lifestyle

栗が果物に分類されるのはなぜ?旬の味覚を丸ごと楽しむための知識を紹介

By - grape編集部  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

栗が果物に分類されるのはなぜ?旬の味覚を丸ごと楽しむための知識を紹介

※写真はイメージ

秋が深まると食べたくなる、ほくほくとした甘い栗。食卓にのぼると季節の訪れを感じさせてくれる、日本の秋には欠かせない味覚です。

ところで、栗は果物と野菜のどちらに分類されるかご存知でしょうか。『ごはんに入れるから野菜』『木になるから果物』など、意見が分かれるところかもしれません。

本記事では、栗が果物と野菜のどちらに分類されるのかを解説します。加えて、栗ならではの栄養価や保存方法も紹介。栗についての知識を深め、秋の味覚を最大限に楽しみましょう。

栗は『果物』の一種

栗は『果物』の一種

※写真はイメージ

日本の農産物の分類を管轄する農林水産省、行政などを所管する総務省では、栗を果物として位置づけています

私たちのイメージとは少し違うかもしれませんが、なぜ栗が野菜ではなく果物なのか、その理由を見ていきましょう。

『果樹』の定義に当てはまる栗の木

農林水産省では、果樹を『概ね2年以上栽培する草本植物及び木本(もくほん)植物であって、果実を食用とするもの』と定義しています。

この定義を栗に当てはめてみましょう。

栗の木は、一度植えると長い寿命を持ち、実をつける『木本植物』で、私たちはその実を食用としています。この2つの条件を満たす栗は分類上、果樹となるのです。

果樹から収穫され、食用となる果実は一般的に『果物』と呼ばれます。りんごやみかんが樹木から採れる果物であるのと同様に、栗も果物の一員といえるでしょう。

野菜と果物の分類基準とは

一般的に、野菜とはきゅうりやキャベツ、ほうれん草など、おもに畑で栽培される一年生草本(そうほん)植物で、あまり加工せずに食べられる植物とされています。

草本性の植物で、畑で栽培されるイチゴやメロンなどは果物のイメージが強いといえますが、本来野菜に分類されるようです。

しかし、食べ方や消費のされ方によって『分類上は野菜であっても、一般的な認識は果物となっている野菜』を意味する『果実的野菜』として扱われています。

植物学上の定義

植物学では『受粉後に子房が発達した器官』が果実と定義されているようです。

そのうち、栗はブナ科に属し、硬い殻に包まれた堅果(けんか)というタイプで、学術的に見ても栗は果物になるといえます。

堅果の仲間にはクルミやアーモンドなどのナッツ類があり、殻の内部に種子を1つ持つのが特徴のようです。

また、文部科学省では栗を含めたこれらの堅果を、特に食用の植物の種子や果実を指す『種実(しゅじつ)』として分類しています。

栗が果物と感じられない3つの理由

栗が果物と感じられない3つの理由

※写真はイメージ

農林水産省の定義で栗は果物であるとされていることに、違和感を覚える人もいるでしょう。その理由は、栗が持つユニークな性質にあると考えられます。

ここでは、私たちが栗を果物と認識しにくい主な理由を栄養面、食べ方、植物学上の分類という3つの視点から探りました。

1.生で食べず加熱調理が必須だから

1つ目の理由は食べ方です。りんごやみかん、ぶどうといった果物の多くは、皮をむけば手軽に生で食べられます。生で食べられる点は、私たちが果物に抱く共通のイメージの1つでしょう。

しかし、栗を生で食べるのは一般的ではありません。

通常は、皮をむいてゆでたり、蒸したりといった加熱調理を経ておいしく食べられるようになります。調理法から野菜の仲間というイメージが定着しやすくなったのかもしれません。

栗ご飯や煮物などの材料として使われることが多い点も、果物というよりは食材としての側面を強く印象づけているといえるでしょう。

2.主食にもなる『でんぷん』が主成分だから

栗が果物らしくないと感じる理由の2つ目は、その栄養成分にあるといえます。

一般的な果物は、水分や果糖、ブドウ糖などが主成分とされているのに対し、栗の主成分は『でんぷん』のようです。

でんぷんは炭水化物を構成する成分とされ、植物においてエネルギーを貯蔵する役割があると考えられています。

栗は果物の中では異質ともいえるほどでんぷんが多く、さつまいもなどの芋類や、米などの穀類に近いといえるでしょう。

そのでんぷんの多さから、栗は古くから山間部などで貴重な栄養源として人々の暮らしを支えてきたといわれています。

果物らしいジューシーさや甘酸っぱさではなく、でんぷんがもたらすほくほくとした食感と優しい甘みが、果物らしくない印象を抱かせる大きな要因かもしれません。

3.植物学上は堅果(ナッツ)の仲間だから

前章で触れた通り、栗は堅果に分類されます。堅果はナッツ類に含まれるため、果物のイメージが定着しない理由の1つかもしれません。

堅果類は、多くの脂質を含んでいるとされていますが、栗はでんぷんが主成分とされ、脂質が少ない点が特徴のようです。

栗の種類別の特徴

栗の種類別の特徴

※写真はイメージ

栗は、大きく分けて『ニホングリ』『チュウゴクグリ』『ヨーロッパグリ』『アメリカグリ』の4種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

