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重曹は暮らしに便利なアルカリ性の粉末! 5つの使い道や掃除で使用する上での注意点をご紹介

By - grape編集部  公開:  更新:

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スプーン1杯の重曹、掃除用手袋、スプレーボトルの写真

※写真はイメージ

「重曹の性質は酸性とアルカリ性、どっちなんだろう」「重曹の性質や活用できる使い道が知りたい」という疑問を抱えている人は少なくないのではないでしょうか。

重曹は、化学名で『炭酸水素ナトリウム』とも呼ばれる白い粉末です。pH8.5程度の弱アルカリ性で、掃除や消臭、パンのふくらし粉などに使われます。

ドラックストアやホームセンターでは、純度ごとに医療用・食用・工業用などに分けて販売されているため、目的に応じて使い分けが可能です。

使用用途を理解することで、暮らしの利便性アップに大きく貢献してくれる重曹。当記事では、重曹がアルカリ性である理由や性質の純度を高める方法、5つの使い道を紹介します。

掃除で使う際の注意点も紹介しているので、これから重曹を使おうと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。

重曹はアルカリ性の粉末

スプーンからあふれ落ちた重曹の写真

重曹は、アルカリ性の粉末です。ここでは、重曹の特徴や混同されやすいクエン酸との違いを解説します。

重曹の特徴

重曹は、pHが8.5程度の弱アルカリ性の粉末です。炭酸水素ナトリウムを99%以上含んでいるナトリウムの炭酸水素塩でもあり、重炭酸ソーダや重炭酸ナトリウムとも呼ばれます。

重曹は、加熱することで二酸化炭素の放出・油の分解・酸の中和などが可能。これらの性質により、掃除や消臭、パンのふくらし粉などとして使われることが多いです。

重曹は、末以外の状態でも使えます。1ℓの水に重曹を大さじ4杯加えることで重曹水にしたり、少量の水で伸ばしてペーストにしたりするなど、用途に合わせて調整が可能です。

クエン酸との違い

クエン酸とは、酢や柑橘類に含まれる酸味成分の一種。アルカリ性の重曹に対し、クエン酸はpHが2〜3ほどの酸性です。性質が違う重曹とクエン酸は、それぞれ使用用途が異なります。

前提として、アルカリ性と酸性は反対の性質です。そのため、一方の性質のものに対して他方の性質のものを加えることで、それぞれの性質を打ち消す中和の作用が働きます。

これにより、汚れが落とせるのです。つまり、重曹が酸性の汚れを落とすのに対し、クエン酸は、アルカリ性の汚れを中和して落とせます。

重曹は、キッチンの壁・コンロ周りの油汚れ、家の中の手垢汚れや風呂場の皮脂汚れなどといった、酸性の汚れを落とす際に便利。

一方、酸性であるクエン酸は、キッチンのシンクや洗面所の水垢、トイレの尿汚れなどのアルカリ性の汚れを落とせます。

掃除などで使う際は、汚れの性質を見極めてから、重曹とクエン酸を使い分けるようにしてください。

重曹がアルカリ性である理由

皿に重曹を入れている写真

炭酸水素ナトリウムでもある重曹は、水に溶けることでアルカリ性になります。アルカリ性とは、水溶液中の水酸化物イオンOH–が水素イオンH+よりも多い状態のことです。

ここでは、重曹がアルカリ性である理由を、化学式を用いて解説します。

重曹は炭酸水素ナトリウムであり、化学式はNaHCO3。炭酸水素ナトリウムは常温だと固体なので、炭酸水素ナトリウム自体がアルカリ性というわけではありません。水に溶かした時にアルカリ性になります。

