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「これ何年前のだろう」 捨てられずに残ったコスメ、無駄にしない方法が?

By - 斎藤ゆかこ  公開:  更新:

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こうして、2021年に『COSME no IPPO』を立ち上げた大澤さん。

「カラーコスメの色を生かすことができるものは何か」と考えた時、頭に浮かんだのが画材でした。

大澤美保さん
大澤さん

絵を描くのって正解不正解がなくて、ただただ楽しかったなって思うんです。私もすごく絵を描くのが好きだったので、カラーコスメの色を生かしてできることを考えた時に「絵を描く画材にしよう」と思いました。
アップサイクルして生まれたものから、なるべくゴミを出したくないと考え、試行錯誤の末、『紙を巻かないクレヨン』にすることにしたんです。

『ハロヨン』には、持ち手の部分に紙が巻いてありません。

大澤さんによると「持ち方は自由」なのだとか。

大澤美保さん

細かい部分は角を使ったり、広い範囲は平面の部分で塗ったり、持ち方によって使い分けることができます。

実際に画用紙に描いてみると、絶妙なくすみカラーがとてもおしゃれですね!

大澤美保さん

『ハロヨン』の製造に使えるコスメは、アイシャドウやチーク、リップといったパウダーや練り状のもの。

Instagramなどを通じた個別回収のほか、イベントなどでの回収も行い、これまでに回収したコスメは約2万個にものぼるといいます(※2024年12月現在、回収は一時ストップ中)。

コスメの写真

提供:合同会社Maison de Mou

回収されたコスメは、中身を容器から取り出し、ミツロウなどと混ぜて成型。熱処理もしているため、安心して使うことができますよ。

『ハロヨン』を生み出す過程で「今の製造元と出会うまでがもっとも苦労しました」と語る、大澤さん。

カラーコスメを使って製造するクレヨンだからこそ、製造過程で起こり得るさまざまな問題に直面し、なかなか思うように製造の依頼先が決まりませんでした。

心が折れかけた時に今の製造元と出会い、製品化にたどり着くことができたといいます。

大澤美保さん

こうして生まれた『ハロヨン』。自分で使うためだけでなく、ギフトとしてプレゼントする人も多く、独特の発色や描き心地のよさが好評なのだとか。

大澤美保さん
大澤さん

アップサイクルして作られたクレヨンということで発色が悪いと思われる方もいらっしゃいます。実際に使っていただくと「きれいに色が出ますね」「想像以上に描き心地がいいですね」といったお声をいただくことが多々あります。
お客様からは「昔、絵を描くのが好きだったことを思い出しました」といったお声をいただいたこともあります。

今まで百貨店や商業施設などでワークショップを実施してきた際には、子供も大人も夢中になって『ハロヨン』を使って塗り絵やお絵描きをしていたそうです。

捨てられるはずのカラーコスメが生まれ変わった『ハロヨン』は、多くの人の『ワクワク』につながっているといえるでしょう。

美容業界のゴミゼロを目指して

『ハロヨン』を通して、多くのワクワクを届けている大澤さん。

クレヨンにとどまらず、カラーコスメの特徴を生かした次なる取り組みに意欲を見せていました。

大澤美保さん
大澤さん

『クレヨンをたくさん売る』ことが目的ではなく、美容業界のゴミゼロを目指している中で、クレヨンだけでなく、ほかのアップサイクルの形も模索中です。さまざまな企業や自治体などとの協業も進めています。
また、アートの分野で『ハロヨン』を活用していくことで『画材』としての価値も見出していけるような、取り組みやイベントを実施していきたいと思っています。

近年『食品ロス』はよく耳にするようになりましたが、美容業界が直面している『コスメロス』については、まだ意識が高まっていないのが現状です。

こうした取り組みが広がることで、一人ひとりの『コスメロス』に対する意識が変わっていくのかもしれません。

では、私たちが普段の生活の中で意識できることはあるのでしょうか。

大澤美保さん
大澤さん

ここ数年で、口紅のレフィルやアイシャドウパレットを好みの色にカスタムできる製品を見かけるようになりました。そういうものを選択するのも1つです。
また、カラーコスメを購入する時に「これって本当に必要かな」と自身に問いかけて、本当に必要なものだけを最後まで使い切る覚悟とともに購入する方が増えると、この活動がなくなるような未来に近付けるのではないかな、と思っています。

自身が行っている活動を「なくなるのが理想」と語っていた、大澤さん。

社会全体の意識が変わり、コスメの廃棄量を減らすことができれば、いずれアップサイクルする必要もなくなるでしょう。

大澤美保さん
大澤さん

また、化粧品企業の方々が『COSME no IPPO』を知ることで、商品開発の際にゴミを出さない工夫をしていただくなど、各々の立場でできることを考えるきっかけになったらいいなと思っています。

本当に必要な物を手に取る、詰め替え用のレフィルを使ってみるなど、私たちが日常の選択を1つ変えるだけでも、『コスメロス』を減らすことにつながるでしょう。

もちろん、使わないコスメをなくすことが一番ではありますが、体質などの問題でやむを得ず使えなくなってしまった場合もあるはず。

「もう捨てるしかないか…」と諦めていた人は、選択肢の1つとして『アップサイクル』を選んでみてはいかがでしょうか。

独特の色合いでアートの楽しさを味わいながら、自身の意識や行動を見直すきっかけにもなる、『ハロヨン』。

あなたも地球に優しいクレヨンで、ワクワクする未来を描いてみませんか。


[文・構成/grape編集部]

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