ニホングリ(和栗)

ニホングリは日本で一般的に栽培されている栗で、大きめの果実と風味のよさが特徴とされています。甘味は控えめなようですが、上品で素朴な味わいがあるのだとか。一方、むきにくい渋皮が難点のようです。

ニホングリの代表的な品種には、利平栗(りへいぐり)、丹沢(たんざわ)、筑波(つくば)、国見(くにみ)などがあるとされ、各地で栽培されています。

チュウゴクグリ(中国栗)

チュウゴクグリは天津甘栗として知られる品種で、小粒で甘味が強く、渋皮がむけやすいのが特徴のようです。

中国では『板栗』と呼ばれるとされ、主に甘栗として利用されているのだとか。果肉はしっかりしており、焼き栗として食べるのが一般的なようです。

ヨーロッパグリ(西洋栗)

ヨーロッパグリは小ぶりで、渋皮がむきやすく、マロングラッセなどの菓子原料として使われます。

果実がしっかりしており、焼き栗や煮込み料理向きとされていますが、日本での栽培は少ないようです。

アメリカグリ

アメリカグリは、甘くて香りが強い良質の栗といわれていますが、1904年に発生した病気によりほぼ壊滅状態となったとされています。そのため、現在では希少な存在なのだとか。

果実は大きく、木材としても価値があるとされています。

秋の味覚を最大限に!栗の選び方と保存のコツ

秋の味覚を最大限に!栗の選び方と保存のコツ

※写真はイメージ

旬の栗を手に入れたら、最高の状態で味わいたいものです。ここでは、新鮮でおいしい栗を見分けるためのポイント、風味と甘さを長持ちさせる正しい保存方法をお伝えします。

栗の旬はいつ?

栗の旬は、収穫が本格化して市場に多く出回る9〜10月のようです。この時期に収穫された栗は、風味豊かで実も大きい傾向にあるでしょう。

栗にはさまざまな品種があり、収穫時期も少しずつ異なるとされています。

早生(わせ、そうせい)種は8月下旬から市場に出始め、中生(なかて、ちゅうせい)種は9月中旬〜10月上旬が最盛期、晩生(おくて、ばんせい)種は10月いっぱいまで楽しめるでしょう。

おいしい栗を見分けるポイントと正しい保存方法

新鮮でおいしい栗を選ぶには、見た目をよく観察することが大切なようです。

購入時には、新鮮な栗のサインとされる次の4点をチェックしましょう。

  • 鬼皮にハリと濃い茶色の光沢がある。
  • 手に持った時にずっしりと重みを感じる。
  • 虫食いの穴や黒い斑点、傷がない。
  • ふっくらと丸みを帯びた形をしている。

栗は乾燥を嫌うため、購入後はビニール袋やポリ袋に入れて口をしっかりと閉じ、冷蔵庫のチルド室など、0℃前後の低温環境での保存が最適のようです。

栗は、低温で数週間〜1か月ほど熟成させることで、でんぷんが糖に変わり甘みが増すといわれています。

また、長期保存する場合は冷凍も可能なようです。冷凍するには、皮つき、あるいは皮をむいて生栗のまま冷凍する方法や、ゆでてから冷凍する方法があるとされています。

冷凍した栗は皮つきであれば2〜3か月程度、むき栗は1か月程度を目安に使い切るのがおすすめです。

栗は栄養豊富な果物!秋の味覚を満喫しよう

栗は、農林水産省の分類では果樹とされており、可食部分は果物とされています。

また、植物学的には堅果に分類されるナッツの一種でありながら、脂質は少ないとされ、でんぷんを主成分に持つユニークな存在といえるでしょう。

また、ビタミンCやカリウムなどを含むとされており、そのおいしさだけではなく栄養面でも価値があるといえます。

さまざまな品種が日本各地で栽培されている栗は、9〜10月が本格的な旬のようです。

秋ならではの自然の恵みを、栗ご飯や和菓子、洋菓子などさまざまな形で生活に取り入れ、豊かな風味を心ゆくまで味わってはいかがでしょうか。

※この記事は、一部農林水産省のウェブサイトを参照しています。


[文・構成/grape編集部]

『かぼす』と『すだち』の違いは?見分け方や似ている果物の特徴を解説

『かぼす』と『すだち』の違いは?見分け方や似ている果物の特徴を解説『かぼす』と『すだち』は、見た目は似ていますが、大きさや香り、味などに違いがあります。本記事では、『かぼす』と『すだち』の特徴や見分け方、似た果物との違いを解説します。『かぼす』と『すだち』の違いを理解したい人は、参考にしてください。

皮ごと食べられるぶどうの選び方!見分け方や食べる際の注意点も解説

皮ごと食べられるぶどうの選び方!見分け方や食べる際の注意点も解説皮ごと食べられるぶどうの品種や見分け方、食べる際の注意点を解説。皮の栄養や洗い方、子供や高齢者への食べさせ方までまとめています。ぶどうを皮付きのまま楽しむレシピも紹介。正しい知識のもと、ぶどうを楽しむための情報をチェックしましょう。

Share Post LINE はてな コメント

page
top