このラバーストラップ、実は? 「思い出を形にする素敵な活動」「唯一無二だ…」
公開: 更新:
![ラバーストラップの写真](https://grapee.jp/wp-content/uploads/2025/02/114305_main04.jpg)
![救急車の写真](https://grapee.jp/wp-content/uploads/2025/02/115004_main06-768x576.jpg)
消防局「絶対に離れないで」 呼びかけに「知らなかった」「気を付けます」兵庫県尼崎市にある、尼崎市消防局(以下、消防局)のInstagramアカウントによると、肉まんや焼き芋の加熱方法に、注意が必要だといいます。
![](https://grapee.jp/wp-content/uploads/21147_main2.jpg)
【訃報】『ちびまる子ちゃん』お姉ちゃん、ミニーマウスの声優、乳がんで死去『ちびまる子ちゃん』のお姉ちゃん役や、ミニーマウス役で知られる声優の水谷優子さんが2016年5月17日、51歳でその生涯を終えました。
- 出典
- @chion777
・ラバーストラップ、素敵ですね!
・すごい!唯一無二だ…。
・思い出を形にする素敵な活動です。
2025年1月9日、山崎智音(@chion777)さんがXに公開したラバーストラップにまつわる投稿に、このような声が上がっています。
ゴム素材を用いて作られるラバーストラップは、カバンやリュックサックなどに付けて楽しめる、汎用性の高いアイテムですよね。
いきなりですが、まずはこちらの1枚をご覧ください。
複数のゴム製パーツを組み合わせて作られた、ラバーストラップ。
各ゴム製パーツの表面には、ポツポツとしたひだのようなものが付いています。
察しのよい人は、このラバーストラップに何が活用されているのかを、すでに勘付いているかもしれません。
そう、このラバーストラップは、卓球のラケットのラバー部分を利用して作られたものだったのです…!
次のように切り分けたパーツを、それぞれ重ね合わせることでラバーストラップが完成したのでした。
同年2月16日現在、山崎さんは介護業界に携わりつつ、卓球の廃材をアップサイクルする『卓球アップサイクル活動』をおこなっています。
このラバーストラップは「息子が全国大会出場を決めた際に使っていた卓球のラケットのラバーを、アップサイクルしてほしい」という依頼を受け、作成したものだとか。
山崎さんは、ラバーストラップを作った際の心境について、こう明かしました。
作成にあたっては『オリジナル感』を出すために傷や汚れ、欠けた部分をあえて全面に出すことを意識しています。今回に関しては、ラバーの下部にあるメーカーのロゴが指圧で潰れているのが確認できました。
もしかしたら、『全国大会出場』を目標に掲げていたことで、練習量が増えた証なのかもしれません。全国大会の予選が近付くにつれて、自然とラケットを握る力が強くなったのかもしれない…と推測しています。
あくまで推測ですが、そこには間違いなく日々の努力の痕があったんです。こうした背景を汲み取って作品にすることを、いつも意識しています。
アップサイクルの依頼については、主にSNSで承っているとのこと。
Xのダイレクトメッセージ(通称:DM)を通じて送られてくる依頼に目を通し、「何をどのように加工したいか」を依頼者とすり合わせるそうです。
またSNSのほか、卓球の大会や練習会などで直接顔を合わせた際に、口頭で注文することも可能だとか!
