レッサーパンダはなぜ絶滅危惧種に?原因と私たちにできることをご紹介
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レッサーパンダは、国際自然保護連合(通称:IUCN)が公表するレッドリストで、絶滅の危険が高い種を意味する『絶滅危惧種IB類(EN)』に指定されている動物です。
野生の個体数は過去20年間で半分以下に減少し、現在では約2500頭しか生息していないといわれています。
レッサーパンダは、かわいらしい見た目から国内で人気がある動物ですが、なぜこれほどまでに生息数が減少したのでしょうか。
本記事では、レッサーパンダの種類や生息地のほか、絶滅危惧種となった背景や、彼らを守るための取り組みについても紹介します。
絶滅危惧種であるレッサーパンダの種類と生息地
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絶滅危惧種であるレッサーパンダは、中国南部からミャンマー北部、ネパール、インド北東部、ブータンにかけて生息しているようです。
亜種には『シセンレッサーパンダ』『ネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)』の2つがあり、それぞれ異なる地域に生息しています。
シセンレッサーパンダ
シセンレッサーパンダは、中国南部とミャンマー北部に生息しています。
ネパールレッサーパンダと比べると、体の茶色が濃く、体格が大きいことが特徴です。国内の動物園などで多く飼育されています。
日本国内での飼育数は、2024年時点で250頭前後とされているようです。また、国内では繁殖活動が盛んで、動物園のウェブサイトでは、赤ちゃんレッサーパンダの誕生を知らせるニュースがたびたび掲載されており、人気の高さがうかがえます。
シセンレッサーパンダを飼育している動物園は国内で60か所程度あるといわれていますが、その中でも複数頭飼育している動物園を一部紹介します。なお、記載している飼育頭数は2025年5月末時点で確認できる頭数です。
【シセンレッサーパンダを多数飼育している国内の動物園】※2025年5月末時点
シセンレッサーパンダを見たい時は、飼育頭数の多い動物園へ行ってみてはいかがでしょうか。
ネパールレッサーパンダ(ニシレッサーパンダ)
ネパールレッサーパンダは、ネパールとインド北東部、ブータンに生息しています。
シセンレッサーパンダより体が小さく、毛の色が薄いのが特徴です。国内では静岡県賀茂郡にある『熱川バナナワニ園』でのみ飼育されており、2025年5月末時点で10頭が確認されています。
レッサーパンダが絶滅危惧種となった背景
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レッサーパンダが絶滅危惧種に指定された主な原因として挙げられるのは、以下の3つです。
レッサーパンダが減っている要因としては、エサとなる動植物の減少といった自然環境の変化によるものではなく、人為的な影響によって個体数が減っているケースが多いとされます。
これらの要因について、1つずつ見ていきましょう。
森林伐採
世界各地では、農業開発や焼き畑耕作、農民の移動、さらには戦争や内戦など、さまざまな理由で森林伐採が進んでいるようです。
レッサーパンダの生息地であるブータン、インド、ミャンマーも例外ではなく、森林面積の減少が深刻化しており、生息環境にも影響がおよんでいると考えられるでしょう。
密猟
レッサーパンダは、毛皮やペット目的として密猟されることもあります。
2025年1月には、タイでレッサーパンダやオランウータンなどが車両や建物内から発見され、タイ人の男性複数名が逮捕される事件が発生しました。
この事件は、野生動物密輸に関する情報をもとに警察が不審な車両を発見し、車両から保護動物であるテテナガザルやオランウータンが複数頭確認されたことが発端とされています。
その後、複数の野生動物の保管場所が調査され、保護動物であるマングースとカオカオホオジロ、管理対象動物であるワタボウシタマリンとレッサーパンダが押収されたとのことです。
押収されたレッサーパンダはコロンビアから密輸されたとみられており、1頭あたり約800万円の価値があるといわれています。
このような密猟により、レッサーパンダの個体数が減っているようです。
家畜や犬からの伝染病
レッサーパンダが絶滅危惧種となった原因の1つに、家畜や犬からうつされる伝染病の存在があるとされます。
レッサーパンダは、イヌジステンパーなどの感染症に弱いとされています。そのため、感染症によって命を落とすこともあるでしょう。
イヌジステンパーは、発現率、致死率ともに高く、特に若いイヌ科の動物に多く見られる病気のようです。感染した犬のくしゃみや体液などが原因となり、犬以外の若い動物にも広がる可能性がある病気といわれています。
さらに、農業開発などで森林が破壊されると、家畜や犬などがレッサーパンダの生息地に入り込み、排泄物を通じて感染症が拡大することも考えられるでしょう。
なお、飼育されているレッサーパンダに感染が広がらないよう、動物園ではイヌジステンパーの予防策として、ほかの肉食獣の獣舎と20m以上の距離を保つようガイドラインが設置されているようです。
絶滅危惧種のレッサーパンダを守るための取り組み
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レッサーパンダを絶滅の危機から守るため、国際的なものから地域的な取り組みまで、さまざまな活動が進められています。
