lifestyle

人生は野菜スープのよう 鍋の底を、お玉でかき回していると…

By - 吉元 由美  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

※ 写真はイメージ

吉元由美の『ひと・もの・こと』

作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。

たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。

人生という野菜スープ

寒い日には、身体を温める根菜類のスープを作ります。冷蔵庫にある野菜…玉葱、人参、蕪、少しだけ残っていたセロリ、前日のお鍋で残った白菜、菊芋、じゃが芋…。小さく刻んでホーローのお鍋に入れ、オリーブオイル、塩をぱらぱらと。そして野菜の三分の一ほどの水を入れ、蓋をする。蒸気が出てきたら火を少し小さくして、そのまま数分。この「蒸し炒め」をすると、野菜の甘みがぐっと引き出されるのです。それからひたひたになるくらいの水を入れ、淡路島の玉葱スープをコンソメの代わりに。

※ 写真はイメージ

七種類の野菜たちは鍋の中で混ざり合い、それぞれの火の通り具合で柔らかくなっていく。別々の味や香りが調和しあい、人参くささもなくなれば、玉葱の辛さは甘みになって。別々の育ち方をしたものたちが、ひとつのものになっていく。

味をみて、伊勢の岩戸の塩で味を調える。ホワイトペッパーをがりがりと挽き、仕上げに粉チーズをたっぷり入れて、まろやかで滋味深い、優しい野菜スープの出来上がり。

 

※ 写真はイメージ

一年が過ぎ、新しい年を迎える時期は気持ちが新たになるものです。日々を重ね、年齢を重ね、ふと立ち止まって振り返った時、これまでの人生が航跡のように長く続いています。その最先端、波を越えながら進んでいる『今』を感じるのです。

スープを作りながら、人生は野菜スープのようだと思いました。いろいろなことがあります。いいこともそうでないことも。受け入れがたいこと、泣いたことも笑ったことも。人生というお鍋の中には、実にさまざまなものが入っています。まだ硬いものも、形を残しているものも、柔らかくなったものも、溶けてしまったものも。えー!こんなのも入っていたの? と思わず声を上げてしまうものも。お鍋をお玉でかき回していると、まだ食べたくないものが現れたり。

私たちはさまざまな経験をしながら、年を重ねていきます。心の奥にはまだ消化しきれていない感情や、わだかまりや、理解しがたいことが残っていて、思いがけず思い出したり、生きづらさを感じたりする。そんな過ぎていった時の忘れ物のような思い、出来事が教えてくれたことがある。心を強くすることを学んだり、自分の情けなさに気づかせてくれたり、傷ついたからこそ優しくなれることもあります。そうして、手放したいのに握りしめていた思いや出来事から学べて、感謝できた時、硬いものは柔らかくなり、溶けてしまったり。人生の滋味じみとなるのです。

※ 写真はイメージ

細かく切って、煮込んでしまう。これから先もさまざまな出来事に遭遇します。野菜スープをことことと煮込むように、時間をかけておいしさに変えていけばいい。いろんな野菜が入るほどおいしくなります。どんなスープが出来上がるか、どんな味わいになるか。日々を重ねるごとに変化していく味を楽しみに。


[文・構成/吉元由美]

吉元由美

作詞家、作家。作詞家生活30年で1000曲の詞を書く。これまでに杏里、田原俊彦、松田聖子、中山美穂、山本達彦、石丸幹二、加山雄三など多くのアーティストの作品を手掛ける。平原綾香の『Jupiter』はミリオンヒットとなる。現在は「魂が喜ぶように生きよう」をテーマに、「吉元由美のLIFE ARTIST ACADEMY」プロジェクトを発信。
吉元由美オフィシャルサイト
吉元由美Facebookページ
単行本「大人の結婚」

お皿に盛られた大根おろし

ダイコンは「すりおろしません」 裏技に「コレすごい」「なめらかだ」大量のダイコンおろしを作ると、腕や指が痛くなってしまいがち。そのため作るのが面倒だと感じる人も多いでしょう。『おろし金でおろす』方法以外で、ふんわりなめらかなダイコンおろしを大量に作れる方法を紹介します。

ラップの写真

ラップが料理に溶けたら、食べても大丈夫? 旭化成の回答に「そうだったのか」料理にラップをかけてレンジ加熱した際に、ラップが溶けてしまったことはないでしょうか。この場合、料理に影響はないのか気になりますよね。『サランラップ®』を販売する、旭化成ホームプロダクツ株式会社(以下、旭化成ホー...

Share Post LINE はてな コメント

page
top