8月7日は『立秋』 日本各地のお盆にまつわるご利益があるお話をご紹介
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暑い盛りを迎えていますが、二十四節気では8月7日から『立秋』となります。暑中見舞いも、この日からは残暑見舞いに。盛夏から、晩夏へ。暑気はますます極まり、ときおりそよと吹く風に、夕刻から聞こえる虫の声に、そこはかとない涼を感じる時節です。
七十二候では『涼風至(すずかぜいたる)』
暦のうえで『立秋』といいわれても…と、違和感を感じる方も多いかも知れません。朝からの炎天にめまいがしそうなほどの暑さが厳しい折、体力を温存するだけでやっとというような日が続きます。猛暑たけだけしい日中は昼寝でもしてやりすごし、できるだけのんびりと過ごしたいものですね。
さて『立秋』ですが、天文学的には太陽が黄経135度の点を通過するとき。暦便覧を紐解けば、「はじめて秋の気立つが故なればなり」とあります。“秋の気”が“立つ”ということは、秋の気配が現れてくるという意味合い。
8月7日からの時節のあいさつは暑中見舞いではなく、残暑見舞いに。もくもくと力強くわく入道雲に、ときおり鰯雲がまじるようになり、夕暮れどきからは虫の声が耳に心地よく響くようになってきます。
また、七十二候では、『立秋』の初候『涼風至(すずかぜいたる)』となりました。早朝や日没後など、そよと吹く風が無性に心地よく感じるときもあり、季節は着実に陽の季節から陰の季節へとめぐりゆきます。
京都では六道(ろくどう)参りが始まる
(主に西日本などで)立秋を過ぎると迎える、お盆の準備をはじめたご家庭も多いことでしょう。京都もまた8月盆で、8月7日~10日には『六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ)』で『六道参り』、またの呼び名を『お精霊(しょうらい)さん迎え』が行われます。
仏教でいうところの六道とは、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人間道、天道の6つの冥界のこと。観世音菩薩に祈ることで、これらの世界に堕ちることから救われるといわれています。
古くから京都の東の葬送の地として名高い、鳥辺山のふもとにある『六道珍皇寺』。ここは、この世とあの世との分岐点『六道の辻』といわれる冥界との接点。お盆に帰ってくる精霊たちは、必ずこの辻を通ると信じられたことが『六道参り』の由来なのだそうです。
今年の六道参りの日程は、8月7日から10日。拝観時間は、6時から22時までとのこと。
冥界を輪廻する先祖の霊を現世へ迎え入れるのは、十万億土の冥界へも響き渡るといわれる『迎え鐘』。この精霊迎えの鐘をつくために毎年多くの参詣者が訪れます。期間中は、重要文化財の薬師如来はじめ寺宝の地獄絵等も公開され、観音さまの御加護によって、それぞれの家へ精霊を迎え、供養するのです。
西陣の『千本釈迦堂』でも8月8日から16日までこの六道参りは行われ、京都の夏の風物詩となっています。
『衣張山(きぬはりやま)』で涼をとった源頼朝の故事も
所変わって鎌倉へ。報国寺の裏手に『衣張山』という小高い山があります。その名の由来は、源頼朝が夏の暑い日に、この山を白い絹で覆わせて雪景色に見立てて涼を楽しんだことからだとか。はたまた、頼朝ではなく、北条政子が父の北条時政に頼んで白絹を覆わせたとか。さてまた、頼朝が布を張らせたのは、お産に臨む政子のためだったとか…。
もろもろ諸説あるようですが、暑い盛りに白い布で涼を感じたとは、いかにも日本らしい見立ての風情があふれていますね。
その衣張山は、標高121メートル。登れば絶景を望むパノラマが広がり、仏閣や歴史ある名所をめぐるハイキングコースが周囲に広がります。人気の観光名所『報国寺(竹寺)』の竹林をわたる風に涼を感じるのも一興。
また、近隣には苔むした石段に時の重なりを感じる鎌倉最古の寺『杉本寺』もあり、8月10日には観音様の縁日『四万六千日大祭』が開かれます。
この日にお参りすると、四万六千日(しまんろくせんにち)もの間お参りしたのと同じご利益を授かるといわれ、深夜0:00から開門されるとのこと。人のあらゆる苦しみに手をさしのべてくれるというご本尊の十一面観音に手を合わせ、あまたなる御利益を得ることで、健やかに夏を越えられたらいいですね。
全国各地が暑さでわきたつころ、少しずつではありますが感じられる、そこはかとない涼を感じているうちに、やがて初秋へ…。どんなに暑くとも、今年の夏もまた、過ぎてしまえばあっという間だったと感じることでしょう。
※参考:年中行事読本(創元社)
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