水に炭酸水素ナトリウムが溶ける際は、『NaHCO3 → Na+ + HCO3–』。

さらに重炭酸イオンが水と反応することで、『HCO3– + H2O  ⇄  H2CO3 + OH–』。

つまり、炭酸水素ナトリウムが水に溶けた時、重炭酸イオンが水と反応することで、炭酸であるH2CO3と水酸化物イオンOH–が発生します。

重曹のアルカリ性を高める方法

スプーン1杯の重曹を掃除用手袋の上にまき、スプレーボトル横に添えた写真

重曹は中性に近いアルカリ性のため、作用の働き方は穏やかです。汚れをしっかり落としたい時は、加熱して重曹のアルカリ性を高めるのがおすすめ。

軽い油汚れであれば通常の状態でもスルッと落とせますが、焦げ付いた油などを落とす時は、加熱して高めることで洗浄力をアップさせましょう。

頑固な汚れを落としたい時は、水500㎖に重曹40gほどを混ぜます。その後、電子レンジに入れ、沸騰するくらいまで温めるとpHが上がり、アルカリ性を高められます。

ただし、強アルカリとなった重曹は肌荒れを起こす可能性があるので、不安な人は手袋をはめて使いましょう。

また、加熱時の火傷にも注意してください。アルカリ性が高いと頑固な酸性の汚れを落とせるので、掃除や消臭に活用できます。

重曹の7つの使い道

重曹に水を溶かし、掃除をしようとしている女性の写真

ここでは、重曹の主な使い道を7つ紹介します。

  • 食品の加工
  • 掃除
  • 道具のメンテナンス
  • 匂い取り
  • 茶渋取り
  • 電子レンジの汚れ落とし
  • 二日酔いの症状緩和

ひとくくりに重曹といっても、食用や工業用など種類はさまざまです。用途に合ったタイプの重曹を使い分けましょう。

食品の加工

重曹には、食材のあくぬきや味の中和効果があります。水に対して0.1〜0.3%の重曹を加えることで、野菜のあくぬきや切り身の臭み取りに使えるのです。

また、重曹は食感を変化させる作用もあります。薄力粉2ぶんの1のカップに対して、重曹小さじ3ぶんの1杯を加えることで、サクサクな天ぷら衣を味わえるでしょう。

卵3個に対して重曹小さじ3ぶんの1杯を加えてオムレツにすると、卵のフワフワな食感を楽しめます。

そのほかにも、酢を入れすぎた料理にひとつまみの重曹を入れることで、マイルドな味わいになるなど、重曹は幅広い食品の加工に効果的です。

食品の加工に使用する際は、必ず食用の重曹を使うようにしてください

掃除

重曹は、スプレーや重曹水などの形状に変化させることで、掃除に使用が可能。

例えばキッチン周りの油汚れや手垢といった酸性の汚れは、重曹水のスプレーを吹きかけることで簡単に落とせます。

スプレーを用意する際は、ぬるま湯100㎖に大さじ1杯の重曹を加えてください。

また、風呂桶やバスタブに付いた湯垢など皮脂汚れを落とす際も、重曹は便利です。お湯をはった浴槽に重曹を1カップを加えて数時間放置し、その後ブラシで擦ることで落とせます。

道具のメンテナンス

道具のメンテナンスにも、重曹は便利。洗面器にお湯を入れ、重曹2ぶんの1カップを溶かした中に浸けることで、手軽にブラシのホコリ取りや頭皮の油汚れ落としが可能です。

また、洗濯のすすぎの時に、洗剤と一緒に3ぶんの1カップの重曹を入れることで、ふんわり仕上がります。

臭いが気になる洋服や布類がある時は、重曹水に浸け置くことで、消臭効果も期待できるでしょう。

匂い取り

重曹は、洗濯に手間がかかるカーペットやラグなどの消臭にも使えます。臭いが気になるカーペットなどに重曹をふりかけましょう。その後、重曹を掃除機で吸うとイヤな臭いが消えます。

天候や時間を問わずできるので、ぜひトライしてみてください。

また、靴箱の消臭にも重曹は便利です。重曹を瓶に入れて靴箱に置いておくだけで、消臭効果が働きます。

そのほかにも、生ゴミに直接振りかけることで臭いと菌の繁殖を防げるなど、多様な場面で活用できるでしょう。

茶渋取り

一度こびり付いてしまうと、なかなか落とすのが難しい茶渋。重曹なら、漂白剤の代わりに茶渋を落とすことも可能です。

普段使っているスポンジに重曹を付けて擦ることで、重曹の持つ研磨作用が働き、茶渋を落とせます。

電子レンジの汚れ落とし

面倒な電子レンジの庫内の掃除にも、重曹は便利です。耐熱コップに、水と重曹を1:1の割合で混ぜた重曹水を30cc入れ、500Wで2分ほど加熱。

庫内に15分ほど放置しておくことで、庫内の汚れを浮かせることが可能に。その後、乾いた布で拭き取ることでピカピカになります。

二日酔いの症状緩和

意外に思うかもしれませんが、重曹は二日酔いの症状緩和に効果的です。重曹には過剰な胃酸分泌を抑える効果があるので、吐き気や胸やけなど二日酔いの症状を改善してくれます。

