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保育士の本音が壮絶 『モンスターペアレンツ』に会った人は50%以上

By - grape編集部  公開:  更新:

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子どもを預かるプロである『保育士』。

尊敬されるべき保育のプロたちの実情は、大変な仕事であるにも関わらず賃金が低いなど、多くの問題を抱えているといいます。

そんな保育士の知られざる現状や、本音をご紹介します。

モンスターペアレンツに悩まされる保育士の本音

保育士や教師に、理不尽な要求をするモンスターペアレンツ。

ニュースなどで聞くエピソードは信じられないようなものばかりで「そんな人、少人数しかいないのでは」と思ってしまいますが、どうやらそうではないようです。

モンスターペアレンツに関して、保育士の転職サイト『保育士バンク』が475人の保育士を対象にアンケート調査を行いました。すると、52.6%の保育士が「モンスターペアレンツに会ったことがある」と回答する結果になったのです。

そして、実際にどのようなモンスターペアレンツに会ったかを回答しています。

特徴1:子ども同士のトラブルやケガに過剰に介入する

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・「子どもの様子はどうですか?」と1時間おきに連絡が来る。

・子ども同士のケンカの原因や内容を説明すると、「相手の子どもの親を呼べ」といったり、「どの子!?」と保育室内に入ってきてにらみつけたりする。

・子どもが自分でたまたま腕に擦りキズをつけてしまった際、詳細を保護者に伝えると、翌日、市に保育士が虐待していると通報していた。

このように、自分の子どもがケガをしたりトラブルにあったりすると、「自分の子どもは絶対に悪くない」と決めつけ、怒りの矛先を相手の子どもや保育士に向けるケースが目立ちます。

特徴2:自分の子どもしか見ていない自己中心発言をする

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・発表会の子どもの配役や器楽発表の役割が不満で怒鳴り込んできた。

・高い服を着せているから外遊びNGといわれた。

・タレント活動をしているので、転んでケガをさせたら訴えるといわれた。

・うちの子はクーラーが苦手だから、園全部のクーラーを消して、1日3回着替えさせてといわれた。

耳を疑うような発言のオンパレード。もう少し冷静になってほしいものです。

特徴3:保育士にクレームをつける

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・子どもが保護者の前で私に唾を吐いてきたため、顔をぬぐいながら表情は変えずに「してはいけない」と話をしていると、「なんでうちの子どもを汚いもののように接するんですか!?」と怒鳴られた。

・3歳児に衣類の着脱や片づけの仕方を教えたところ、保護者から「なぜ先生が世話をしてくれないのか。1人で着替えをさせるなんてかわいそうだ!」とクレームがあった。

想像もつかないクレームをつけてくるモンスターペアレンツ。

アンケートの回答から、モンスターペアレンツへの対応に頭を悩ませながら業務をする保育士の苦労が伝わってきます。

保育士が語った『保育士の1日』に驚きの声

2015年12月4日、厚生労働省は保育士不足改善のため、「保育士資格のない人でも、条件を満たせば子どもの世話をできるようにする」という省令改正を発表しました。

その発表を受けて、現役保育士や保育士志望の人々、子どもを預ける保護者からも反対意見が続出。

中でも、現場で働く保育士の女性がTwitterに投稿した『保育士の1日』に注目が集まりました。

※写真はイメージ

女性は、資格を持っている保育士が現場に出られない理由を「過酷な労働の実態と、それに見合っていない給与体系にあると思う」と分析。そして、保育士が1日の中で実際に行っていることを紹介しました。

すると、想像以上に過酷な『保育士の実情』が明らかになったのです。

1日の始まり

朝9時から勤務予定だとしたら、まずはその時間に仕事が始められるようにします。

その日が制作の日だとしたら、折り紙1つ折るにも人数分の折り紙と用具を準備が必要。10分やそこらで終わる作業ではないので、前日に用意するか、もし無理であれば就業時間前に来て準備しなければいけません。

