「うちの猫と、あんたの子猫を交換して」 祖母の言葉を聞き、家を訪れると
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少子高齢化が進む現代で、動物を家族に迎え入れたいと思う高齢者は少なくありません。
配偶者や親しい人が先立ってしまい、「話し相手がほしい」「家に誰か家族がいてほしい」という気持ちがわいた人もいることでしょう。
また、『アニマルセラピー』という言葉があるように、動物が新たな心の支えとなることで高齢者の健康維持につながるともいわれています。
※写真はイメージ
しかし、年をとると自分の身体にいつ変化が起こるか分かりません。
ある日突然病気を発症したり、入院を余儀なくされたりすることで、満足に動物の世話をできなくなってしまう可能性も十分にあり得ます。
高齢者がペットを飼うということ
神奈川県横浜市で猫の保護活動を行っている『チーム・のっぴきならない』のメンバーである、ひろろさんの呼びかけが話題になっています。
ひろろさんがTwitterに投稿したのは、いまは亡き祖母の話。ひろろさんの祖母が70歳だったころ、1匹の子猫を飼いたいといい出しました。
祖母の家は少し離れた場所にあるものの、検査入院や老人会の旅行の際はひろろさんと母親の自宅で預かることができるため、猫を飼うことにします。
※写真はイメージ
しかし数年後、祖母はひろろさんと母親にこういったのです。
「かなり大きい黒猫に成長して、抱っこすると腰が痛い。
あんたの家にいる、小さい猫と交換して」
その言葉に驚いた2人は、少し離れた場所にある祖母の家に向かいます。
家の中で目にしたのは、汚れた状態の猫のトイレ…雨の日が続いていたせいで祖母は買い物に出られず、猫砂を買うことができなかったのです。
祖母の現状を知り、ひろろさんと母親は「祖母が猫と暮らし続けるのは困難」と判断。猫を引きとることにします。
ひろろさんは、その時の経験を元に1枚の画像を作成しました。
「本当に最期まで面倒をみることができるのか、しっかりと考えてから動物を飼ってほしい」…そのことを訴える、ひろろさん。
猫を引き取った後は、祖母を迎えに行き、母親の家で猫と一緒にいられる時間を作るようにしたそうです。
「祖母も母親も、猫を通して幸せだった」とひろろさんは振り返っています。祖母も「猫が幸せそうなので、私といるよりいい」とよく話していたといいます。
ひろろさんはこうコメントしています。
「老人が猫と飼うためには人とつながるのは絶対条件です。孤独なら、孤独にならないようにできる社会が必要かと思います」
今回の場合は、あらかじめ万が一のことを考えていたためひろろさんが引きとることができました。しかし、もし家族も面倒をみることができなかったら、猫はどうなっていたのでしょうか。
考えさせられる投稿に、さまざまな意見が上がっています。
・「ペットは高齢者の心の支えになる」「ペットの世話を最期までできないかも」どちらも分かるから、苦しい。
・高齢者がペットを飼うのは、金銭的にも体力的にも厳しいからなあ。難しい問題ですね。
・「可愛いから」「さみしいから」といった感情でペットを飼うのはよくないですよね。
・飼い主の他界や入院で里親募集に出されてしまうペットがいるのも事実。成猫は子猫よりもらい手が少ないですし…。
・家族や本人に「絶対に幸せにする」という覚悟があるなら、飼ってもいいと思います。
動物を飼うということは、命の面倒を最期までみること
動物の里親募集を見ていると、応募条件に「高齢者不可」という言葉が書かれているのをよく目にします。
これらは、飼い主がペットの面倒をみられなくなってしまい、再び動物が悲しい思いをするのを防ぐためでしょう。
現に、里親募集サイトでは「飼い主が他界したため」「飼い主が高齢になり、面倒をみられなくなったため」といった文面で募集に出されている動物もいます。
もちろん、自分の身にいつ、何が起こるか分からないということに年齢は関係ありません。若く健康な人でも、突然事故に遭い、動物の面倒をみられなくなってしまうかもしれないのですから。
「最期まで面倒をみる方法はあるか」「万が一の時、対処法はあるか」…愛しい家族のために、そのことをしっかりと考えなくてはなりません。
『チーム・のっぴきならない』ブログ
[文・構成/grape編集部]