どのような思いでこの『卓球アップサイクル活動』をおこなっているのか、山崎さんに話をうかがいました。
卓球の廃材のアップサイクルをおこなう意義とは
――さまざまなスポーツがある中で、『卓球』に目を向けた理由はなんでしょうか。また、卓球の廃材を使用したアップサイクル活動を始めようと思ったきっかけがあれば教えてください。
私自身が小学生の頃から卓球をしていて、「いつか卓球を通じて社会貢献がしたい」と考えていました。大学生の頃、素材そのもののよさを生かしながら新たな価値を与える『アップサイクル』という再利用方法を学んだことがきっかけです。
もともと、卓球は廃材が多いスポーツです。ラバーは劣化してしまえば貼り替えますし、ラケットも木材なので割れてしまったり、折れてしまったりすることもあります。ラバーのパッケージも、各メーカーのアイディアや工夫が込められた美しいデザインのものばかりですが、中身を取り出した後は廃棄してしまうんです。
これらの廃材を再利用することで、「今まで卓球に関心がなかった方にも卓球に深い部分に触れてもらいたい。そして、もっと卓球を身近に感じてもらいたい」。そんな想いから、『卓球アップサイクル活動』を始めました。
――アップサイクルに目を向けたのはなぜでしょうか。
アップサイクルはリサイクルと違い、再利用するものを原料や材料に戻すのではなく、元の素材を生かし、新たな価値を生み出すといった特徴があります。そのため、アップサイクルされた作品が何からできたものなのかが分かりやすく、アイディアが全面に出たユニークな作品ができ上がると思ったんです。
また、アップサイクルは想いを形にできるところにも魅力があります。自らが使っていたラケットやラバー、ユニフォームには、その人にしか分からない思い出が宿っているんです。しみ込んだ汗や傷、色褪せ、劣化、紛失防止の記名でさえすべてが『オリジナル』で、使用者の歴史そのものなんですよね。
「『思い出』という値段の付けられない価値を、形にして残したい」といった想いもあります。
――卓球の廃材をアップサイクルし終えた後は、どのように活用されるのでしょうか。
アップサイクルはゴミの削減に大きく貢献できる活動の1つです。アップサイクルされた作品は、キーホルダーや時計など今までとは異なる価値が付与され、新しい形として日常に溶け込みます。各々の思い出が詰まった卓球用具をアップサイクルすることで、「いつまでも思い出を身近に置いてもらえるようになるのではないか」と私は考えています。
私自身も、初めて握ったラケットや初めて大会で優勝した時にもらったウイニングボールをアップサイクルして、身近に置いているんです。報われた努力や悔しかった敗戦、仲間と過ごした楽しい時間もその人だけの思い出であり、何よりも価値のあるものだと思っています。
卓球を通じて築いた思い出を形にしてそばに置くことで、その人にとって『心の支え』になってくれるはずです。
また卓球をやったことがない人にも、卓球場や体育館以外で卓球用具を見てもらえる機会になるかと思います。卓球用具の奥深さやデザインなどの魅力に触れてもらい、卓球を始めてもらうきっかけになってくれたら嬉しいです。
――『卓球アップサイクル活動』に対して、SNS上で上がった反響の中で特に嬉しかったものはありますか。
一番最初にXに投稿した作品に対する反響が非常に大きかったことが、今でも記憶に残っています。
私が当時使用していたラバーのパッケージを再利用して、カードケースを作ったんです。たくさんの人から『いいね』をしていただけたことがとても嬉しかったですし、アップサイクル活動を続ける活力にもなりました。
どんな作品や投稿でも『いいね』をもらえたり、実際にコメントをもらえたりすると励みにもなりますね。
アップサイクルして作ったカードケース
材料となったラバーのパッケージ
――今後、この活動を続けることで実現したいことや、具体的な目標があれば教えてください。
『卓球アップサイクル活動』を始めてから、もうすぐ2年が経ちます。SNS投稿や卓球クラブチーム、Tリーグでのワークショップを通して多くの方にアップサイクルの魅力を知ってもらうことができました。
しかし、もっと多くの方に『卓球アップサイクル』を知ってもらいたいと思っています。
卓球をしている方は全国各地にいらっしゃいますし、年齢層も非常に幅広いです。1人でも多くの方にアップサイクルのよさを知ってもらうためには、全国各地でのSNSの枠を超えた活動にも力を入れていきたいと思っています。
またアップサイクルを通して、今まで卓球をしたことがない方にも卓球に触れられる機会を作っていきたいと考えています。地域のマルシェに参加して卓球の魅力を直接伝えていくのはもちろんのこと、アップサイクルをきっかけに卓球のファンが増えてくれたら嬉しいです。
山崎さんがおこなう『卓球アップサイクル活動』は、依頼者の大切な思い出を『一点モノ』として形に残すだけでなく、卓球の魅力を多くの人に伝え、次世代につないでいくことにも貢献するのですね。
『卓球アップサイクル活動』の存在が世間に広まり、卓球というスポーツがより身近に感じられる未来は、そう遠くないのでしょう。
[文・構成/grape編集部]