん、『つまずく』でも問題ありません。
ただし、『躓』は常用漢字ではないので、公用文での使用は避けるのがベターでしょう。公的機関に向けた文章を作成する場合は『つまずく』と表記するのがベストです。
古風な文章では『つまづく』
古風な文章を書く時は、歴史的仮名遣いである『つまづく』が適しています。
また、『つまずく』を『つまづく』と書くだけでなく、ほかの言葉も歴史的仮名遣いに言い換えることで、あえてこのように表記しているのだと分かるようにすると親切です。
つまずく(つまづく)の類義語
つまずくの類義語は以下の5つです。
『蹌踉めく』は一般的によろけるという意味で、『仕損じる』『失敗する』『間違える』『敗れる』は、取り組んでいることがうまくいかず挫折するという意味で使われます。
それぞれの意味や例文を理解し、シチュエーションごとに使い分けてみてください。
仕損じる
『仕損じる』は、やり方を間違える・失敗するという意味。「取り組んでいることがうまくいかなくて挫折する」という意味での『つまずく』に近い言葉です。
仕損じるを使った例文として、「急いては事を仕損じる」ということわざがあります。これは、急ぐと失敗するので、慌てず落ち着いて取り組むといいという意味です。
【例文】
失敗する
『失敗する』は物事のやり方や方法を誤り、期待した結果にならないという意味。『つまずく』や『仕損じる』よりもイメージしやすい言葉だと感じる人も多いでしょう。
つまずくの意味が分からなくなったら、『失敗する』から連想するのが効果的です。
こちらも仕損じると同様に、「取り組んでいることがうまくいかず挫折する」という意味での『つまずく』に近い言葉です。
【例文】
蹌踉めく(蹣跚めく)
蹌踉めく(蹣跚めく)は、『よろめく』と読みます。漢字にすると難しい表現だと思うかもしれませんが、ひらがなだと聞き覚えがある人も多いはず。
足もとがふらついて、身体の安定を失うという意味です。こちらも「足に物が当たって前によろける」という意味での『つまずく』に近い言葉です。
『蹌』『踉』『跚』も『躓』と同様に常用漢字でないので、表記する時は『よろめく』と書いたほうが分かりやすいでしょう。
【例文】
間違える
『間違える』は、しそこなう、しくじるという意味。「取り組んでいることがうまくいかず挫折する」という意味での『つまずく』に近い言葉です。
『失敗する』と同様にイメージしやすい言葉なので、つまずくの意味が分からなくなったら『間違える』から連想すると早いでしょう。
【例文】
敗れる
『敗れる』は、戦って相手に抵抗・対抗しきれずに屈服するという意味。
戦いから日常の勝負事などで幅広く使われる『負ける』に対し、戦いや競技に限定されるのが『敗れる』で、両者のニュアンスは若干異なります。
「取り組んでいることがうまくいかず挫折する」という意味でのつまずくに近い言葉です。
【例文】
つまずく(つまづく)の意味を理解して正しく使おう
混同されがちな『つまずく』と『つまづく』。
一般的に使われるのは『つまずく』なのですが、歴史的仮名遣いである『つまづく』は現代でも使える表現です。どちらも漢字では『躓く』と書きます。
『躓』は常用漢字ではないので、なるべく『つまずく』とひらがなで書くのが親切でしょう。
つまずく(つまづく)の語源は『爪突く』。爪が障害物に突きあたって体が前によろけた状態を指します。
また、つまずく(つまづく)の意味は、「足に物が当たって前によろける」と「取り組んでいることがうまくいかず挫折する」の2つです。
基本的には『つまずく』と書くのがベストですが、堅い文章を書く時は『躓く』、古風な文章を書く時は『つまづく』など状況に応じて使い分けられるとより理解が深まるでしょう。
つまずく(つまづく)の類義語には、仕損じる・失敗する・蹌踉めく(蹣跚めく)・間違える・敗れるがあります。『つまずく』の意味が分からなくなったら、これらの言葉をイメージするのが効果的です。
『つまずく』『つまづく』の違いや正しい使い方をマスターし、公の場で適切な日本語を使えるようにしましょう。
[文・構成/grape編集部]