例えば、国際取引によって生存を脅かされている、または絶滅の可能性がある野生動植物の保護を目的とした『ワシントン条約』が挙げられるでしょう。
また、生息地での保護活動も進められており、現地では野生のレッサーパンダとその生息地を保護するための団体『レッドパンダネットワーク(以下、RPN)』と現地政府が協力しているのだとか。
彼らは、生息調査や植林による生息地の再生、さらに密猟で生計を立てている地域住民に対して、密猟以外の収入を得るための方法や教育支援を提供するなど、さまざまな取り組みを行っているようです。
そのほかにも『GSMP』という国際的な管理計画により、レッサーパンダの個体数の回復を目指した活動が進められているといわれています。
ワシントン条約
ワシントン条約では、絶滅が危ぶまれる度合いに応じて、3つのランクに分けて規制をかけているとされています。レッサーパンダは、絶滅の恐れが強く、規制がもっとも厳しい分類の『附属書Ⅰ』に該当するようです。
附属書Ⅰに掲載されている動物は、絶滅の恐れが高いほか、取引によって悪影響を受けている、もしくは受ける可能性があるため、取引は特に厳重に規制されています。
密猟による取引はもちろん、ペットとして飼育するための取引も禁止されているようです。
国際的種管理計画(GSMP)
レッサーパンダの保護には、GSMPという国際的な管理計画があります。これをもとに、公益社団法人日本動物園水族館協会が、種の保存活動を進めているようです。
日本動物園水族館協会は、国内の140の動物園や水族館で構成されており、自然や貴重な動物を守る目的で設立されたのだとか。
国内では『種の保存』『教育、環境教育』『調査、研究』『レクリエーション』の4つの役割を担っているとのことです。
国際レッサーパンダデー
9月の第3土曜日は、RPNにより『国際レッサーパンダデー』が提唱されています。
同日には、世界各地の動物園でレッサーパンダに関するイベントが開催され、レッサーパンダへの関心や理解を深めるための活動が行われているようです。
レッサーパンダなどの絶滅危惧種のために私たちができること
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レッサーパンダをはじめ、絶滅危惧種の動物をこれ以上増やさないためには、私たち一人ひとりが日常生活の中で意識することが大切といえるでしょう。
例えば、自然環境への配慮を心がけること、野生動物との距離を適切に保つこと、そして飼っているペットを野生に放さないようにすることが挙げられます。また、取引が禁止されている生き物の加工品を購入しないことも、重要な行動の1つといえるでしょう。
レッサーパンダなどの絶滅危惧種のために私たちができることは、簡単にまとめると以下の4つです。
「こんなことで絶滅につながるなんて」と思う人もいるかもしれませんが、野生動物に対する人間の影響は大きいといえます。
これ以上絶滅危惧種を増やさないためにも、まずは日常生活の中でできることはないか意識してはいかがでしょうか。
自然環境に配慮する
環境汚染や開発による自然破壊によって住処を失い、絶滅危惧種に指定された動物もいるようです。
こうした生き物の住処を守るためには、ゴミのポイ捨てをやめることや、自然由来の素材を使用した製品を選ぶことが1つの方法といえます。
さらに、省エネ家電の使用や再生エネルギーの活用といった取り組みも、自然環境を保全し、野生動物を守る行動につながっていくことでしょう。
野生動物との距離を保つ
毛皮やペット目的で密猟され、絶滅危惧種に指定された動物もいます。
「かわいいから」という理由で、野生動物に餌付けをしたり捕まえたりすることは避けるべきです。生態系を崩さないためにも、野生動物とは適切な距離を保ちましょう。
ペットを野外に放さない
天敵となる外来種の侵入によって、絶滅に追い込まれた動物もいるといわれています。
外来種とは、本来その国や地域に生息していなかった動物のことです。海外からの船や荷物に紛れ込んでいたり、ペットが逃げ出したり、「飼育が困難になったから」と野外に放されたりした結果、侵入、繁殖するケースがあります。
数が増えると、在来種のエサや住処が奪われるなど、生態系に深刻な影響をおよぼすこともあるでしょう。
在来種を守るためには、どのような理由があってもペットを野生に放さないことが重要です。ペットは大切な家族の一員であり、飼い始めたら最後まで責任をもって世話をすることが求められます。
もし、特別な事情で飼育が難しくなった場合は、家族や友人に引き取ってもらう、あるいは里親を探すなど、信頼できる引き取り先を見つけることが大切です。野外に放すことだけは、決してしないようにしましょう。
取引が禁止されている生き物や加工品を購入しない
絶滅危惧種に指定されたからといって、それだけで個体数の減少が止まったり、自然に増えたりするわけではありません。
たとえ取引が禁止されていても、毛皮や肉などの加工品やペットとしての需要があり、高い値段で売られる状況では、密猟は止まらないと考えられます。さらなる密猟を防ぐためにも、取引が禁止されている生き物や、その加工品は購入しないという意識を持ちましょう。
絶滅危惧種のレッサーパンダを守ろう
日本ではかわいらしい見た目から、人気が高いレッサーパンダですが、森林伐採や毛皮、ペット目的での密猟などにより、個体数が減少しているようです。
このような絶滅危惧種を守るためには、自然環境への配慮など、私たちが日頃から意識できることもあります。一人ひとりが身近にできることから取り組み、レッサーパンダの未来を守っていきましょう。
※この記事は、一部各動物園のウェブサイトを参照しています。
[文・構成/grape編集部]