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溺れている人を放っておけない スペインの難民を救助し続けるライフセイバー

By - grape編集部  公開:  更新:

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出典:YouTube

ヨーロッパのエーゲ海沿岸の国々には難民が次々とやってきます。人道的、政治的な問題、内線から逃れるため等、理由は様々です。彼らの大半は自分自身、そして大切な子どもたちを命を危険にさらしてでも国を捨てなくてはならなかった事情のある人々です。

スペイン、バルセロナの救援団体、非政府NGOのプロアクティバ・オープン・アームズ(POA)というグループがあります。彼らは、戦争・迫害・貧困から逃れるために船に乗って、地中海に到着する難民を救うことをミッションとしています。

隊員はすべてボランティアで構成され、ボランティアとはいえ、高い意識とプロフェッショナルなレスキュー技術を持っています。2015年9月には、トルコ沿岸のレスボス島に拠点を置き、ギリシャに難民が到着できるように支援を行ってきました。

彼らは地中海沿岸に到着する難民船の監視、救助と、世界で語られることがない今ここで何が起こっている実情を世界の人に知らしめる啓蒙活動に活動を特化しています。団体の設立のきっかけとなったのは溺死して海に打ち上げられた子どもたちの写真をみたことだったそうです。想像するだけで心が痛みます。

「これが私たちのビーチで今、起きている現実であり、何かできるのではないか、なぜ彼らは死んでしまったのか?なぜ誰も彼らを助けなかったのか?」

その答えが救助活動に繋がっています。

隊員たちは100%ボランティアで活動しており、本職はアートセラピスト、救急救命士、海洋風力発電の安全監視員、商船の乗組員など様々だそうです。彼らは、自分たちの行動は決して英雄的なことではないと語ります。

「誰もが普通の人。誰もが自分を英雄だとは思っていません。ただ、やるべきことをやっているだけです。自分たちと違って、幸運に恵まれなかった人々を助けたくて、仕事の合間や休暇中に参加しています」

彼らは救助活動の他に、フィールド・チームも設けていて、医療関係者や心理学者が難民のサポートにあたっていて、帰国後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状を防ぐため、将来の心理的な安定性を確保しながら、難民の人々が現実の生活に戻るために必要な手助けを行っているそうです。

これは救助隊員が救命にあたる様子です。まさに、命がけの仕事です。

POAの活動は様々な賞を受賞しており、バルセルナ水道局アグバル財団が救命ボートの購入費用として29,000ユーロを寄付したり、バルセロナで活躍した元スペイン代表MFシャビ・エルナンデスが自家用ヨットを救助隊に寄付したことでも話題となりました。

死亡事故の続出している難民を放っておけないと動き出したシャビ氏の慈善活動は高く評価されました。

アフリカ、中東からの難民は増加

人道的・政治的状況の不安定なアフリカ、戦闘地域の中東から逃れる難民の数は、2015年、2016年ともに急増してます。2015年は、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプト、トルコの港からは100万人を超す難民が脱出し、スペイン、イタリア、ギリシャを目指しました。

2016年には海路での到着は約30万人と減少してはいるものの、過去の平均と比べれば依然として多い状況は変わりません。国連の難民機関は、地中海への渡航を試みる間に死亡または行方不明となった人の数は、この20ヶ月で3,521人にのぼると発表されています。

私たち日本人は国を追われるような経験はありません。難民になることもありません。もちろん誰もが色々な問題は抱えていますが、少なくとも陸の上に居場所がなく、船に乗って死ぬかもしれない犠牲を払ってでも「ここではないどこか」を目指すような状況にはありません。

しかし、世界にこのような出来事が日々起こっていることを知ることだけでも重要なことです。そして、POAの方々の「ただ目の前で溺れている人を助けたい」という真摯な気持ちによる人道支援には胸を打たれるはずです。

彼らのようなすごいことはできなくても小さなこと身近なことで人を助ける方法はたくさんあるはずです。このビデオを観て、何かを起こす行動のきっかけが心に芽生えるかもしれません。

 
出典
29 de agosto 2016 - Mediterráneo CentralUpworthyThe LocalProactiva Open Arms

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