「ちょっと飲んだだけ…」でも要注意! 飲みかけのペットボトルは…
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- 取材協力
- 一般社団法人 埼玉県食品衛生協会
「ペットボトル飲料は飲みかけのまま放置してはいけない」といわれています。
放置するとどうなるのか、また、放置した飲料を飲むことにはどのようなリスクがあるのでしょうか。
一般社団法人 埼玉県食品衛生協会(以下、埼玉県食品衛生協会)に聞きました。
飲み残しには驚くほど細菌が増加
埼玉県食品衛生協会に「飲みかけのままで放置してはいけない理由」を聞いたところ、このような回答がありました。
一度開封したペットボトル飲料は、その中で細菌などの微生物が増殖することが知られています。たとえ、見た目やにおいなどの変化がなくても、細菌は増殖してしまうのです。
人間の口の中には多くの細菌がいるため、直接口をつけてペットボトル飲料を飲んだ場合、口内細菌が飲料中に入ります。
この直飲みしたペットボトルを放置すると、菌が増殖。特に高温の場所での放置や長時間の放置では、「ちょっと飲んだだけだし大丈夫」と油断はできません。
また、口をつけなくても一度開封すれば、空気中に浮遊する細菌などが、ペットボトルに入って増殖することも分かっています。
では、どのくらい細菌が増えてしまうのでしょうか。
『宇都宮市衛生環境試験所』が実施した実験では、ミルクコーヒーを直飲みした直後の菌の数は1㎖あたり、およそ1千個でしたが、30℃のふ卵器で静置した結果、24時間後には1千万個、48時間後には3億個以上の細菌が確認されました。
これほど増殖した理由は、ミルクコーヒーに糖分やたんぱく質が多く含まれており、これらを栄養として大幅に増殖したと考えられます。
同様に、麦茶では24時間後に約3倍の9千個となり、48時間後には約10倍の3万個まで増殖しました。
麦茶でこれだけ菌が増殖した理由は、原料である大麦に炭水化物が比較的多く含まれているためと考えられます。
麦茶はミネラルが含まれており、夏の水分補給にはぴったりの飲料ですが、屋外で長時間放置しないようにしましょう。
また、同実験では、緑茶、スポーツ飲料、果汁100%オレンジジュースにおいては、細菌の増殖はあまり見られなかったといいます。
「緑茶のカテキンや果汁が酸性であることが、細菌の増殖を抑えたと考えられます」とのことです。
ペットボトル飲料は多くの種類が市販されており、「上記3種と似た種類の飲料であっても、必ずしも細菌が増えにくいものばかりとは限りません。実生活ではいろいろな条件があるので、やはり気を付ける必要があります」と注意をうながしています。
※写真はイメージ
細菌が増えた飲料を飲むと…
細菌が増えやすい30~40℃の温度帯付近で放置したり、持ち歩いたりしながら飲用を繰り返すと、食中毒や腐敗の原因となる菌が混入する可能性があるといいます。
口内にいる細菌が、口をつけて飲んだペットボトル飲料などに入り込んだとしても、すぐに危険な状態というわけではありません。
しかし、菌が増殖すれば品質が落ちることになり、有害な細菌であれば健康被害につながります。
また、開封したペットボトル飲料では、細菌だけでなくカビや酵母が繁殖する場合もあります。
微生物、特に酵母が飲料中で繁殖して発酵すると二酸化炭素が発生し、ペットボトルの内圧が上昇し、膨張・破裂することも。
飲み残しのペットボトルの破裂による事故で、骨折や眼の損傷などの重いケガにつながった事例も報告されています。
夏場は、温度が高くなる炎天下やエンジンを切った車中はもちろん、部屋に飲みかけのペットボトル飲料を放置することはやめましょう。
埼玉県食品衛生協会に聞いた、ペットボトル飲料を衛生的に飲むポイントは以下の通りです。
・直接口をつけずにコップなどに注いで飲む。
・できるだけその場で飲み切る。
・飲みかけのものは冷蔵庫に入れて、早めに飲み切る。
・短時間で飲み切れる小さめのサイズを選ぶ。
最後に、ペットボトル飲料を衛生的に飲むためのアドバイスを聞きました。
口を直接つけなければ、口の中の細菌がペットボトルに入ることは防げます。
細菌がペットボトル内に混入したとしても、増殖しにくい温度を保てば菌は増殖しにくくなります。
また、短時間で飲みきってしまえば、腐敗の原因となる細菌が増殖する時間も、食中毒の原因菌が入り込む万が一の機会も減らすことができます。
「口を付けた後、何時間は大丈夫」というものはありません。多くの方が日常的に利用されている便利なペットボトル飲料ですが、取り扱い方を誤ると思わぬ危険があるかも知れません。
これらの注意事項を守って安全に利用してください。
気温が高い夏は、特にペットボトル飲料の取り扱いに注意が必要です。
食中毒などのトラブルを避けるためにも、本記事で紹介したポイントを守りましょう。
[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]