安倍首相が『イヴァンカ基金』に約57億円を拠出?「財源は税金」は勘違い By - grape編集部 公開:2017-11-03 更新:2018-06-07 イヴァンカ・トランプ安倍晋三 Share Post LINE はてな コメント 2017年11月2日、アメリカのトランプ大統領の長女で、大統領補佐官のイヴァンカ・トランプさんが成田空港に到着しました。 5日に訪日を予定している父ドナルド・トランプ大統領に先立つ形で、日本へとやって来たイヴァンカさん。3日午前には安倍晋三首相と共に、女性政策を議論する国際シンポジウム(女性版ダボス会議)の関連行事に出席しました。 産経新聞によると、安倍首相は国際シンポジウムで次のように挨拶。 首相は「日本は世界で女性活躍の旗を高く掲げ、強い指導力を発揮していく決意だ」と強調。 女性起業家への期待を示した上で「イバンカ氏が主導した基金を強く支持する。世界中の女性たちが立ち上がれば、貧困をはじめ、世界のさまざまな課題は解決できる」と述べた。 産経ニュース ーより引用 そして、イヴァンカさんが設立に関与した「女性起業家を支援する基金」に、5000万ドル(約57億円)を拠出することを表明しました。 このニュースが報じられると「素晴らしい」という賛辞の一方、「財源は?」「まさか税金じゃないよね」といった懐疑的な声がネット上にあふれます。 「57億円を拠出」という表現がそもそも間違い 「女性起業家を支援する」という大義名分があるのは理解できますが、「5000万ドルを拠出する」という安倍首相の言葉に違和感を覚える人がいるのは事実でしょう。 しかし、この『5000万ドル』の財源は、税金ではなく「外貨準備高」というのが真実のようです。 外貨準備高 日本銀行と財務省が保有する準備資産のこと。通貨当局が為替介入に使用する資金であるほか、通貨危機などにより、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合などに使用する。国内では使用できないため、俗に『塩漬けのドル』と呼ばれることも。 「そもそも予算から拠出されるならドルではなく円で書かれる」といった指摘があるように、確かに安倍首相が表明したのは『5000万ドル』であって、『57億円』ではありません。 「分かりやすく」という意味合いで、『約57億円』と書いたメディアが多かったこともあり、勘違いを誘発してしまったようです。 『イヴァンカ基金』ではない? また、『イヴァンカ基金』という表現にも問題がありました。 今回、安倍首相が5000万ドルの拠出を表明した基金の正式名称は『女性起業家資金イニシアティブ』。外務省のウェブページにも、世界銀行内に設置された基金であることが明記されています。 8日16時45分~17時00分(現地時間同日9時45分~10時00分分)、ドイツのハンブルグにて開催中のG20において、女性起業家資金イニシアティブ(Women Entrepreneurs Finance Initiative)の立ち上げ式が開催されました。 (中略)女性起業家資金イニシアティブ(Women Entrepreneurs Finance Initiative) 途上国において、女性起業家や女性が運営する中小企業が直面する障害(資金アクセス、法制度等)を克服するための支援実施を目的として世銀内に設立される基金。 外務省 ーより引用 この基金の立ち上げに、イヴァンカさんが関わったことは事実ですが、「運営には関わらない」と世界銀行のウェブページにも明記されています。 こうしたことから「57億円を拠出という表現はおかしい」「『イヴァンカ基金』と表現すること自体が間違っている」といった反論がネットに上がります。 『57億円』と表現されると「予算から拠出する」と思っちゃうよね。国内では使えない外貨準備高の有効利用なのに…。 『イヴァンカ基金』という表現に悪意を感じます。 「誰がやったか」に注目しすぎているように思う。何よりも大切なのは「何をしたか」ではないでしょうか。 注目を集めているからこそ、さまざまな情報が飛び交い、結果として誤解をされてしまうこともあるイヴァンカさん。 4日の帰国まで、その一挙手一投足が話題となり、議論の対象になってしまうのは仕方がないのかもしれません。 [文・構成/grape編集部] ダルビッシュ有が日本に帰国 向かった先は…?2024年11月12日、メジャーリーグの『サンディエゴ・パドレス』に所属するダルビッシュ有選手が、自身のブログを更新。日本に一時帰国していたことを明かしました。 俳優・火野正平さんが逝去 腰痛の治療に励むも腰部骨折に火野正平さんが亡くなったことが分かりました。ご冥福をお祈りいたします。 出典 日本銀行/外務省/産経ニュース/世界銀行/日本銀行/外務省/世界銀行 Share Post LINE はてな コメント
2017年11月2日、アメリカのトランプ大統領の長女で、大統領補佐官のイヴァンカ・トランプさんが成田空港に到着しました。
5日に訪日を予定している父ドナルド・トランプ大統領に先立つ形で、日本へとやって来たイヴァンカさん。3日午前には安倍晋三首相と共に、女性政策を議論する国際シンポジウム(女性版ダボス会議)の関連行事に出席しました。
産経新聞によると、安倍首相は国際シンポジウムで次のように挨拶。
そして、イヴァンカさんが設立に関与した「女性起業家を支援する基金」に、5000万ドル(約57億円)を拠出することを表明しました。
このニュースが報じられると「素晴らしい」という賛辞の一方、「財源は?」「まさか税金じゃないよね」といった懐疑的な声がネット上にあふれます。
「57億円を拠出」という表現がそもそも間違い
「女性起業家を支援する」という大義名分があるのは理解できますが、「5000万ドルを拠出する」という安倍首相の言葉に違和感を覚える人がいるのは事実でしょう。
しかし、この『5000万ドル』の財源は、税金ではなく「外貨準備高」というのが真実のようです。
外貨準備高
日本銀行と財務省が保有する準備資産のこと。通貨当局が為替介入に使用する資金であるほか、通貨危機などにより、他国に対して外貨建て債務の返済が困難になった場合などに使用する。国内では使用できないため、俗に『塩漬けのドル』と呼ばれることも。
「そもそも予算から拠出されるならドルではなく円で書かれる」といった指摘があるように、確かに安倍首相が表明したのは『5000万ドル』であって、『57億円』ではありません。
「分かりやすく」という意味合いで、『約57億円』と書いたメディアが多かったこともあり、勘違いを誘発してしまったようです。
『イヴァンカ基金』ではない?
また、『イヴァンカ基金』という表現にも問題がありました。
今回、安倍首相が5000万ドルの拠出を表明した基金の正式名称は『女性起業家資金イニシアティブ』。外務省のウェブページにも、世界銀行内に設置された基金であることが明記されています。
この基金の立ち上げに、イヴァンカさんが関わったことは事実ですが、「運営には関わらない」と世界銀行のウェブページにも明記されています。
こうしたことから「57億円を拠出という表現はおかしい」「『イヴァンカ基金』と表現すること自体が間違っている」といった反論がネットに上がります。
注目を集めているからこそ、さまざまな情報が飛び交い、結果として誤解をされてしまうこともあるイヴァンカさん。
4日の帰国まで、その一挙手一投足が話題となり、議論の対象になってしまうのは仕方がないのかもしれません。
[文・構成/grape編集部]