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『孤独死』の現実をミニチュアに 遺品整理業者の想いに考えさせられる

By - いとう舞香  公開:  更新:

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日本で深刻な社会問題となっている、少子高齢化。内閣府によると、2065年には4人に1人が75歳以上の社会になると推計されています。

また、日本では未婚率が年々上昇していることに加え、核家族化が進んでいます。そういった推移から今後、孤独死が増加すると予想されているのです。

「他人ごとだと思わず、孤独について多くの人に考えてもらいたい」

そんな思いから、孤独死をテーマにミニチュアを作っているのは、株式会社ToDo-Companyが運営する『遺品整理クリーンサービス』の小島美羽さんです。

小島美羽さん

【小島 美羽(こじま・みゆ)】

2014年から『遺品整理クリーンサービス』に所属し、遺品整理や特殊清掃業務を担当している。
孤独死の現状を伝えるため、2016年にミニチュア制作を開始。斬新な取り組みがマスメディアで取り上げられ、一躍有名に。
2019年には著書『時が止まった部屋~遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし~』を出版し、ミニチュア作家としての講演会も行っている。

いわゆる『ゴミ屋敷』となった家や孤独死を迎えた人の家を掃除したり、故人の遺品を整理したりといったサービスを提供する、小島さんたち。

ミニチュア制作を始めた経緯や数々の作品に込めた想い、仕事に対する向き合い方について話を伺いました。

※テーマ上、本記事で紹介するミニチュアの写真には血や体液の表現がございます。苦手な方はご注意ください。なおこれらの作品は、実際の故人の部屋を再現したものではありません。

遺品整理業を始めたきっかけは『父親の突然死』

いとう

本日はお忙しい中ありがとうございます!小島さんの作品は著書『時が止まった部屋』などで拝見しておりました。
まずは読者の方に向けて、小島さんが孤独死をテーマにミニチュアを作ろうと思ったきっかけについて教えてください。

小島さん

葬祭業界の『エンディング産業展』という催しがあって、最初は普通にポスターを展示して説明をしてたんです。
けれど「自分には関係ない」という方がすごく多くて、聞き流されてしまって…。
そこで「どうすれば話を聞いてもらえるんだろう?」と考えた結果、ミニチュアにたどり着いたんです。

いとう

視覚的に訴えることで、「孤独死は他人ごとではない」「誰にでも起こり得る」と感じてもらおうと思ったのですね。

小島さん

はい。そうすれば、話を聞いてもらいやすいだけでなく、想像しやすいと思ったんです。
最初は会社の人に「そんなの誰も見ないって~(笑)」っていわれたこともあったんですけど、いざ3つの作品を飾ってみたら結構反響があって。

いとう

『エンディング産業展』での展示はTwitterでも話題になっていましたね。
自分も初めてお写真を拝見した時、視覚的に孤独死の現実を知って衝撃を受けました。

話題になった初期の作品の1つ。布団の黒いシミは体液

男性は布団、女性はベッドを中心に生活しているパターンが多いという

いとう

小島さんが遺品整理業の仕事を始めた理由の1つは、お父様の突然死だったそうですね。
身内を突然亡くすというのは、人生観が変わるほど衝撃的ですよね…。そこから、どのようにして今の仕事につながったのでしょうか?

小島さん

家族と別居していた父親に対して「この人は、今後も1人で自由に生きていくんだろうなあ」って思っていたんですよ。
なので、急に孤独死寸前という形で亡くなったことがショックでしたし、亡くなって初めて「あんなに嫌っていたのに、尊敬する部分もあったんだな」って気付いて。「もっと話していればよかった」っていう後悔が、しこりとして心に残っていて…。

小島さん

その後、郵便局で働いていた時に特殊清掃という仕事を知って、ネットで調べたんです。
そうしたら、「料金をぼったくられた」とか「遺品を乱暴に扱って壊された」とか、悪徳業者の話がたくさん出てきて…。
遺族側の気持ちが分かる人間として、本当に許せなかったんです。で、「悪徳業者をぶっ潰す!」と決心して。