こどもたちが来る前にその準備を終えて、そこから1日が始まります

お昼時間は5分もない

お昼の時間は、1人で食べられない子どもに食べさせながら、アレルギーのある子も気にしつつ、ひっきりなしにある「おかわり」の声に動きっぱなし。

実質、自分が食べている時間なんて5分もありません。

※写真はイメージ

お昼寝の時間は『休憩』ではない

子どもたちのお昼寝時間が一部休憩の時間とされていますが、20人以上いるこどもたちが一度に全員寝てくれる訳ではないので、1人ずつ寝かせます。

寝かせ終わったら、あっという間に会議の時間。その前にクラスノートや個別ノート、保護者向けのものを仕上げて会議へ。

会議が終われば子どもの起床時間で、お茶をひと口飲むことも、トイレに行くことさえも慌ただしく済ませて保育に戻ります。

お迎えの時間

それから午後の保育をして、お迎えの時間。

親御さんたちに「今日はこんなことがあって〜」とお子さんのご報告をして、時には「お母さん髪切ったんですね!」なんてコミュニケーションも。

こういうちょっとしたひと言だったり気遣いが大切。仕事に疲れた親御さんに心を開いてもらうのも大事なお仕事なのです。信頼してもらって初めて子どものことを腹割ってお話できるので。

もちろんサービス残業

自分の勤務時間が終わっても、事務所に戻って日誌を書かなければいけません。この時点でサービス残業決定。

日誌はその日の出来事を書きますが、それ以外にも月の書類や、加配児(療育手帳を持っている子、他の子たちと同じように保育園の生活を送ることが難しい子)の書類、個別ノート(これが一番時間がかかる)も書かないといけない。

他にも、その日こどもたちが制作した作品を仕上げたり飾りつけたりして。明日の準備まで全部してからやっと保育園での1日が終わります

でも、閉園時間ギリギリまでやっても終わらないことがほとんどなので、結局持ち帰ってお仕事が常習化しています。

※写真はイメージ

給料はスズメの涙ほど

そんな過酷な毎日の繰り返しで、もらえるお給料はスズメの涙ほど。

子どもの命を預かる仕事なのに、世間様からは「子どもと遊んで給料もらえるなんて楽な仕事でいいね」なんていわれることも。

こういうこという人には一度、何十人も相手に全力で鬼ごっこしてみてほしい。平気で蹴ってきたりする子もいるし、叱るって体力いるんです。

理解のない言葉を、旦那様やお姑様にいわれた日には、もうこの仕事は続けられません。我が子の子育てしながらなんて、とてもじゃないけど無理です。

資格を持っていようが、保育士不足と言われようが、どんなに子どもが好きでも、「こんなんじゃやってられない!」っていうのが本音。

だから保育士が足りないのは、保育の仕事をしたくても諦めるしかない労働実態があるからなんです。

必死さが伝わってくる言葉の数々。読んでいるだけで、心が苦しくなってきます。

週休2日取れればいいほう?有給休暇は

普段から過酷な労働を強いられている保育士ですが、しっかりと休日は取れているのでしょうか。

『保育士バンク』が、多くの保育士の休暇状況もアンケート調査しています。その結果をご覧ください。

約32%が『週休2日制(土日休み)』、27.8%が『週休2日制(4週8休)』と回答。全体の約60%は週休2日制だということが分かりました。

しかし、その次に多かった回答が『週休2日未満』の25.1%。4人に1人は、週に2日の休みが取れていないことになります。

また、同じアンケートの中で「自由に有給休暇が取れるか」との質問に、54.3%が「取れない」と回答。

理由については「シフト制なので自分の都合で自由に休みにくい」「職場の上下関係も厳しいから、有給があっても取りにくい」といった声がありました。

人手不足の影響で周囲に気をつかい有給休暇が取れない人が多いようです。

2015年から保育士の現状が注目されるようになり、政府は保育士の賃料引き上げを行ったり、経験年数によって手当をつける仕組みを作ったりなど、少しずつ改善に動き出しています。

とはいえ、2018年現在で保育士からの声を集めてみても「変わらず給料は安い」「責任の重さと給与の額が合っていない」といった内容のものが多い状況は変わっておらず、不満が解消された様子はありません。

さらに保育士の地位が向上し、十分な待遇が得られる体制作りが求められています。


[文・構成/grape編集部]

出典
保育士バンクTwitter厚生労働省

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