手順は簡単。コップ1杯の水に、小さじ1の重曹を溶かしたものを飲むだけです。

ただし、大量に飲むと、炭酸水素ナトリウムが切れた時に胃酸が大量に出るので気を付けましょう。また、使用する重曹は必ず食用のものにしてください。

重曹を掃除で使う時の4つの注意点

重曹と掃除道具の写真

重曹を掃除で使う時には、以下の4点に注意する必要があります。

  • 重曹が使える素材か確認する。
  • 拭き残しがないようにする。
  • 大量に使用しない。
  • 長時間の使用は避ける。

さまざまな用途に使える重曹だからこそ、使い方を間違えるのは非常にもったいないです。順に解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

重曹が使える素材か確認する

汚れを落とすアイテムの素材には、重曹が使えないものがあります。

壁紙やプラスチックなどは問題ありませんが、天然素材のものやアルミ製品などのものの掃除に重曹を使うのは避けましょう。傷や変色の原因になり得ます。

以下の表に、重曹の使用が向かない素材とリスクをまとめました。掃除に使えるか迷う場合は、ぜひ確認してみてください。

重曹の使用が向かない素材リスク
漆器などの塗装コーティングに傷がつく
加工していないフローリング・畳黄色く変色する
アルミ・銅・真ちゅう黒く変色する

拭き残しがないようにする

重曹水で掃除した時に拭き残しがあると、白いあとが残ります。水拭きすれば落とせる程度のものですが、二度手間になるので要注意。

布などで拭く時は、拭き残しのないよう気を付けましょう。

大量に使用しない

水の量に対して大量の重曹を入れすぎると、溶けきれずに重曹の粉が残ってしまいます。

浸け置きなどで使う場合、残った粉が新たな汚れとなってしまい本末転倒な事態に。少しずつ水を加えて混ぜながら、粉が残らないように調整しましょう。

そもそも、重曹の量を増やしてもpH値は変わりません。アルカリ性を強めた状態で掃除を行うなら、重曹を加熱する必要があります。

長時間の使用は避ける

アルカリ性は肌の常在菌のバランスを変える性質があるため、皮膚がアルカリ性に傾くと、肌荒れの原因になる可能性があるため要注意。

重曹は中性に近い弱アルカリ性ですが、人によっては肌荒れを引き起こすことがあります。

荒れやすい人や敏感肌の人は、長時間の使用を避けましょう。また、重曹を使う場合は、家事用のビニール手袋の着用がおすすめです。

重曹は暮らしのさまざまな場面で役立つアルカリ性の粉末

重曹で掃除をしている写真

重曹はアルカリ性の粉末です。ただし、重曹の粉自体がアルカリ性なのではなく、水に溶けることでアルカリ性に変化します。

重曹は、炭酸水素ナトリウムなので、二酸化炭素の放出・酸の中和・油の分解などが可能です。

また、アルカリ性である重曹に対し、クエン酸は酸性の性質を示します。両者は性質が正反対のため、掃除で使う際は、重曹は酸性の汚れを、クエン酸はアルカリ性の汚れを落とすために使用しましょう。

重曹は弱いアルカリ性ですが、加熱することで高められます。アルカリ性を高めることで、より強い酸性の汚れを落とせるため、試してみてください。

ただし、掃除に使う際は、素材が重曹に対応したものであるかや、粉の拭き残しがないかなどを確認しましょう。

さらに、重曹の用途は掃除に留まりません。食材の臭み取りや味の中和効果など、食品の加工にも効果があります。水に重曹を溶かして飲むことで、二日酔いの原因となる胸やけや吐き気などの症状緩和効果が期待できます。

重曹は暮らしのさまざまな場面で活用する便利アイテムです。日頃の掃除や調理などの場面で活用してみてください。


[文・構成/grape編集部]

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