いとう

遺品整理や特殊清掃の仕事って、やっぱり心身ともにものすごくハードだと思うんです。
働き始めるとなると、相応の強い意志や心構えは必要になりますよね…。

小島さん

本当に軽い気持ちで始められる仕事ではなくて。「やっぱり無理でした」って辞めるのは、故人やご遺族にも失礼ですし…。
なので、2年ほど本気で考えることにしました。元々グロテスクなものは苦手なんですけど、頑張って耐性をつけたり、死臭をイメージトレーニングしたり…。

小島さん

決心がついて22歳の頃に遺品整理業の職探しを始めたら、求人に「誰にでもできる簡単な仕事です!」って書いている会社が多かったんです。
そんな中、今の会社は大変な仕事ということをせきららに書いていて、「ここを落ちたらもう諦める!」くらいの勢いで受けました。
ありがたいことに従来より早く正社員にしてもらえて、ひるまずに7年ほどやってこれています。

いとう

遺品整理業という仕事に対して、「ただ片付けるだけでしょ」と思っている人も一定数いると思うんです。
ですが、実際は『物を扱う仕事』というよりも、『人の心を扱う仕事』というように感じます。

小島さん

まさにそうで、亡くなった人に関する仕事ではありますが、接するのは生きている人間なんですよね。
悲しみのあまり笑顔がなくなってしまったご遺族もいれば、逆に、からっと「部屋がキレイになればいいです」という感じのご遺族もいて。
関わる大家さんやご遺族の気持ちをくみ取って、臨機応変に対応をするスキルが求められる仕事だと思っています。

遺品整理業で知った『人間の裏の顔』

小島さん

本当に日々いろんな人と接するので、生きている人間の汚い部分を現場で見ることも多々あります。

小島さん

20代前半の男性がゴミ屋敷で亡くなった案件があって。私たちが作業をしている間、故人の父親はあまりのつらさに家の外で泣いてらしたんです。
その状況で、管理会社が本来なら必要のないリフォーム代まで請求していて…ご遺族は心が追い詰められているので、要求を呑んでしまうんです。

いとう

きっと、ご遺族側の「身内が迷惑をかけて申し訳ない」という罪悪感も利用されてしまうんでしょうね…。
ところで、孤独死の現場に故人の友人を名乗って遺品を持って帰ろうとする人が現れるという話は本当なのでしょうか。

小島さん

もう本当に「どっから聞きつけて来たの!?」という感じで、自称『故人の友人』が突然来るんですよ。
そのたびに「ねえ何してんの?これ(遺品)持って行っていい?」「ダメです!」というやりとりをして…。
「この遺品は生前にもらう約束をしていた」って主張されるので、ご遺族がいる場合は差し上げてもいいかを確認しています。

一般的な遺品整理の現場がモチーフの作品

「遺品が多くて申し訳ない」と恐縮する遺族を安心させる目的もあるという

小島さん

自称友人の方って、酷い時は「お宝あった?」っていってきて。「いや『お宝』って…」って絶句しますね。

いとう

遺品を『お宝』呼ばわりだなんて、言葉選びも酷いですね…。
ご遺族だけでなく、その場で作業をしている遺品整理業のスタッフの方も腹が立ってしまいそうです。

小島さん

なりますね。「え、突然何!?誰!?」って。
以前、山奥での案件で、作業中にふと横を見たらソファに知らない年配男性が偉そうに座ってたんですよ。
最初は「ご遺族かな…?」って思ってたんですけど、どうやら自称友人の方で、故人が所持していた高価な機材をご遺族に要求して揉め始めて…。

いとう

孤独死って、いってしまえば世間の無関心から生じるものじゃないですか。
なのに、亡くなった瞬間、よこしまな考えで関心を持った人が集まってくるっていうのも変な話ですね…。

小島さん

変ですよね。「じゃあ、なんで生きてる時から関わろうとしなかったんだろう」って。
しかも、そういう人達ってお悔やみの言葉を伝えに来たわけでも、手伝いに来たわけでもないんですよ。物をもらいに来るだけ。

小島さん

そういう光景を見ていると、「人は亡くなるとお金として扱われてしまうのかな」って思いますし、自分が亡くなった後のことも真剣に考え始めてしまいます。
入社当初は人のことを信じすぎていたんですけど、仕事で人間の裏の顔を見るようになって、世の中はいい人ばかりじゃないって学びましたね。

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