「卵が高すぎる、ぼったくりだ!」と言われた生産者 涙の訴えに「つらすぎる」「応援します」
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2022年10月に国内1例目が報告されて以来、日本全国で猛威を振るっている、高病原性鳥インフルエンザ(以下、鳥インフルエンザ)。
その名の通り鳥が感染するインフルエンザであり、感染した鳥は多くの場合、命を落としてしまうのです。
海外から渡り鳥が飛来してくる10月頃に流行しやすく、2023年3月現在、動物園や飼養鳥から続々と被害が報告されています。
客からの「卵が高すぎる」というクレームに、生産者が悲鳴
そんな中、生産者側として声を上げたのは、株式会社半澤鶏卵の3代目後継ぎである半澤清哉(@hanzawa_seiya)さん。
半澤さんによると、自社の販売する卵に対し、最近こういった意見が増えたといいます。
「卵が1パックが200円台だなんて、高すぎる!ぼったくりだ!」
卵が10個ほど入ったパック入り販売は、多少の変動はあれど、これまで200円前後が相場とされていました。
しかし、先述した鳥インフルエンザなどの影響もあり、2023年3月現在、200円台後半で販売する企業が増えています。
半澤さんは、そういった苦しい現状に置かれた生産者側として、「もう値段を叩かないでほしい」と涙ながらに訴えかけました。
値段にクレームを入れた人は、生産側が儲けに走っていると思ったのでしょうか。しかし、相次ぐ卵の値上げは、生産者が利益を上げるためのものではありません。
半澤さんによると、値上げをした上でも、卵1パックあたりの利益はたったの2%ほどなのだとか。
また、鳥インフルエンザは感染力が強く、命を落とす可能性が高いため、1羽でも感染が発覚した場合、家畜伝染病予防法にのっとって採卵鶏を殺処分することになっています。
愛をこめて大切に育てた採卵鶏を殺処分せざるを得ない上に、販売できる卵の数が減ってしまうのが、生産者にとって大きなダメージであることはいうまでもありません。
悲痛な叫びは拡散され、ネットでは多くの人が「生産者側も頑張っているのに、つらすぎる…」「大変かと思いますが、応援しています」といった声が上がっています。
半澤さんは生産者側の人間として、このように想いを明かしました。
何十年もの間、価格が比較的安価で安定していた卵ですが、その背景には生産者側の我慢も伴っていた背景がございました。
現在、鳥インフルエンザが大流行し、市場から卵が無くなり、私達生産者としても明日は我が身の状態で、過去に例を見ない最大の危機を迎えております。
併せて、この局面が卵の存在価値を見直していただく1つのターニングポイントになれば幸いです。
まずはお客様への安定供給を第一優先として、私達もできるだけ多くのお客様へお届けできるよう、感染対策等を最大限行って参ります。
引き続き、供給不足で皆様にご迷惑をお掛けしますが、ぜひ今回のTwitterの拡散が、卵を大切にしてくれる人が少しでも増えるきっかけになれば嬉しいです。
鳥インフルエンザの影響で、新潟県では、およそ68万羽の採卵鶏が殺処分されたことも明らかになっています。
全国で養鶏場の数が減り続ける中、新鮮でおいしい卵を届けるため、つらい環境下でもなんとか努力を重ねている、生産者の人たち。
新鮮な卵が食べられることを「当たり前」と思わず、生産者への感謝の気持ちを持って購入したいですね。
[文・構成/grape編集部]