lifestyle

トマトのヘタ、食べる?捨てる? 農園に聞いた『正解』は…

By - デジタル・コンテンツ・パブリッシング  公開:  更新:

Share Post LINE はてな コメント

ミニトマトの写真

※写真はイメージ

スーパーマーケットなどで手軽に購入できるトマト。トマトには硬いヘタが付いており、捨てている人がほとんどでしょう。

ネット上などでは「トマトのヘタを食べるのはNG」といわれていますが、なぜなのでしょうか。

トマトのヘタは食べないほうがいい?

「トマトのヘタは食べないほうがいい」といわれる理由は、ヘタ部分に多く含まれる『トマチン』という物質があるから。

これはジャガイモの芽に含まれる『ソラニン』に似た構造のアルカロイド配糖体で、毒性があるものです。

一般社団法人日本植物生理学会(以下、日本植物生理学会)のウェブサイトでは、このように解説しています。

トマトのヘタですが、熟したトマト果実よりも700倍ぐ らいの α-トマチンが含まれています。

この α-トマチンの含量は、花、葉、茎などと同程度です。ただし、果実に比べてヘタの重量はかなり少ないので、果実と一緒に煮込んでブロスなどにすると薄まってしまいますので、少しぐらいヘタが入ったとしてもさほど問題にはならないと思いますが、ヘタはなるべく除去することが基本です。

一般社団法人日本植物生理学会 ーより引用(原文ママ)

トマトのヘタは少量であることから、必ずしも人体に影響を及ぼすわけではありません。しかし、毒性を含むものなので、ヘタは取ったほうがよいでしょう。

ミニトマトはサラダなどでヘタが付いたまま皿にのせたり、弁当に入れたりすることもありますよね。

農林水産省のウェブサイトでは、ミニトマトを食べる際、以下のように注意を呼びかけています。

色彩も良く弁当の副菜として用いられる事も多いミニトマトですが、弁当に入れるときはヘタを取りましょう。ヘタの周りのように、細かいくぼみがある部分には、水で洗っても細菌が残ってしまうことがあります。

ヘタを取ってから洗い、水分をペーパータオルなどで拭き取ってから詰めましょう。

このように、ちょっとしたひと手間で安心して食べることができるのです。

農林水産省 ーより引用(原文ママ)

文部科学省の『検収室・下処理室における衛生管理&調理技術マニュアル』によると、ヘタを取って洗うことで細菌をより減少できることが分かっています。

へたの部分に細菌が多いミニトマト、細菌数が減少する洗浄方法は?

実の部分

① ヘタを取らずに流水洗浄
一般生菌数1.0×106個/g 大腸菌群3.6×105個/g

② ヘタを取らずに流水洗浄+次亜塩素酸ナトリウム溶液に5分浸漬+すすぎ
一般生菌数5.4×103個/g 大腸菌群1.0×102個/g

③ ヘタを取って流水洗浄
一般生菌数9.3×103個/g 大腸菌群陰性

③のヘタを取って流水洗浄をした実は、①のヘタを取らずに流水洗浄及び②の200ppmの次亜塩素酸ナトリウムで消毒した実 よりも、大腸菌群が減少しました。施設の状況に応じて洗浄方法を選びましょう。

文部科学省 ーより引用(原文ママ)
ミニトマトの写真

※写真はイメージ

トマト農園の見解は?

高知県でおいしいトマトを生産している『おかざき農園』にトマトのヘタについてうかがったところ、以下の回答がありました。

トマトのヘタは食べられるかどうかとなると、食べないほうがよいでしょうね。

イタリアンのシェフの中には、トマトの側枝(実が付く枝)・花・葉を注文される人もいらっしゃいますので、そのような部分は、お料理に使われていると思います。

しかし、ヘタに関しては聞いたことはありませんし、固くて歯触りが悪いのでわざわざ食べなくてもよいとは思います。

おいしさの面から考えても、ヘタは無理に食べる必要はなさそうですね。

トマトの実はたくさん食べても大丈夫?

では、みずみずしくておいしい実の部分は、熟していればトマチンが比較的少ないため、たくさん食べても大丈夫なのでしょうか。

日本植物生理学会のウェブサイトでは、このように説明しています。

トマチンの毒性は、マウスの腹腔内に投与したときの半致死量(LD50)が32mg/kgであり、これを単純に50kgのヒトに換算すると、半致死量は1600mg(1.6g)になります(マウスとヒトで効果が同じかどうかはわかりませんが)。

この量は完熟果実では、4000kg(4トン!)、熟した青い果実では、33kg、未熟果実では3.4kg、に相当します。

中ぐらいの大きさのトマトは約100gですから、未熟果実でも34個を一挙に食べないと半致死量には達しません。

通常、そのような場合は考えられません。

毒性と生体機能活性は紙一重であり、最近では毒性よりもトマチンの抗腫瘍活性、LDLコレステロール低下効果など、逆に良い効果についての報告があります。

トマトに限らず、普通に食べている食品でも、毒性が全くゼロということはありません。

そのため、特定の食品や成分だけを大量に摂取するとその毒性の面が顕著になるようになってきます。

バランスよく食べることが大切ですね。

一般社団法人日本植物生理学会 ーより引用(原文ママ)

人間の身体に毒となるトマトの量は、完熟の実で約4tとのこと。つまり、トマトを1~2個食べたからといって、トマチンの毒性が人体に影響を及ぼすとは考えにくいでしょう。

トマチンが多く含まれていたり、雑菌が多く付いていたりすることから、トマトのヘタは食べないほうが無難です。

トマトはヘタよりも実が十分おいしいので、日々の食事に取り入れて食べるようにしましょう。


[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]

アスパラの春巻き

「6本あっという間になくなります」 春巻きの皮で包んだのは?料理研究家のゆかり(@igarashi_yukari)さんは、「春に食べたくなる」という春巻きのレシピをXで紹介していました。揚げずに作れる、『アスパラチーズの春巻き』とは?

すのこDIY

100均の『すのこ』を組み立てて… 作ったものに「発想がすごい」「真似してみる」100均で買った『すのこ』を使って作ったのは?誰でも簡単に真似できるDIYを、ゆう(yupapa_kurashi_)さんが紹介しています。

出典
おかざき農園(取材協力)一般社団法人日本植物生理学会文部科学省農林水産省

Share Post LINE はてな コメント

page
top